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糖質(糖、炭水化物)

炭水化物が太るのか、カロリーが太るのか?論争

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<はじめに>

まず、お断りですが、
炭水化物だって4kcal/gです。

ネット上では、「だから結局カロリー、食べ過ぎが原因なんじゃないの?」
という意見もありますが、

カロリーと考える場合、9kcal/gの脂質を中心に全体量を減らします。

一方、炭水化物(デンプン)が太る原因とする主張では、炭水化物以外の肉や脂質(油脂)はいくら食べても良いとされていました。

今回は、単に『炭水化物』『カロリー』のどちらが太る原因なのか?
という歴史的な経緯のみをご紹介します。


1.知ってもらいたい「炭水化物抜き」の歴史


今静かなブームとなっている糖質制限(ロカボ)ですが、
その歴史は実は古く、昔から何度となく繰り返されていた方法でありました。


(「人はなぜ太るのか?」【ゲーリー・トーベス著】より引用)

■1825年12月
ブリヤーサバラン(フランスの政治家、美食家)は
『味の生理学(The Physiology of Taste)』という本を出版した。

(30章のうち、肥満に関しては2章[原因、予防])

彼は30年の間に、肥満に苦しんでいる人達と500回以上も夕食を共にし、会話の中で「太った」男達は次から次にパン、米、パスタ、ジャガイモへの情熱を語った、という。

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これによりブリヤーサバランは確実な肥満の原因を見つけた。

1番目は、生まれながらの太りやすい性質であった。

彼は「すべてが平等な中で、多くの脂肪を消化できる能力をもつ人は、いわば肥満になるように運命づけられている」と書いた。


2番目は、「人が日々の食べ物の基本として使うデンプンと小麦粉であり、砂糖と一緒に使用すれば確実にこの効果を示す」と付け加えた。

そしてサバランは「肥満防止食は・・(略)・・デンプン質または小麦粉由来のすべての物を多少厳しく節制することが減量につながると推論される」と書いた。


ブリヤーサバランの書いた内容は、以来際限なく繰り返され、再発見されてきた。

1960年代に至るまで、それは世間の常識で、私達の両親や祖父母が本能的に真実である、と信じたものであった。

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■1844年
ジャン・フランソア・ダンセル(フランス人、医師)は、肥満に関する彼の考えをフランス科学アカデミーで発表した。

彼の書いた『肥満や過剰な脂肪蓄積』という本は1864年に英訳された。

彼は「肉ではないすべての食べ物(炭素と水素が豊富な食物。つまり炭水化物)は脂肪をつくる傾向があるに違いない」と書いた。

彼は、肉食動物は決して太っていない一方で、草食動物はしばしば太っているとも述べ、患者が”主に肉のみを食べ”その他の食べ物を少量食べれば、一人の例外もなく肥満を治癒できると主張した。

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ダンセルは、彼の時代の医師達が『肥満は治らない』と信じた理由を、「医師達が肥満を治そうとして処方した食事(食べる量を減らすことetc)が、まさに肥満の原因になるものだったためである」とした。

(※これはゲーリー・トーベス氏や私のブログのポイントとも通じます)


■20世紀の初めまでは、一般的に医師は肥満を治らない病気と見なしており、何でも試してみることが妥当であるとされた。
患者の食事の量を減らし、もっと運動させることは数ある治療法の1つにすぎなかった。

1869年発行の『実践医学』において、英国人の医師トーマス・タナー(Thomas Tanner)は、医師たちが長年にわたり肥満患者に対して処方してきた「ばかげた」治療法のリストを発表した。

「これらすべての計画をどんなに辛抱強く行っても、希望する目的は達成されない。そして、単に節度をもって食べたり、飲んだりすることについても同じと言わざるをえない」と書いた。
しかしタナーは炭水化物を断つことがうまくいく唯一の方法であると信じていた。


■1950年代
ミシガン州立大学の栄養学部の主任マーガレット・オールソンは、
過体重の学生に従来型の反飢餓食を与えた場合、彼らの体重はほとんど減らず、

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彼らは「すっかり活気がなくなり、空腹であることを常に意識していたため、やる気がなくなった」と報告した。

一方、1日数百カロリーの炭水化物と多量の蛋白質・脂肪を含む食事を摂った場合、平均週3ポンド(約1.4kg)減量し、「食間の空腹感はなく、気分の良さと満足感があった」と報告した。

このような報告は1970年代まで続いた。
この食事療法を行った人達は、ほとんど努力せずに体重を減らすことができ、その間ほとんど空腹を感じなかった。


■1951年
20世紀のイギリスで最も影響力の強かった内分泌学者であるレイモンド・グリーン(Raymond Greene)と7人の著名な医師達によって編集・出版された教科書が『内分泌実践(The Practice of Endocrinology)』である。

その中に掲載された肥満の食事療法がある。

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(引用以上)
【関連記事】→「いま話題のロカボ。その原点(糖質制限)は昔からあった」


2.糖質制限(炭水化物抜き)が医師達に受け入れられなかった理由


上記の流れから行くと、これで肥満の問題は解決に向かうかに思われますが・・・
ここに「カロリーの原則」が出てきます。

(再び「人はなぜ太るのか?」より引用) 

1960年代までに、前述した脂肪調整の科学は生理学、内分泌学、生化学の学術誌で議論されたが、医学雑誌や肥満そのものを扱った文献で見られることはほとんどなかった

1960年代から1970年代後期にかけて、医師がこれを信じなくなったとき、それはたまたま現在の肥満と糖尿病の流行の始まりと一致した。


■1963年、
米国医師会誌において、脂肪調整の科学は無視された。

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太っている人達が、(炭水化物や糖以外の)どんな食べ物でも大量に食べることができるという考えを基礎においた治療法を受け入れる医師はいなかった。

そもそも、人がなぜ太るのかについての明確な理由として、現在も受けいれられている
『太っている人達は食べ過ぎているからだ』
という理由に反するものであったからである。


そこには別の問題もあった。
アメリカの保健局の専門家は、食事に含まれる脂質が心臓病の原因であり、炭水化物は「心臓によい」と信じるようになっていた。

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(〜略〜)

炭水化物が「心臓によい」という考えは1960年代に始まり、炭水化物が私達を太らせるという考えと相容れることはなかった。

食事に含まれる脂質が心臓発作を引き起こすとすれば、炭水化物をもっと多くの脂質に置き換える食事法は、たとえ私達を細身にするとしても命を脅かす。

その結果、医師と栄養士は炭水化物を制限する食事法を攻撃し始めた


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■1965年、ニューヨークタイムズ

「栄養学者に非難された新しい食事法:炭水化物の低摂取は危険である」
は、炭水化物を制限した食事は高脂質の性質をもっているため、それを処方することは「大量殺人に等しい」というハーバード大学のジャン・マイヤー(Jean Mayer)の主張を引用した。

まずタイムズは「ダイエットをする人達は、カロリーの摂取量を減らすか、それを燃やすかのどちらかによって過剰なカロリーを削減しない限り、体重を減らせないことは医学的な事実である」と説明した。

今や、それが医学的な事実でないことはわかっているが、1965年の段階では栄養学者たちはそれを知らず、

今もなお、彼らの多くはそれを知らない


(〜略〜)

米国農務省(USDA)の食物ガイドピラミッドでも、脂質や油を「摂取を控えめにするもの」として頂点に置き、炭水化物を健康的な食事の主食として、ピラミッドのベースに置いているのは、こうした説を信じたことによると思われる。
(引用以上)

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【関連記事】→「カロリー意味あるの?カロリーの歴史はやはり神話なのか?」



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