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代謝

2022.09.25

摂取カロリーを減らすと、体は自動的に消費を減らす

目次

  1. 運動以外の「消費エネルギー」は一定ではない
  2. 摂取カロリーを減らした時に何が起きるのか?
  3. 摂取と消費は相互に依存している(私の感想)
<まとめ>

以下の記事で、「ダイエット(食べる量を減らす、運動をする)が上手くいかなかった」という研究結果をいくつか見てきましたが、多くのダイエット経験者が感じるのは『減った体重が思ったよりもはるかに少ない』ということではないでしょうか?

【関連記事】ダイエットは、長期的にはほぼ成果なし

今回は単に、『摂取カロリーを減らせば、体にどんな反応が起こるのか』について見ていきたいと思います。これまでに、従来のカロリー制限系のダイエットをしたことのある人にとっては、身に覚えのあることだと思います。ほとんどが引用になってしまうのですが、とても興味深い内容なので紹介します。

1.運動以外の「消費エネルギー」は一定ではない

「The Obesity Code」Dr. ジェイソン・ファン著(2019年)より引用

私たちは摂取カロリーのことは気にするくせに、「運動以外で消費されるカロリー」のことはほとんど考えない。摂取カロリーを計算するのは簡単にできるが、体全体のエネルギー消費量の計算は複雑だ。

エネルギーがどう消費されるかはホルモンによって自動的にコントロールされるため、私たちが意識的にコントロールできるのは運動によるエネルギー消費だけとなる。
「脂肪の蓄積にこれくらい、新しい骨の形成にはこれくらいのエネルギーを振り分けよう」と自分で決めることはできない。

だから、運動以外で消費されるエネルギーは「常に一定である」というわかりやすい仮説が生まれたのだが、これは完全に間違いである。

ジョギング

基礎代謝量、食事による熱発生効果、非運動性熱産生、運動後過剰酸素消費量、それから運動によって消費されたものをすべて足し合わせたものが、「総エネルギー消費量」だが、この数値は、摂取カロリーやその他の要因で、人によっては50%も前後する。(略)

仮に、私たちが一日に2,000 kcalの化学エネルギー (食べ物)を摂り入れるとしよう。この2,000 kcalはどのような代謝活動に使われるだろうか? 可能性として挙げられるのは、次のようなものだ。

・熱の発生 ・たんぱく質の合成 ・新しい骨や筋肉の形成・認知(脳) ・心拍数の上昇 ・1回拍出量(心臓が1回の拍動で送り出す血液の量)の増加 ・身体運動 ・解毒作用(肝臓、腎臓) ・消化(すい臓、腸) ・呼吸(肺) ・排泄(腸および結腸) ・脂肪の生成

五臓六腑(図)

私たちは、摂取したエネルギーが燃やされて熱になっても、たんぱく質の合成に使われてもまったく気にしないのに、ことエネルギーが脂肪として蓄えられるとなると気になって仕方がなくなる。

だが、人間の体が過剰なエネルギーを消費する方法は、体脂肪として蓄えるほかにも無数にあるのだ。

(略)

2.摂取カロリーを減らした時に何が起きるのか?

<ワシントンでのカロリー制限実験>

1919年、ワシントンのカーネギー研究所で、摂取カロリーを減らしたときにエネル ギーの総消費量がどのように変化するかについての詳しい研究が行われた。

研究対象とな ったボランティアは、1日1,400 kcalから2,100 kcal程度に食事を制限する半飢餓状態におかれ、経過を観察される。これは通常の摂取カロリーより30 %削減された食事である(今日の減量のための食事療法では、ほぼ同じレベルのカロリー 制限が課されている)。

その結果、実験参加者の総エネルギー消費量は 30%も減少し、平均して、実験前のおよそ3,000 kcalから1,950 kcalに減っていた。100年近くも前から、摂取カロ リーは消費カロリーに深く関わっていることが明らかだったわけだ。 
   

<ミネソタ飢餓実験>

その数十年後の1944年~45年、今度はアンセル・キーズ博士(1904~2004年)が飢餓実験を行っている。(略)
ミネソタの実験では、カロリー制限をしている時期と、飢餓状態からの回復期における人間の状態を理解する目的で行われた。(略)

実験内容はこうだ。被験者は平均身長 178センチ、平均体重 68・3キロの健康で、平均的な体格の若い男性36人。
始めの3か月、被験者は1日の摂取カロリーを 3,200 kcalとする、ごく標準的な食生活を送った。次の6か月は半飢餓状態にするため、1,570 kcalのみが与えられたが、目標である体重24%減(もとの体重比)を達成するよう摂取カロリーの調整が行われたため、1日の摂取カロリーを 1,000 kcal未満に制限された男性もいた。

炭水化物

与えられた食事は高炭水化物のものばかりで、ちょうど 戦後の荒廃したヨーロッパで手に入る食べ物と同じようなもの(ジャガイモ、パン、マカ ロニなど)が与えられた。肉や乳製品などはほとんど与えられなかった。加えて、彼らは 運動として週に22キロ歩かされた。
カロリー制限の時期が終わると、3か月間のリハビリ期間に入り、この間、徐々に摂取カロリーを3,000 kcalまで増やしていく。


いったい何が起こったのか。
実験を始めるまで、被験者たちは一日 約3,000 kcalを摂り、消費していた。それが突然、摂取カロリーを1日約1,500 kcalに減らされたことで、体の機能は30~40%のエネルギー削減を余儀なくされ、彼らの体内では混乱が生じたのだ。 

  • 体温が下がる。その結果、常に寒けを覚える。
  • 心臓のポンプ機能が弱くなり、心拍数と1回拍出量が減る。 
  • 血圧が過度に下がる。
  • 脳の認知機能が弱くなる。倦怠感を覚え、集中力が欠如する。
  • 動けなくなり、身体活動が不活発になる。
  • 髪や爪が生え変わらなくなり、爪が割れ、髪が抜ける。

毎日1,500 kcalしか摂取しないのに、体が毎日3,000 kcalのエネルギーを使い続けたとしたら、いずれ死に至る。当然である。だから、体はエネルギーのバランスをとるため、自動的に1日の消費カロリーを1,500 kcalに抑えようとするのだ。(略)ミネソタ飢餓実験の被験者たちは35・3キロほど体重が落ちる計算だったが、実際に落ちたのは16・8キロだけで、予測の半分以下にとどまった。


そのあと、被験者の体重はどうなっただろうか? 

半飢餓状態にあるとき、体脂肪は体重よりもずっと速く落ちていった。体に力を与えるため、体内に蓄積されていた脂肪から先に使われていくからだ。回復期に入ると、被験者の体重はおよそ12週間で元に戻った。だが、体重はその後も増え続け、結果的に実験前の体重よりも重たくなってしまった。(略)

ダイエット

摂取カロリーを減らすと消費カロリーも必然的に減るので、「摂取カロリーを減らせば 体重が減る」という理論の根幹となる仮定条件が、そもそも間違っているのだ。この結論は、これまでに何度も証明されてきた。

それでも私たちは、「今回のダイエットこそはどうか成功しますように」と願い続けている。うまくいくことはない。

カロリー制限をしたり、1回の食事量を減らしたりしても、倦怠感と空腹感を覚えるだけなのだ、と。最悪なのは...減った体重がすべて元に戻ってしまうことである。(引用以上)

(注)この「ミネソタ飢餓実験」と、私の言う「腸内飢餓によって人が太る」と言うのは意味が異なります。

3.摂取と消費は相互に依存している(私の感想)

「ミネソタ飢餓実験」について少し気になった点は、被験者が実験に入る前に食べていた 3,200 kcalが平均体重68キロの人が必要とする1日の摂取カロリーより高い気がした。これをベースに試験開始後のカロリー(1,570kcal)と比較するのは適正なのかということである。
もう一つは、この実験では被験者は肉や乳製品はほとんど与えられなかったということだが、微量栄養素(鉄、カルシウム、銅、亜鉛)やビタミン、タンパク質などは代謝に関わる栄養素もあるし、その不足は様々な病状を引き起こす。つまり被験者に起こった様々な症状は単に『カロリー摂取量』だけの問題ではないはずだ。この点は考慮して欲しい。
しかし、実験の本来の目的、その規模、過酷さを考えるとこのデータは貴重なものであると思うし、尊重しないといけないと思う。


▽私は痩せているのでダイエットはしたことはないが、同じ様な体の反応はもちろん経験がある。
30代の時、京都の和食店で働いていたが、忙しい桜や紅葉・年末の時期は休憩も食事もなしで12時間以上働く時もよくあった。体が疲れているので、無駄な動きはしないようになり、指先は冷たくなる。栄養分や酸素を細胞に運ぶために心臓の鼓動が激しくなる。元気に振舞ってはいても口数は減り、仕事の後の食べ物のことしか考えなくなる。


現在は調理の仕事は辞めているが、健康診断の時(朝食を抜いているので)、私の脈拍数は1分間に35程度の時がある。医者に「低すぎるからペースメーカーを入れた方がいい」と言われたこともあるが、断っている。

私は血液が少ないのは自分が分かっているから、血液を無理に循環させても別のところに歪(ひずみ)が来てしまうのではないかと思ったし、体が無駄なエネルギーを使わないためにワザと代謝を低く調整しているのだとも思っている。すべては、自分の意思とは関係がない。ホルモンのなせる技である。

ロボット

ゲーリー・トーベス氏が、「人はなぜ太るのか」で説明されたように、私たちはロボットではない。人間を含め動物はすべて命を最優先にするため、脳・心臓・肺・肝臓などをストップさせることはできない。
そのため食事を制限された動物は無意識に不活発になったり、優先度の低い可能なところから少しづつ代謝を減らすと考えるのは妥当ではないだろうか?

摂取カロリーと消費カロリーは、相互に依存している。数学的に言うなら独立変数ではなく、従属変数である。[1]

(引用元 [1]:「人はなぜ太るのか」P.89)

まとめ

(1) 運動以外で消費される(基礎代謝などの)消費エネルギーはホルモンにより自動でコントロールされるが、その値は一定ではない。摂取カロリーを減らせば、消費されるエネルギーも減ることが確認されている。

(2) 1919年、ワシントンのカーネギー研究所で行われた研究では、摂取カロリーが30 %削減されると総エネルギー消費量もおよそ30%も減少した。

(3) 1944年に行われたミネソタ飢餓実験では、被験者たちは摂取カロリーを約3千kcalから約1,500 kcalに減らされたことで、体の機能は30~40 %のエネルギー削減を余儀なくされた。体重減少だけでなく様々な症状が確認された。 

(4) 戦争、飢饉または科学実験で半飢餓状態におかれた人たちは、いつも空腹を感じるだけでなく、無気力になり、エネルギー消費量も少ない。体温が低下するため、彼らは常に寒さを感じる傾向にある。私たちが摂取するエネルギーと消費するエネルギーは相互に依存している
    

2014.07.12

太っている人のほうが、基礎代謝は高かった!

スリムな体を手にいれるための常識として、(日本では)一般的に、「運動で筋肉をつけ、基礎代謝をアップさせれば太りにくい体になる」と言われています。

そうです。基礎代謝による消費カロリーは、一日の消費カロリー全体の60~70%にあたるため、そう言われているのです。(注:仕事の強度により、一日の消費カロリーには差異があります)。

私は痩せているので、これには疑問をもっていましたが数年前にNHKで参考になる番組がありました。
かなり前の放送ですが、
『ためしてガッテン』 ”決定版、こんな簡単に痩せちゃいました SP” (2011年1月5日放送)

ムキムキの「筋肉はつらつチーム」と、ちょっと太めの「痩せられないチーム」の基礎代謝を精密に測定できる研究機関で調べたところ、なんと太目の女性チームのほうが基礎代謝が高いことが判明・・・。
アジアンの隅田さんと馬場園さんの基礎代謝も測ったところ、これも馬場園さんのほうが高かったのです。

実は基礎代謝の中で一番多く占めるのが、脳と内臓(心臓や肝臓)であり、筋肉は20%にすぎないのです。

50gのご飯(約80kcal)を消費しようと思うと、その筋肉量は、実に約2.8kgのお肉に相当します。
痩せる体質になるには相当の筋肉が必要のようですが、これでは筋肉デブになってしまいます。

そもそも基礎代謝とは、"何もしないときの消費エネルギー"なので、筋肉をつけてもあまり関係ないようです。このSPでは、実は痩せている人は小まめに動く人である~ということで、「活動代謝」を増やすことが大切である・・・と締めくくっています。


■ここで、基礎代謝について調べると、一般的な計算方法では、年齢による[基礎代謝基準値] に [体重]をかけたものなので(wikipediaより)、痩せている人のほうが基礎代謝が低くなり、太っている人が高くなります。

※基礎代謝基準値(wikipediaより)
年齢 男性 女性
18~29 24.0 23.6
30~49 22.3 21.7

35歳で50キロと75キロの男性を比較すると、実に500キロカロリー以上も違います。
22.3 × 50キロ=1,115 kcal
22.3 × 75キロ=1,672 kcal


▽もう1つの算出方法は、ハリス-ベネディクト(HBE)という計算方法です。
[男性]
[基礎代謝] (kcal/day)= 66.473+13.7516 [w]+5.0033 [h]-6.7550 [a]
w=体重 (kg), h=身長(cm), a=年齢

これら両方の算式でお分かりの通り、同じ年齢であれば、体重のより重たい人(より太っている人)の方が基礎代謝は高くなります。それだけ体が大きいのだから使うエネルギーも多いはずで、当然と言えば当然です。

もちろん、筋力をつけると、この基礎代謝基準値が若干アップするということなのでしょうが・・・
これから判断すると、”痩せている人の方が太りやすく、太っている人の方が痩せやすい” ということになります。
つまり「基礎代謝が高いから痩せている」という話は根拠に乏しいと言えるでしょう。
  

(「The Obesity Code」医学博士、ジェイソン・ファン著より引用)

肥満の人は自分の代謝量は低いと考えがちだが、実はその逆であることが証明されている。
体重が少ないほど総エネルギー消費量は少ない。やせている被験者の平均エネルギー 消費量は2404キロカロリーだが、肥満の人の平均エネルギー消費量は、運動をあまりしていないにもかかわらず、3244キロカロリーだ。

肥満の人の体は、体重を増やそうとしているのではない。余分なエネルギーを燃やして 減らそうとしている。
ではなぜ、肥満の人は肥満なのだろう? (引用以上)

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