— トピックス —
カロリー

2017.06.11

1日あたり20キロカロリーの重要性とは?

<目次>

  1. 1日あたり20kカロリーで何が変わるのか?
  2. 足し算、引き算では出来ないこと

私は、「人には体重管理において、現状維持的な機能がある」と言いましたが、それと関連する面白い記事があったので紹介します。今回は全て引用になりますが、ご了承下さい。

【関連記事】 「一番優先されているのは現状維持」

1.1日あたり20kカロリーで何が変わるのか?

(「人はなぜ太るのか?」 【ゲーリー・トーベス著】より引用)

体脂肪を毎年新たに2ポンド(約1kg)ずつ、25年間に50ポンド(約23kg)増やすためには、私達は毎日、何キロカロリー多く食べなければならないのか?

答えは1日当たり、20キロカロリーである。

【1日当たり、20kcalの超過 ×365日】とすれば、毎年7千kカロリーをやや上回る量のエネルギーを脂肪として蓄積し、結果として2ポンド(約1kg)の体脂肪が増加する。

脂肪の蓄積が「入るカロリー/出るカロリー」によって決まるということが真実であれば、「25年間に50ポンド(約23kg)増やすためには、毎日、平均でたったの20kカロリーを余分に摂取するだけでよい」ということである。それを元に戻すためには、毎日の摂取エネルギーを20kカロリー少なくするだけでよい。

20kカロリーは、ハンバーガーやクロワッサンの一口よりも少なく、ポテトチップス枚よりも少なく、ビールの60ml以下である。

米国国立衛生研究所(NIH)が言うように、体重を維持するために必要なことが、「摂取するエネルギーと消費するエネルギーを均衡させること」であるとすれば、1日あたり平均20kカロリーを過剰に摂取した場合には、最終的には肥満になるだろう。

自問してほしい。毎日、エネルギーの均衡点を20kカロリー超えることで、徐々に肥満となるのであれば、どうすれば痩せたままでいることが可能なのだろうか?

ビジネスマン

▽実際に、痩せた状態を維持している人たちはかなり多い。
肥満や過体重の人達でさえも、重いなりに、彼らの体重を維持している。さらに太り続けていないのであれば、摂取するカロリーと消費するカロリーを、平均で1日あたり20kカロリー以下に均衡させている。

ほとんど正確に知ることのできない『エネルギー消費量』と釣り合うようにするとしたら、いったい誰がそんなに正確に食べることができるのだろうか?これが、20世紀の前半の「入るカロリー/出るカロリー」が世の中の常識になる前に、この算数に関して研究者達が抱いた疑問である。

2.足し算、引き算では出来ないこと

<1936年>
当時の米国における栄養と代謝の第1人者とされた、コーネル大学のユージン・デュボア (Eugene Du Bois)は、20年間にわたり体重を1kg以上増やさないように管理している75kgの男性は、「入るカロリーと出るカロリー」の誤差を0.05%以内に調節していると計算し、「その正確さに匹敵する機械はほとんどない」と書いた。

デュボアは「私達はいまだに、なぜ太る人がいるのかを理解していない」と書いた。

サッカー
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また彼は「この栄養が過剰な社会において、なぜすべての人が太らないのか?」とも述べ、「身体の活動量と食物の摂取量が激しく変動するなかで、一定の体重を維持することほど不思議な現象はない」と付け加えた。

多くの人たちが何十年も痩せたままでいる事実(現在ではデュボアの時代よりは少ないが)、そして肥満の人達でさえいつまでも太り続けることはないという事実は、その体重調整において、カロリー理論で説明される以上の 『何か』 が働いていることを示唆する。(引用以上)

  

2017.05.24

カロリーの祖、ノールデン氏の文書(日本語訳)

まだの方は、こちらの記事を先にお読み下さい。
「カロリー意味あるの?カロリーの歴史はやはり神話なのか?」

▽ゲーリー・トーベス氏によると、
1900年代の初頭に「私達は、消費するよりも多くのカロリーを摂取するから太るんだ」(カロリーの原則)ということを初めて言ったとされるのがカールフォン・ノールデン氏(ドイツ人医師、1858~1944)です。
今回はそのノールデン氏の本を翻訳しました(一部のみ)。
  

■インターネットのアーカイブはこちらからご覧になれます。("Obesity"=「肥満」p.693~)

■英文はこちらから(p.693~695)

■日本語訳はこちらから(p.693~695)


ウェキペディア(Wikipedia)によると、この本は論文等ではなく出版本(1907年)と考えられますが、その当時、ノールデン氏がどれほどの影響力をもっていたかというのは、1905年10月の New York Times の記事を見てもお分かり頂けると思います(この記事も私が独自に入手いたしました)。
ノールデン氏が、アメリカで6回の講演を行うという内容です。

  

この中で、ノールデン氏のことが書かれています ↓↓↓

(日本語訳)
ノールデン教授は、腎炎や肥満、その他の代謝障害による慢性疾患の研究者として最も著名な人物である。
彼は、この医学分野の多くの研究の著者(創始者)であり、世界の基準として認められている。

(日本語訳)
教授はCothamホテルに滞在し、多くの来訪者を受けている。彼のニューヨークでの知人は医療専門家だけではない。彼の個人病院では数多くの著名なニューヨーカーが治療を受けているためだ。彼がいつドイツに戻るのかは未定だが、おそらく帰国までの間に複数の主要な医療センターを訪問するであろう。(以上)

▽この著書のその後については、まだ調べているところですが、ノールデン氏が、肥満や糖尿病の権威であったからこそ、あっという間にカロリーの原則「入るカロリー、出るカロリー」が世界中に広まってしまった可能性はあります。
  

2017.03.27

カロリーと肥満の関係は熱力学で説明できるのか?

<目次>

  1. 「入るカロリー / 出るカロリー」と熱力学の法則
  2. 人体は化学反応の塊である
  3. 食べたカロリー量と体に吸収された量は同じではない
(1)何をもって「摂取カロリー」とするのか?
(2)エネルギー摂取量が増えるとき
<まとめ>

まず、こちらの記事を先にお読みください。
【カロリー意味あるの?カロリーの歴史はやはり神話なのか?】

1900年代初期にカール・フォン・ノールデン(ドイツ人の糖尿病専門家)が「私たちは消費するよりも多くのカロリーを摂取するから肥満になる」と初めて主張されました。
つまりこの主張が現代まで脈々と続いて、「カロリーの摂り過ぎや運動不足が太る原因である」と言われているようです。
今回は、その理論の根拠とされた「熱力学の法則」(エネルギー保存の法則)について説明したいと思います。

1.「入るカロリー / 出るカロリー」と熱力学の法則

「人はなぜ太るのか」ゲーリー・トーベス著 より引用)

熱力学には3つの法則があるが、専門家たちが「人はなぜ太るのか?」を決めているとするのは第一法則である。

この法則は『エネルギー保存の法則』としても知られ、「エネルギーはつくられることも壊されることもなく、単に1つの形から別の形へと変わる」ということを示しているだけである。

たとえば、ダイナマイトを1本爆発させると、化学的に結合したニトログリセリンの潜在エネルギーが熱と爆発の運動エネルギーへと変換される。
すべての質量はエネルギーからできているため、別のいい方をすれば、私たちはゼロから何かを、または何かからゼロをつくることはできない。

花火

これ(熱力学の第一法則)はとても単純なため、専門家たちがどのように法則を解釈するかが問題となる。

この法則は「何かが大きくなったり小さくなったりするには、より多くのエネルギー又はより少ないエネルギーが、そこから出るよりもそれに入らなければならない」としているのである。この法則はなぜそれが起きるのかについては何も示していないし、その原因と影響については何も言っていない。
(略)論理学者はこの法則には、原因についての情報が全く含まれていないと言うだろう。

▽ここで「人はなぜ太るのか」について話す代わりに「部屋がなぜこんでいるのか?」という話を考えてほしい。

ここまで私たちが論議してきたエネルギーは、脂肪組織だけではなく、人間のからだ全体に存在する。つまり10人の人間はそれ相当のエネルギーをもち、11人はより多くもち....という具合である。(略)

もしあなたが私に「部屋がなぜこんでいるのか?」という質問をしたとして、私が「そうだね、それは部屋を出た人よりも入った人のほうが多いからだよ」と答えたとすれば、おそらくあなたは私が賢いか、あるいはバカであると思うであろう。

あなたは「もちろん、それは明白だ。しかし、何故か?」と聞くであろう。

実際、「出るよりも入る人が多いから混んでいる」というのは、同じことを2つの違う言い方で表すことであり、意味がないのである。
  

さて、肥満に関する社会通念の論理を借りて、この点を明らかにしたい。

「あのね、出るよりも入る人が多い部屋は、混んでいるだろう。熱力学の法則を避ける方法はない」言ったとする。するとあなたは、「それはそうだが、それがどうした?」と答えるか、私は少なくとも、あなたがそう言うことを期待する。

なぜなら、私はまだ原因についての情報を与えていないからである。

「過食が私達の肥満の原因である」と結論づけるために熱力学を利用すると、このようなことが起きる。

スイーツ食べる

▽米国国立衛生研究所(NIH)は、インターネット上で「肥満は、人間が消費する以上のカロリーを食物から摂取すると起きる」といってい る。

NIHの専門家たちは実際のところ、起きる」という言葉を使うことにより、過食が肥満の原因であるとはいわず、単に必要条件であるといっているのである。

専門的にいうと彼らは正しいが、そのとき「わかったよ、だからどうした? 肥満が起きたとき、次に何が起きるかということは話してくれるけど、なぜ肥満が起きるかについては話してくれないんだね?」というかどうかは、私たち次第である。
(引用以上)

2.人体は化学反応の塊である

(「やせたければ脂肪を摂りなさい」ジョン・ブリファ著より引用)

第1法則は、エネルギーはつくり出すことも消滅させることもできない」というものです。言い換えると、エネルギーをひとつの形態から別の形態に変換することはできても、宇宙のなかのエネルギーの総量は一定のままなのです。

この法則が体重管理にどう当てはまるのでしょう?
ある人の体重が長年安定しているとしましょう。
第1法則によると理論上は、この人が食べ物のかたちで摂取するカロリーは、その人が代謝と活動で消費するカロリーと等しいことになります。つまり 「入るカロリー = 出るカロリー」です。


ところが、
熱力学の第1法則は実は「閉鎖系」についての法則です。
この系は、周囲の環境と熱やエネルギーのやり取りはできても、物質のやり取りはできません。これは人間に当てはまるのでしょうか? 

化学反応

当てはまりません。
人間の体は実際、おもに食物や糞尿などの老廃物というかたちで、物質を周囲の環境とやり取りしています。

さらに厳密に言うと、第1法則は化学反応が起こらない系についての話です。しかし人体は基本的に化学反応の塊です。

したがって、やはり熱力学の第1法則は、体重管理に関することには当てはまりません。(引用以上)

【関連】→ 吸収量がもっと重要視されるべき

3.食べたカロリー量と、体に吸収された量は同じではない

2人のの著者が熱力学と体重管理に関する素晴らしい指摘をしてくださいました。これらの考えを踏まえて、私も熱力学と私の理論の関係について2点言及したいと思います。
  


(1)何をもって「摂取カロリー」とするのか?

私も基本的に、ある人の体重が長年安定しているなら 『体に入るエネルギーと、体内で基礎代謝や活動に使われるエネルギー』は釣り合わないといけないと思っています。しかし問題はどの時点で私たちが「摂取」したと考えるかである。

食べる瞬間

私がこのブログで何度も取り上げているように、私たちが食べ物を口に入れた時点でカロリーを計算し、”摂取カロリー” と考えるなら、何割かの人にとって、それは消費されたエネルギーとは釣り合わなくても不思議でない。

なぜなら、ブリファ氏が指摘されたように、私たちの体は「閉鎖系」ではないからだ。

腸から吸収されたエネルギーを摂取カロリーと考えるのであれば、より「閉鎖系」に近づくはずだ。

▽牛乳のカルシウムを例にとって説明しよう。

私達は、牛乳を飲めば飲むほど摂取カルシウムが増え、骨がより丈夫になるわけではないということを経験的に知っています。寝たきりのお婆さんが、2時間おきに1日5杯の牛乳を飲んだからといって、骨が丈夫になる訳ではないし、それはむしろ逆効果の時もある。

たったグラス1~2杯の牛乳でも、運動したり、空腹を我慢することにより吸収力は高まり、骨はより丈夫になることもある。

牛乳
運動、高齢者

つまり釣り合っているのは、飲んだ量ではなく、腸から吸収されたカルシウム量と、吸収後に体内で使われる(尿として排出される分もある)カルシウムではないだろうか。

ブリファ氏が指摘されたように、私たちの体は「化学反応の塊」であるので、吸収されなかったものは糞尿の形で体外にでてしまう。
   

(2)エネルギー摂取量が増えるとき

私の腸内飢餓メカニズムを元に説明すると、長年同じ体重を維持している人が、普段食べているカロリー摂取量(例えば、毎日約2000kcal)や炭水化物摂取量を大幅に減らしても、「3要素+1」の基準を満たせば体重を増加させることが可能です(これは基本体重がアップしたことを意味する)。
【関連記事】 
偏食と不規則な生活が腸内飢餓をつくる(3要素+1)


もちろん太るのは、その後に元の食事に戻したときであるが、この場合、
吸収量そのものがアップし、体脂肪だけでなく、血液や筋肉も増えて「体重が増加する」ことを意味する。つまり、食べる量やカロリーは以前と同じであっても、以前よりも多くのエネルギーや栄養素を体内に取り込んでいるので、体が大きくなったといえるだろう。

トーベス氏の言葉を借りれば、「10人で混んでいた部屋が11人になった」と言えるが、この場合、それを引き起こした原因は腸内飢餓であると言える。

まとめ

(1) 人の体は化学反応の塊で、「閉鎖系」ではないため、実際に食べた(口に入れた)カロリー合計と消費カロリーを比較することは意味がない。この場合、「熱力学の法則」は成り立たない。

(2) 実際に腸で吸収されたカロリーをベースに考えると、より「閉鎖系」に近づき、代謝や活動によって消費されたカロリーと釣り合うはずである。

(3) 腸内飢餓が引き起こされ、基本体重がアップすれば、以前と同じ量を食べていたとしても体重が増加する。この場合、体に取り込まれたエネルギーは増加していることを意味する。吸収そのものがアップするので、体重の増加は体脂肪だけでなく、血液や筋肉量などの増加も関係する。
   

2017.03.07

カロリー意味あるの?カロリーの歴史はやはり神話なのか?

<目次>

  1. 「入るカロリー / 出るカロリー」説の誕生
  2. 今もなお、増え続ける肥満
  3. ノールデン氏の書物

私はリサーチのプロにお願いし、国立国会図書館で『カロリーの摂取量が消費量よりも多いから太る』というような関連の論文を1900年前後から探してもらいましたが、今回は探すことはできませんでした。(このブログの最後に若干の成果を報告します。)
やはり頼りになるのは、この本(ゲーリー・トーベス氏)しかありません。

1.「入るカロリー/出るカロリー」説の誕生

(「人はなぜ太るのか?」ゲーリー・トーベス著より引用)

1900年代初期にドイツ人の糖尿病専門家 カール・フォン・ノールデン(carl von Noorden)「私たちは消費するよりも多くのカロリーを摂取するから肥満になる」と初めて主張して以来、専門家もそうでない人も、ともかく熱力学の法則(エネルギー保存の法則)により、これが真実だと決められていると主張してきた。

そうでないと主張すること、つまり私たちが過食と座りがちな行動と対をなす「罪」以外の原因によって肥満になるかも知れないこと、あるいは意識的に食べる量を減らさなくても、あるいは運動を増やさなくても脂肪が減るかもしれないことは、コロンビア大学の医師ジョン・タガートが1950年の肥満に関する会議の挨拶で「感情的で無根拠」と断言したように、いつも「インチキ」として扱われてきた。彼は「私達は、熱力学の第一法則 の妥当性に絶対的な確信をもっている」と付け加えた。

宇宙

そのような確信は誤りではない。しかし、それは肥満になることについて「熱力学の法則」が他の物理学の法則以上に物語ることを意味するのではない。

ニュートンの運動の法則、アインシュタインの相対性理論、量子論などが宇宙の特性を示すものであることはもはや疑問の余地はない。しかし、熱力学の法則は 「なぜ人は太るのか?」 については説明していない。

このたった1つの単純な事実(熱力学の法則)を専門家達が理解できなかったために、驚くほど間違った助言がなされ肥満問題の拡大につながった。

熱力学の法則が肥満の説明になっているという誤った解釈がなかったら、「消費するよりも多くのカロリーを摂取するから太るのである」という見解そのものが存在しなかったであろう。

医者

▽ブルッフ(ドイツの小児科医、1934年に米国に移住)の時代の医師も今日の医師たちも考えが足りないわけではない。

彼らは単に、私達が太る理由は議論の余地のないとする『欠陥のある信念体系(パラダイム)』を持っているだけである。
太る理由は、食べ過ぎているか運動が少なすぎるか、その両方であり、したがってそのをすることが治療になると医師たちは言う。(~略~)

これが1957年にブルッフが述べた、”肥満の問題は身体が必要とする以上に食べているという単純な問題だと、米国民に広くいきわたった考え方” であり、そして今やこの考え方は世界中に広まっている。

私たちはこれを「入るカロリー/出るカロリー」、または過剰な脂肪の「過食」パラダイム、専門用語を使いたければ「エネルギーバランス」パラダイムと呼ぶ。世界保健機関(WHO) は「肥満と過体重の根本的な原因は摂取したカロリーと消費したカロリーのエネルギー的不均衡である」といっている。

運動

消費する以上のエネルギーを摂取すれば (科学用語ではプラスのエネルギーバランス)太り、摂取する以上に消費すれば (マイナスのエネルギーバランス)やせる。

食物はエネルギーであり、私たちはそれを「カロリー」として測定する。したがって「消費する以上のカロリーを摂れば太り、消費するよりも少なく摂ればやせる」のである。

体重に関するこの考え方は非常に説得力があり広く普及しているため、 現在それを信じないというのは、ほとんど不可能である。たとえ私達がそれに反する証拠 (日常生活でいくら意識的に食べる量を減らし、 運動量を増やしても成功しない)をたくさん持っていたとしても、”私たちが摂取・消費するカロリーによって肥満が決まる” という概念よりも、自分たちの判断と意志の力のほうを疑うだろう。" (引用以上)(P. 12-13, 82-83)

2.今もなお、増え続ける肥満

肥満女性
(引き続き「人はなぜ太るのか?」より引用)

肥満の流行を考えてみよう。
50年前、表向きは米国人の8~9人に一人が肥満と考えられていたが、今日では3人に1人が肥満であり、過体重まで含めると3人に2人となる。

この数十年間の肥満の蔓延において「入るカロリー/ 出るカロリー」のエネルギーバランスの概念が幅をきかせたため、公衆衛生を担当する役人たちは、その原因を、私達が彼らの指示(運動をすること、食事を減らすこと)を守らないからだと思い込んでいる。

1998年マルコム・グラッドウェル(ジャーナリスト)は、雑誌 ”The New Yorker” でこの矛盾をついた。

彼は「私達は摂取するカロリーを減らし、運動をしなければ体重が減らないことを教えられてきた」と書いた。さらに、「実際にこの勧告についていける人がほとんどいないということは、私達の力不足、あるいは勧告に欠陥があるからである。医学の通説は自然と前者の立場を、ダイエット本は後者の立場をとる傾向にある。医学の通説が過去にどれほどの間違いを犯したかを考えると、それは不合理ではない。彼らの勧告が正しいかどうかを検証する価値はある」 と述べている。
   

(ゲーリー・トーベス氏)

肥満は、エネルギーバランス、あるいは「入るカロリー/ 出るカロリー」または過食による異常、熱力学とは何の関係もない。もし私達がこれを理解できなければ、「なぜ太るのか?」という問題に対し、これまでの慣習的な考え方へと後退し続けてしまう。それがまさに1世紀にわたって続く泥沼である。

(引用以上)(P. 14-15, 83)

3.ノールデン氏の書物

テレビ番組ではあいかわらず、医師や栄養士が「消費された以上に食べれば太るのは小学生でも分かることです・・」「太る原因は食べ過ぎか、運動不足です・・・」と自信満々に言っているのを見ると、私は本当に嫌な気持ちになるんです。
しかしそれって、凄く薄っぺらで、いかに根拠のない事柄であるかがお分かり頂けたかと思います。

以下の記事で「熱力学の法則」についてより詳しく説明します。

【関連記事】→『肥満とカロリーの関係は熱力学で説明できるのか』
  

また冒頭で、若干の成果といいましたが、カール・フォン・ノールデン氏の書(論文?)を入手することができました。これも翻訳して、皆さんに紹介できればと思います。お楽しみに!

ノールデンの書
ノールデン書(メタボリズム)

「代謝と実践医学」(Chapter Ⅲ、”Obesity(肥満)” )

2015.06.27

カロリーを単純合計することに意味はない

<目次>

  1. 人の体はそれほど単純ではない
  2. 単純に合計することに意味のない理由
    (1)~(3)

1.人の体はそれほど単純ではない

一日の摂取カロリーを単純に合計して、(平均的な)消費カロリーと比較し、太った(又は痩せた)かを議論することに意味がないという話をしたいと思います。

食事摂取ガイドラインによれば、日本人の一日に摂取すべきカロリーは、平均的な活動量18才~69歳の男性で、2,000~3,000kcal、女性では1,400~2,400kcalと言われています。もちろん、それは年齢、身長や体重、身体活動量、その他の要因によって変わります。

そして、『あなたの体が必要とするカロリーより多く摂取すれば太り、摂取するカロリーより多くのカロリーを燃やせば痩せる』と言われています。

この理論を基に、テレビなどで栄養士や医師などが、太ってしまった人と痩せている人の違いを説明するときに使うフレーズがこれではないでしょうか?(下図)。

(TVでよく聞く栄養士のフレーズ)

本当にそうなのでしょうか?

一日の摂取カロリーを単純に合計することは、大量調理(給食や老人ホーム)などの場合に、平均的な目安として計算することには意味がありますが、それを一人一人に厳密にあてはめても意味がないし、過体重・肥満という概念においてはまた別の問題です。

2.単純に合計することに意味のない理由・・・

他にも考えられますが、今回は私独自に3つの点を説明したいと思います。

(1)体重が増えるのには、2つのパターンがある

基本体重(BW)に戻る場合(図のb:の矢印)はカロリー値の大小が影響しますが、基本体重(BW)がアップするのは腸の飢餓メカニズムなので、カロリーの絶対値に直接起因しません。

むしろ空腹を長時間にわたり我慢している事、バランスの悪い食事などが太る原因となります。
【関連記事】➡「”太る”という言葉の2つの意味」

よって今回の記事では、グラフの(b)の部分において、摂取カロリーを正確に計算して、どれだけ瘦せたかを議論することに意味があるのか(又はないのか?)を、以下の(2) (3) で説明したいと思います。
既にお気づきかと思いますが、仮に数キロ痩せたとしても、これは一時的な減量方法であり、根本的な肥満の解決方法ではありません。

(2)食べた物の "表示カロリー合計" と 消費カロリーを比較しても仕方ない

「あなたの体が必要とするカロリーより多く摂取すれば太る」:このメッセージは非常に単純であり、ある意味で核心をついているとも言えます。そのため、多くの人はこのアドバイスを信じて疑いさえしません。しかし、この表現は非常に曖昧なため、「体が必要とするカロリー」「摂取するカロリー」という表現を、私達がどの様に理解するかが重要であると考えます。

カロリーに限らず栄養素すべてにおいて、食べたものがすべて消化・吸収できているわけではなく、消化率や吸収率には個人差が大きいと考えます。また表示カロリーは「燃焼熱」から計算されているようですが、体内での反応は胃酸や酵素による化学反応です。

だから、表示されるカロリー値や栄養の数値を鵜呑みにして合計しても余り意味のないことです。本来比較すべきは、腸からの吸収量のはずです。
【関連記事】「吸収量がもっと重要視されるべき」

食べた物と消費量で比較は無理

カロリーを減らしても中々体重が減らないという人は、表示カロリー以上のカロリーを吸収しているだろうし、いくら食べても太れないという人は表示カロリー以下のカロリー、栄養しか吸収できていないと言える。

痩せている人は代謝がいいのではなく、吸収率によって取り込める限界があると考えます。

日本では、『あなたは食べても太らないなんて効率悪いね・・』と言われることがありますが、その通り、効率が悪いのです。これを例えば、量で補おうとしても、相対的に吸収率は低下するので増えません【(3)参照】。

逆に、少量しか食べなくても太ってしまう人(痩せない人)を『水を飲んでも太る体質』と表現することがあります。もちろん水だけで太るというのは大袈裟な表現ですが、それくらい太りやすいという人がいるのも事実で、これも『吸収率』を表した言葉です。

 

(3)吸収率は一定ではなく、空腹や運動で高まる 

痩せたいと思う人は、カロリーを正確に計算し、体重をコントロールしようとします。もちろん初めは少し減るかも知れませんが、思った以上に体重は減らないことに気づくでしょう。

吸収率は、空腹が続く時や運動後に高まります。それとは逆に、空腹でもないのに無理して食べ続けると吸収力は相対的に低下します。いつも同じペースで吸収しているのではなく、腸で調整されているために、その人の現状維持が保たれていると、私は考えます。(また、カロリー摂取量を減らせば代謝量低下するということも実験で証明されています。)

つまり食べる量が減っても、ある程度の範囲であれば、体はできる限り調整しバランスを保とうとするのです。それは体温がいつも36度前後に保たれているかのごとくです。


もう少し具体的に言うと、昼食を抜いて夕食まで我慢したとしても、お腹の中には朝に食べたものが残っており、そこから栄養を摂ろうと体は必死に頑張っているんです。

吸収できる栄養がお腹になければ、体に蓄えられている栄養を一時的に分解して使うこともあるでしょうが、空腹が続けば続くほど夕食を摂ったときの吸収率も高まります。そして、ある程度の範囲内であれば、トータルではその人の恒常性を保つように体は働いているのです。

だから、減らしたカロリー分を毎日合計しても体脂肪はそれほど減らないはずです。

➡昼食のかつ丼(約800kcal)をおにぎり(2個:430kcal)に替えてみると、計算上は単純に-370kcalですが、それは数値上だけのことであり、それを1か月分合計しても意味のないことです。

むしろ、昼から夕食の間に飢餓メカニズムが生じれば、長い目で見ると太る原因(BWのアップ)となることも・・・


▽また逆パターンとして、太りたい人が無理してたくさん食べたとします。お腹も減ってないのに無理して食べても相対的に吸収率は低下します:バーベルなどの激しい筋力トレーニング時はプロテイン・牛乳などを摂ることも必要)

3~4時間かけて消化され胃袋をやっと出て、『これから吸収するぞ・・・』という時に、また胃に別の食べ物が運ばれてくるわけだから、体は『また、食べ物が入ってきたぞ。あれから栄養を摂ればいいや・・・』という風になるわけです。

昔から『空腹こそ最大の栄養』と言われる所以がわかりますね~。吸収率をアップさせるのは『空腹』と『運動』(特に筋肉への負荷運動)なんです。

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