トピックス

2025.12.12

減量後に体重のリバウンドを促進する生物学的反応

要 約

・カロリー制限によって個人が体重を減らすと、代謝、神経内分泌、自律神経、行動の変化の協調的な作用を伴う適応反応が引き起こされ、体重の再増加が促される。これは、減量のためのカロリー制限がしばしば失敗する理由を説明できる可能性がある。


(1) 代謝適応
カロリー制限による減量では、体組成の変化から予測される範囲を超えて、有意に安静時エネルギー消費量が低下する。この適応は、かつて肥満だった人だけでなく、もともと痩せ型の人にも見られ、体重が元に戻りやすくなる状態を生み出す。

     
(2) 内分泌機能
レプチンやグレリンなど、消化管や脂肪組織から分泌されるホルモンは、食欲、食物摂取量、およびエネルギー消費を調節している。カロリー制限は満腹感を低下させ、空腹感を増大させるため、過食を招く可能性があります。

      
(3) 食物報酬、依存症との類似性
美味しい食べ物は、ドーパミンなどの神経伝達物質を通じて、報酬に関連する神経回路を活性化させます。この快感をもう一度得たいという欲求が、さらなる摂食への動機づけとなる可能性があります。カロリー制限や断食は、特に高カロリーで非常に美味しい食品の報酬価値を高める可能性があります。

      
(4) 抑制制御、過食
短期的なダイエットの成功は、「食べたい」という欲求を一時的に抑制する抑制反応の強化によるものかもしれない。しかし長期にわたる食事制限は、報酬に関連する反応を強め、抑制制御を弱める可能性があり、その結果、食欲の衝動に抵抗することがますます困難になる。

       
(5) 脂肪細胞の大きさと数
減量によって脂肪細胞の大きさは縮小するが、数は基本的に変化しません。縮小した脂肪細胞では脂肪分解が低下し、脂肪を再び蓄積しやすくなることで、体脂肪の再増加を促す可能性があります。

       
(6) 腸内飢餓
上記の(1)~(5) の反応とは異なり、私の「腸内飢餓」仮説では、食べた物が完全に消化され、腸管内に未消化物が残らない状態を、生体が飢餓シグナルとして認識する可能性を想定しています。

       
結  論
一部の研究者は、「これらの減量後に体重の再増加を促す生物学的力は非常に強力であり、克服するのは容易ではない」と指摘する。私は、こうした反応を「克服する」のではなく、できるだけ強く起こさないような食事・生活習慣を取り入れることが、長期的な体重管理には重要だと考えます。

【全 文】

<目次>

1.リバウンドを促進する多様なメカニズム
(1)代謝適応
(2)内分泌機能
(3)食物報酬、依存症との類似性
(4)抑制制御、過食
(5)脂肪細胞の大きさと数
(6)腸内飢餓

2.結  論

<はじめに>

「肥満者は食べる量を減らし、運動するように」という処方箋は、長期的な成功率の低さが繰り返し報告されているにもかかわらず、現在でも体重管理のための一般的なアプローチとして広く用いられています[1]

一方で、近年の遺伝学・疫学・生理学などの研究から、体重や体脂肪は生体によって一定の範囲に保たれるよう調節されていることが明らかになっており、ダイエットの長期的な成功率の低さを説明する生物学的な枠組みが整いつつあります。個人が減量すると、代謝、神経内分泌系、自律神経系、さらには行動にまで及ぶ協調的な適応反応が引き起こされ、減量した状態を維持することに抵抗することが示されています[4]

     
今回は、このような減量後の体重回復(リバウンド)や、場合によってはさらなる体重増加を促す可能性のある生物学的メカニズムについて簡単に紹介します。また、これらの生物学的メカニズムと、私の「腸内飢餓」理論との関係や違いについても説明します。

【関連記事】 ダイエットの普及が肥満増加に拍車をかけている可能性 

1.リバウンドを促進する多様なメカニズム

   
(1)代謝適応

エネルギー制限は安静時エネルギー消費量(REE)の減少と関連している[5]。多くの研究では、行動的な減量により、体組成の変化や食べ物の熱効果に基づいて予測されるよりも、安静時および総エネルギー消費量が有意に大きく減少すると報告されている[4,6]

この現象は適応性熱産生(AT)または代謝適応と呼ばれ、体重が戻るのに理想的な状況を作り出す[7]

      
代謝適応は、身体が飢餓状態と認識した際に、生存に必要なエネルギーコストを低下させ、延命を図る反応として目的論的に解釈することができるが、興味深いのは、肥満の人にも同様に作用し、エネルギー貯蔵量(体脂肪)の大小によって弱められないように見えることである[7,8]

基礎代謝の低下

(著作者 rawpixel.com /出典:Freepik)

しかし、その開始時期についての証拠は一貫性がない[9]。いくつかの研究では、エネルギー制限から1週間以内にATを検出した。これは、インスリンの急激な低下、グリコーゲン貯蔵の枯渇、細胞内外の液体の損失に関連している[10]

対照的に多くの証拠は、ATの発症するまでに数週間かかることを示唆しており[11]これは、貯蔵脂肪の減少によるレプチン分泌の低下やその他の生理的適応と関連している[9,12]

ATの持続性についても議論の余地が残るが[7]、減量前より低い体重でエネルギーバランスが回復した後も代謝適応が何年にも渡って続く可能性が指摘されている[13]

(2)内分泌機能

消化管と脂肪組織から分泌される多くのホルモンが、食欲、食物摂取量、エネルギー消費量、および体重の調節に関与していることがわかっています[14,15]

   
レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、食欲を抑え、エネルギー消費に影響を与えることで体重を調節します。レプチンレベルが高いと脳はエネルギー貯蔵量が多いと解釈し、レプチンレベルが低いとエネルギー貯蔵量が少ないと解釈します[16]

レプチンは、エネルギー制限後 24 時間以内に低下すると確認されているが [17]、多くの研究では、脂肪組織の損失に対して予想されるよりも大きなレプチンの減少が報告されています[18,19]

レプチンの主な役割は、体重調節そのものではなく、飢餓の防止である可能性が示唆されており[15,20]レプチンレベルが閾値(特定の反応の起こる境界値)未満になると、まだ豊富な脂肪が蓄積しているにもかかわらず、飢餓防御反応が誘発され[17]、代謝率と身体活動性が低下し、空腹感が増加する[ 21,22]

(注1)この閾値は脂肪組織の増加に伴い上昇すると提案されている[17]

   
さらに、減量した人において、食欲促進ホルモンであるグレリンの増加と、食後満腹シグナルであるペプチドYY(PYY)とコレシストキニン(CCK)の減少が観察されています[23]

したがって、食事療法による減量は満腹感の低下と空腹感の増加を同時に引き起こし、過食を促す可能性があります[15]

(3)食物報酬、依存症との類似性

食物報酬とは、食物に対する脳の報酬的な反応であり、食事をすることで得られる喜びや満足感と、「また食べたい」という動機付けを生み出します。脳内の報酬系という神経回路が活性化され、ドーパミンなどの神経伝達物質が放出されることで、幸福感や食欲増進につながります。

ドーパミン

(著作者 rawpixel.com /出典:Freepik)

食物摂取量の調節には、恒常性因子非恒常性(快楽的)因子の密接な相互関係があります。

前者は栄養必要量に関連し、血液と脂肪貯蔵庫内の利用可能なエネルギーを監視し、エネルギーバランスを維持する。後者の多くは脳の報酬系に関連しています[24,25]

食物摂取量は、多くの場合は恒常性によって調整されるが、報酬関連シグナルは、本来は安定した体重を維持するために働く恒常性シグナル(満腹感)を容易に上書きするため、過食につながる可能性があります[25,26]

現代の神経画像技術(機能的磁気共鳴画像法:fMRI) を用いた実験により、栄養状態(例:空腹時 vs. 摂食時)と食物刺激(例:高カロリー vs. 低カロリー、食欲をそそる vs. 味気ない食品)は、どちらも脳報酬系の活動を変化させることが知られている[27-29]

健康的な人を対象とした最近の研究では、短期又は長期のカロリー制限や絶食は、特に高カロリーで美味しい食品の報酬価値を高める可能性があることが示された[27,30]

これらの研究結果は、カロリー制限ダイエットがしばしば失敗する理由を説明できるかもしれません[28,30]

<食物依存と薬物依存:その共通点と違い>

薬物と食品は共通する特性を持つ一方で、重要な点において異なる。

コカインなどの乱用薬物は脳のドーパミン回路に直接作用するが、食物は同じ回路により間接的に影響を与える。味覚や嗅覚からの情報、消化管に存在する栄養センサー[31]、さらに食物の消化・栄養吸収の過程で分泌されるホルモンは、いずれも脳へ情報を伝え、ドーパミン系を活性化します[25]

食物中毒

砂糖・甘味料・塩・脂肪などの食品成分に依存性の様なプロセスを引き起こす可能性があるかどうかは議論されているが[25]、脂肪や糖分を含む高カロリーな食品(例えば、チョコレート、アイスクリーム、クッキー)や塩味のスナック菓子などは、ストレスの多い現代社会では快楽と満足感を生み出す強力な報酬となるため、「食品依存」という概念で薬物依存との類似性が指摘されている[32,33]

 
(4)抑制制御、過食

食物摂取は、主として、恒常性維持系、報酬関連系、抑制系という3つの相互作用する神経系によって調節される[15]抑制系は、主に自制心や意思決定をつかさどる脳領域が関与しており、食行動を調整し、過剰な食物摂取を抑制するのに役立っている[34]

食物報酬の認知制御

人間において、美味しい食べ物を求め摂取したいという衝動は、実行機能(自制や意思決定に関わる認知プロセス)によって抑制される。

日常生活における中心的なジレンマの一つは、自分の内的目標(例えば、健康維持や体重管理のためにスイーツを控える)と、食欲をそそる食物を摂取するという目先の報酬とのバランスを取ることです。この葛藤は、食べたくて仕方ない食べ物(例えば、ドーナツやピザ)がすぐに手に入る場合に特に困難です[25]

過食

(著作者及び出典: Freepik)

ダイエットの短期的な成功は、抑制性神経反応の亢進が、おいしく高カロリーな食品を消費するという神経生物学的衝動を一時的に克服できることを示唆している[35]

しかし、近年の研究では、報酬関連の神経活動も、抑制系の神経活動と並行して増加することが示されています[36]

つまり簡単に言えば、食事制限が長引くに連れ、食欲をそそる美味しい食品を食べたいという衝動が抑えられなくなる可能性がある。

若者を対象とした前向き研究、並びにげっ歯類による動物実験の結果は、24時間の断食や無脂肪食を特徴とする著しいカロリー制限は、将来の無茶食い神経性過食症の発症リスクを高める可能性を示唆している[37,38]

(5)脂肪細胞の大きさと数

減量ダイエットでは脂肪細胞の大きさは縮小するが、脂肪細胞の数は減らない[39]。体重が抑制されていた人の体重再増加が、過形成(脂肪細胞数の増加)によって促進されるかどうかはまだはっきりと分かっていないが[15]、肥満ラットによる研究では、絶食後の再給餌で脂肪細胞数の増加(過形成)が観察された[40]

人においても、以下の可能性が指摘されている。

通常、エネルギーが不足しているときには、脂肪貯蔵庫のトリグリセリドは分解され、細胞にエネルギーを供給します。

しかし、脂肪分解の速度は脂肪細胞の大きさと細胞表面積に関連しているようであり[41]、脂肪細胞が小さくなることで脂肪分解の速度が低くなります。

  
縮小した脂肪細胞が、脂肪の分解よりも蓄積を促すように機能的に変化すると、それらは再び徐々に肥大化し、失われた体脂肪の再増加を促す可能性があります[15,42,43]

体脂肪増加

(著作者 brgfx /出典 Freepik)

(6)腸内飢餓

上記の(1)~(5)の反応は、エネルギー制限や減量に伴って生じる一連の抗飢餓(あるいは抗減量)メカニズム(注2)と考えられています[15]。その一方で、私の「腸内飢餓」仮説では、食べた物が完全に消化され、腸管内に未消化物が残らない状態を、生体が飢餓シグナルとして認識する可能性を想定しています。

腸内飢餓は、減量目的の厳格な食事制限(食事を抜く、極少量しか食べないetc)で引き起こされる場合もあるが、より気軽なダイエットや、減量とは直接関係のない生活習慣(朝食抜き、軽い昼食、遅い夕食、一日二食など)でも、引き起こされる可能性があります。

    
また私は、腸内飢餓による適応反応によって、体重の設定値上昇を示唆する体重増加が起こりうると考えていますが、この体重増加には、体脂肪だけでなく筋肉などの除脂肪組織も含まれると想定しています。そのため、このメカニズムは、主として体脂肪の増加によって説明される従来の肥満形成メカニズムとは異なる可能性があります。

【関連記事】なぜ、腸の飢餓状態で太るのか?


(注2)これらの反応は、十分なエネルギー貯蔵量があるにもかかわらず作動するため、一部の研究者は「抗飢餓」ではなく「抗減量」メカニズムという表現を用いています[15]

2.結 論

今回紹介した (1)~(5) の生物学的反応と減量後の体重回復(リバウンド)との因果関係は、現時点では十分に証明されているわけではない[15]。しかし、ダイエット後にリバウンドを経験した多くの人にとって、実感として納得できる点が少なくないのではないでしょうか。

一部の研究者は、「これらの減量に抵抗し、失った体重を取り戻そうとする生物学的力は非常に強力であり、行動介入によって減量を試みる人のほとんどにとって克服することは難しい」と指摘しています。一方で、長期的な減量を実現するためには、こうした生物学的反応そのものを弱める介入法の開発が必要であるとも述べています[15]

   
私の考えも基本的な方向性は同じですが、アプローチが少し異なります。
私は、生物学的反応を弱める介入法の開発だけでなく、そもそも抗飢餓(抗減量)メカニズムをできるだけ誘発しない食事・生活習慣を選択することが、長期的な減量にはより重要ではないかと考えています。

具体的には、精製炭水化物や超加工食品を減らしながらエネルギー摂取量を適切に調整することは重要です。

一方で、野菜、海藻、乳製品、加工度の低い肉・魚、ナッツ類などの自然由来の食品は、むしろ積極的に摂取することが望ましいと考えています。特に、消化されにくい成分を含む食品や、消化に時間を要する食品(注3)を十分に摂ることに意味があります。

注3)脂質を多く含む食品も、食事全体の内容や摂り方によっては、必ずしも避ける必要はないと考えています。

季節の食材

このような食事を継続することで、満腹感が持続し、空腹感が軽減されます。長期的に、腸脳軸を介して「食べ物が十分に存在する」という情報が脳へ伝わりやすくなる可能性があると、私は考えています。

【関連記事】リバウンドしない減量には、2ステップ必要
          

<参考文献>

[1] Bacon L, Aphramor L. 「体重の科学:パラダイムシフトの証拠を評価する」. Nutr J. 2011 Jan 24;10:9. 

[2-3](削除)

[4] Rosenbaum M, Leibel RL. 「人における適応性熱産生」.Int J Obes (Lond). 2010 Oct;34 Suppl 1(0 1):S47-55. 

[5]Jiménez Jaime T et al. 「過体重および肥満成人女性におけるカロリー制限のエネルギー消費への影響」.Nutr Hosp. 2015 Jun 1;31(6):2428-36. 

[6]Johannsen DL et al. 「除脂肪体重は維持されているにもかかわらず、大幅な体重減少を伴う代謝低下」. J Clin Endocrinol Metab. 2012 Jul;97(7):2489-96. 

[7]Hall KD, Guo J. 「肥満のエネルギー論: 体重調節と食事組成の影響」.2017 May;152(7):1718-1727.e3. 

[8]Leibel RL, Rosenbaum M, Hirsch J. 「体重の変化によるエネルギー消費量の変化」.N Engl J Med. 1995 Mar 9;332(10):621-8. 

[9]Egan AM, Collins AL. 「栄養不足に対するエネルギー消費の動的変化:レビュー」.Proc Nutr Soc. 2022 May;81(2):199-212. 

[10]Heinitz S et al. 「早期適応性熱産生は、過体重の被験者における6週間のカロリー制限後の体重減少の決定要因である」.Metabolism. 2020 Sep;110:154303. 

[11] Dulloo AG, Seydoux J, Jacquet J. 「適応性熱産生と脱共役タンパク質:脂肪代謝とエネルギーバランスにおける役割の再評価」.Physiol Behav. 2004 Dec 30;83(4):587-602. 

[12]Müller MJ, Enderle J, Bosy-Westphal A. 「人間の体重増加と減量に伴うエネルギー消費量の変化」. Curr Obes Rep. 2016 Dec;5(4):413-423. 

[13]Fothergill E et al. 「ザ・ビゲスト・ルーザー」コンテスト. Obesity (Silver Spring). 2016 Aug;24(8):1612-9. 

[14]Schwartz MW et al. 「中枢神経系による食物摂取の制御」. Nature. 2000 Apr 6;404(6778):661-71. 

[15]Ochner CN et al. 「肥満者の減量後に体重が戻ることを促進する生物学的メカニズム」.Physiol Behav. 2013 Aug 15;120:106-13. 

[16]Hebebrand J et al. 「飢餓に対する心理的・行動的適応における低レプチン血症の役割:神経性食欲不振症への影響」.Neurosci Biobehav Rev. 2022 Oct;141:104807. 

[17]Leibel RL. 「体重コントロールにおけるレプチンの役割」.Nutr Rev. 2002 Oct;60(10 Pt 2):S15-9; discussion S68-84, 85-7. 

[18]Löfgren P et al.「肥満後の状態における脂肪組織の過形成と相対的なレプチン欠乏を示す長期前向き対照研究」. J Clin Endocrinol Metab. 2005 Nov;90(11):6207-13. 

[19]Rosenbaum M et al. 「体重変化が血漿レプチン濃度とエネルギー消費量に及ぼす影響」.J Clin Endocrinol Metab. 1997 Nov;82(11):3647-54. 

[20]Ahima RS et al. 「断食に対する神経内分泌反応におけるレプチンの役割」. Nature. 1996 Jul 18;382(6588):250-2. 

[21]Rosenbaum M et al. 「減量した人のエネルギー摂取量」.Brain Res. 2010 Sep 2;1350:95-102. 

[22]Kissileff HR et al. 「レプチンは減量した肥満者の満腹感の低下を逆転させる」.Am J Clin Nutr. 2012 Feb;95(2):309-17. 

[23] Sumithran P et al. 「減量に対するホルモン適応の長期持続」. N Engl J Med. 2011 Oct 27;365(17):1597-604. 

[24]Chaptini L, Peikin S. 「食物摂取の神経内分泌調節」.Curr Opin Gastroenterol. 2008 Mar;24(2):223-9. 

[25]Alonso-Alonso M et al. 「食物報酬システム:現在の展望と将来の研究の必要性」. Nutr Rev. 2015 May;73(5):296-307. 

[26]Begg DP, Woods SC. 「食物摂取の内分泌学」. Nat Rev Endocrinol. 2013 Oct;9(10):584-97. 

[27]Goldstone AP et al. 「断食は脳の報酬系を高カロリー食品に偏らせる」.Eur J Neurosci. 2009 Oct;30(8):1625-35. 

[28]Siep N et al. 「腹は最高のスパイス:注意、空腹、カロリー量が扁桃体と眼窩前頭皮質における食物報酬処理に与える影響に関するfMRI研究」.Behav Brain Res. 2009 Mar 2;198(1):149-58. 

[29]Haase L, Cerf-Ducastel B, Murphy C. 「空腹と満腹の生理的状態における純粋味覚刺激に対する皮質活性化」.Neuroimage. 2009 Feb 1;44(3):1008-21. 

[30] Stice E, Burger K, Yokum S. 「カロリー制限は、摂取量、摂取予測、そしておいしい食べ物のイメージに対する注意と報酬の脳領域の反応性を高める」.Neuroimage. 2013 Feb 15;67:322-30. 

[31] de Araujo IE et al. 「味覚受容体シグナル伝達の欠如下における食物報酬」.Neuron. 2008 Mar 27;57(6):930-41. 

[32]Avena NM, Rada P, Hoebel BG. 「砂糖と脂肪の過剰摂取は中毒性行動において顕著な違いがある」. J Nutr. 2009 Mar;139(3):623-8. 

[33]Berthoud HR, Zheng H, Shin AC. 「肥満者およびカロリー制限と肥満手術による減量後の食物報酬」. Ann N Y Acad Sci. 2012 Aug;1264(1):36-48. 

[34]Pannacciulli N et al. 「食事に対する左背外側前頭前皮質の活性化の低下:肥満の特徴」. Am J Clin Nutr. 2006 Oct;84(4):725-31. 

[35]DelParigi A et al. 「ダイエットに成功した人は、行動制御に関わる皮質領域の神経活動が増加している」. Int J Obes (Lond). 2007 Mar;31(3):440-8. 

[36]Burger KS, Stice E. 「食事制限スコアと食物摂取、摂取予測、食物画像に対する報酬関連脳領域の活性化の関係」. Neuroimage. 2011 Mar 1;55(1):233-9. 

[37]Stice E, Davis K, Miller NP, Marti CN. 「断食は過食症および過食症の発症リスクを高める:5年間の前向き研究」.J Abnorm Psychol. 2008 Nov;117(4):941-6. 

[38]Ogawa R et al. 「慢性的な食事制限と食事性脂肪の減少:過食発作の危険因子」.Physiol Behav. 2005 Nov 15;86(4):578-85. 

[39]Gurr MI et al. 「ヒトの脂肪組織の細胞密度:脂肪細胞の大きさと数、体脂肪の量と分布、および体重増加と減少の履歴との関係」. Int J Obes. 1982;6(5):419-36. PMID: 7174187.

[40]Yang MU, Presta E, Björntorp P. 「ラットにおける絶食後の再摂食:食事誘発性肥満における絶食期間と再摂食が食物効率に及ぼす影響」.Am J Clin Nutr. 1990 Jun;51(6):970-8. 

[41]Arner P. 「脂肪分解の制御とヒトの肥満発症との関連性」.Diabetes Metab Rev. 1988 Aug;4(5):507-15. PMID: 3061758.

[42]MacLean PS et al. 「減量後の体重増加における脂肪組織の役割」. Obes Rev. 2015 Feb;16 Suppl 1(Suppl 1):45-54. 

[43]MacLean PS et al. 「肥満傾向のラットにおける、長期にわたる体重減少に対する末梢代謝反応は、迅速かつ効率的な体重増加を促進する」.Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2006 Jun;290(6):R1577-88. 

2025.08.07

ダイエットの普及が肥満の増加に拍車をかけている可能性

要 約

      
(1) 過体重や肥満の有病率の増加と並行して、ダイエットの普及率も過去数十年間にわたり増加している。ダイエットが逆説的に肥満を助長しているのではないかと懸念されている。

   
(2) いくつかの観察研究は、ダイエットと体重増加の間に少なくとも部分的な因果関係がある可能性を示唆している。一方、一部の研究者は、ダイエットは食べ過ぎ傾向を反映する代理マーカーにすぎないと主張している。

   
(3) いくつかの前向き研究では、青少年や中年女性、さらには正常体重の人が行う減量ダイエットが、将来の体重増加を予測する強力な因子であることが示唆されている。

    
(4) 青少年を対象とした研究では、不健康な体重管理行動(断食、食事を抜く、極少量しか食べない、食事代替品の使用など)を継続した男女で、10年後のBMI増加が最も大きかった


考  察

(5) 観察研究だけで、ダイエットと体重増加との因果関係を証明することは難しい。

しかし、長期追跡研究や双子研究では、ダイエット自体が体重増加に関与している可能性が示されている。特に、不健康な体重管理行動を行った人では、その後の体重増加が有意に大きいことが繰り返し報告されている。


結  論

(6) すべてのダイエットが体重増加につながるわけではない。しかし、一部の人が行う不健康な体重管理行動は、体重増加に関与している可能性がある

     
(7)近年の研究では、大幅な減量を伴う厳格な食事制限は、生物学的な飢餓反応を引き起こし、減量後の体重回復や、場合によっては減量前を上回る体重増加につながる可能性があることが明らかになってきた。

また、不健康な体重管理行動は、「腸内飢餓」を助長することで、体重の設定値を上昇させる方向に働く可能性がある

【全 文】

<目 次>

  1. ダイエットと肥満に関する近年の背景
  2. 観察研究における問題と注意すべき点
  3. ダイエットは体重増加につながるのか?
  4. 結  論

<はじめに>
近年、世界中で減量の為にダイエットをする人は増加傾向にありますが、ダイエットが肥満の増加に拍車をかけているのではないかと一部で懸念されています

例えば、テレビに出演する女性の俳優やアナウンサーの中には、以前より体重が増えたように見える人もいる。しかし、彼女たちが日常的に過食をしているとは考えにくく、むしろ体重管理のために食事制限を行っている可能性もある。

今回は、ダイエットの普及と肥満の増加に関連性があるのかについて、観察並びに介入研究の結果を基に考えてみたいと思います。

1.ダイエットと肥満に関する近年の背景

(1) 1992年、アメリカ国立衛生研究所が招集した専門家委員会は、次のように結論づけた:「管理された環境下での減量プログラムを継続すれば、参加者は通常、体重の約 10%を減らすことができる。しかし、体重減少後1年以内に体重の1/3から2/3が戻り、5年以内にほぼ全部が戻る」のだと[1]

また、長期的な結果に関する研究では、ダイエットをした人の少なくとも1/3は、減った体重よりもリバウンドする体重が多いことが示されており[2]、ダイエットが逆説的に、本来の目的とは正反対の結果を招いている可能性があるのではないかと懸念されている[2, 3]

     
(2) 1983年に出版された本「ダイエットは太る」では、ダイエットで体重を減らすことは体重管理には逆効果であり、体重が増減を繰り返すたびに、減った脂肪より多くの脂肪が戻ってしまうという考え方が提唱された[4]。それ以来、ダイエットが長期的な体重増加を引き起こすかどうかは、科学者の間では物議を醸し、活発な議論が続いている[5, 6, 7]

(3) 1998年時点で、米国人はダイエットに関連する製品やサービスに年間 330 億ドル以上 を費やしているにもかかわらず[8]、肥満 (BMI≧30) の有病率は 30.5%(2000年)から 35.7% (2010年)、42.4% (2018年)と着実に増加してきた[9]

ダイエットの普及率も、過体重や肥満の有病率の増加と並行するように、過去数十年間、継続的に増加している[10] (表-1 参照)

ダイエット普及率の推移

表-1:ダイエットの普及率の推移(アメリカ)

・イングランドで行われた横断調査 (1997-2013) では、減量を試みる人の割合は 1997年の 39%から、2013年には 47%へ増加した。

すべてのBMIカテゴリーにおいて、減量を試みる人の割合は調査期間を通じて増加傾向を示していた[15]

(2013年の、BMIカテゴリー別の減量を試みる人の割合は [表-2] の通り)

BMI別の減量の試み普及率

表-2:減量の試み普及率 (2013年 イングランド )

(4)このように、肥満の有病率の増加と並行して、減量を試みる人の割合も増加している。しかし、このことだけで両者に因果関係があるとは言えない。

一部の研究者は、ダイエットと体重増加との関連性は、少なくとも部分的には因果関係によるものだと示唆している[16,17]。一方で他の研究者は、ダイエットは体重増加傾向の強い人々を反映する代理マーカーに過ぎず、ダイエットをしなければ体重はさらに増加していた可能性が高いと主張している[18]

    
(5) いくつかの前向き研究では、青少年 [17,19,20]や中年女性 [21]、さらには当初正常体重であった人[5,21,22] が減量目的でダイエットを行うことが、将来の体重増加を予測する強力な因子であることが示唆されている。

・ミネソタ州で行われた 10年間の前向き研究(1998~2009年)では、青少年 1,902名(男性 819名、女性 1,083名)を対象に、ダイエットの実施状況とBMIの変化が5年ごとに追跡された。

その結果、調査開始時と5年後の両方でダイエットや不健康な体重管理行動(注1)を報告した男女は、ダイエットをしていなかった人に比べて、10年後のBMI増加が大きかった[17]


注1) 不健康な体重管理行動には、断食、食事を抜く、極少量しか食べない、代替食品やダイエット薬の使用、嘔吐など、通常は推奨されない減量行動が含まれる。

思春期の女学生

出典:Freepik (photo by Prostooleh)

特に、「食事を抜くこと」や「極少量しか食べないこと」は最も多く報告された不健康な体重管理行動であり、男女ともに有意な BMI 増加と関連していた。さらに、男性では食事代替品(粉末や特別な飲料)の使用が、女性ではダイエットピルの使用が、その後の BMI の大きな増加と関連していた。

興味深いことに、調査開始時に過体重(25≦BMI<30)であった女子では、不健康な体重管理行動を継続した群で10年間の BMI 増加が最も大きく(5単位以上)、そのような行動を全くとらなかった群では BMI の増加はごくわずかであった[17]

結論として、この調査結果は、青少年期のダイエットや不健康な体重管理行動が、長期的な体重増加につながる可能性を示唆している[17]

(6) 2003年には、1998年の国民健康面接調査のデータが分析され、米国成人における具体的な減量方法の実態が報告された (表-3参照)

減量に取り組んでいた人のうち、「摂取カロリーを減らし、運動量を増やす」と回答したのはわずか3分の1であった [23]

米国成人における減量戦略

表-3:米国成人の減量方法の実態

2.観察研究における問題と注意すべき点

ダイエットとその後の体重変化に関するこれまでの観察研究では、一貫性のない結果が得られている[22]

数年に及ぶ観察研究の多くでは、自己申告によるダイエット実施者で、その後の体重増加が報告されているが[17,20,21,22]、一方で、ダイエットが減量と体重増加の両方を予測するという結果も報告されている[24,25]。こうした結果の違いには、いくつかの要因が関係している可能性がある。

(1) どの様なダイエットか?

多くの研究では、開始時点での「ダイエットの実施状況」や「過去のダイエット歴」は調査されているが、具体的にどのような方法でダイエットを行ったのかについては、あまり調査されていないようである[21,22,26]。 

また、「ダイエット」や「減量の試み」という言葉はやや曖昧であり、人によって解釈が異なる可能性がある[17]
健康的な食事や運動習慣(例:自然由来の食品を多く摂る、超加工食品を減らす、朝食を摂る、運動を行う)を実践した人は減量を維持できるかもしれない。

一方、一時的な効果しかもたらさない不健康な体重管理行動をとった人は、最終的に減量を維持できず、体重が増加する可能性もある。

(2) 調査期間とダイエットを行った時期

また、調査期間やダイエットを行った時期によっては、長期的な体重変化を適切に評価できない可能性がある。

いくつかの研究では、調査開始時のダイエット状況を基に、その数年後(例えば、2年・5年・10年)の体重やBMIの変化が評価されている[20,21,22,26]

しかし、ダイエットとリバウンドを繰り返している人では、体重変動が大きいことが考えられる。

体重の恒常性(体重の設定値理論)の観点からみれば、調査開始時にダイエット中であった人は、本来の体重(設定値)よりも一時的に体重が低下していることがあり、その後ダイエットを中止しただけでも体重は増加しうる。一方、調査期間の終了間際からダイエットを開始した人では、一時的な減量効果によって体重が大きく減少していることも考えられる

さらに、調査間隔が5年や10年と長い場合、その間に開始または中止した体重管理行動が把握されていない可能性もある。

<その他の注意点>

今回は取り上げなかったが、観察研究においては、自己申告の限界や、体重増加に関与する「交絡因子の影響」などにも注意する必要がある。また、成長期には筋肉量や体重が自然に増加するため、青少年を対象とした研究では、その影響も考慮する必要がある。
        

3. ダイエットは体重増加につながるのか?

結論から言えば、観察研究だけでダイエットと肥満リスクの増加との因果関係を特定することは難しい。しかし、私は以下の観点から、ダイエットが体重増加を助長している可能性は高いと考えている。

(1)ダイエットは単なる代理マーカーなのか?

一つの考え方として、「ダイエットは世界的な体重増加傾向を反映する代理マーカーにすぎず、それ自体が体重増加を引き起こすわけではない」というものがある。むしろ、ダイエットをしなければ体重はさらに増えると考えられている[18]

しかし、第1節 (5)の思春期の青少年を対象とした10年間の調査では、開始時でダイエットを行っていたものの、5年後の時点で中止した人と、継続した人の軌跡を調べることができた。研究者らは、ダイエットを中止した人の体重増加は、それらを継続した人に比べはるかに小さかったことから、「ダイエットをしなければ人はさらに体重が増える」という主張は支持していない[17]

(2) 遺伝的に肥満傾向にある人がダイエットをしているのか?

ダイエットと肥満に関するもう一つの考えは、「ダイエットをすると太るのではなく、遺伝的に肥満傾向にある人ほどダイエットをする可能性が高くなる」というものだ[6]

   
これについても、思春期の青少年を対象とした10年の調査で、その主張とは異なる結果が出た。

調査開始時に既に過体重であった女子では、不健康な体重管理行動を継続した群は、そのような行動を全くとらなかった群と比較して、BMIの増加が有意に大きかった。この研究では、ダイエットそれ自体が、体重増加に影響している可能性があると示唆された[17]

           
さらに、フィンランドにおける双子研究では、5kg以上の意図的減量回数の異なる双子の体重の変化が縦断的に調査された。この研究では、体重増加に遺伝や家族的要因が関与することは否定できないものの、ダイエットそれ自体も体重増加に影響している可能性があると示された [16]


(3) 減量後に体重増加を促すメカニズム

近年の研究により、体重を調整するエネルギー恒常性への理解が進んでいる。
大幅な減量を伴う制限食は、代謝・ホルモン・脳神経系の変化を伴う生物学的な飢餓反応を引き起こし、食欲の増進や過食につながる可能性がある。その結果、体重は元に戻ろうとし、場合によっては減量前を上回ることもある[27,28]

また、体重管理を目的とした断食(24時間何も食べない)では、比較的軽度のダイエット行動よりも、将来的に過食症を発症するリスクが高くなる可能性が示唆されている[29]

さらに、古典的なミネソタ飢餓実験や米国陸軍レンジャーの多重ストレス実験において、正常体重の被験者の体重が、回復期間中に一時的に過剰増加することが報告されている[30,31]


(4) 腸内飢餓との関連

私の腸内飢餓理論では、食べた食品が腸内で完全に消化されてしまう状況を、身体が「食べ物がない」と認識する可能性を示唆している。これは、食品加工の進展や超加工食品の普及によって生じやすくなった可能性のある、豊かな社会でも起こりうる「現代的な飢餓」とも言える。

カロリー制限ダイエット、特に不健康な体重管理行動(食事を抜く、極少量しか食べない、食事代替品の使用など)は、この腸内飢餓をさらに助長している可能性がある。

4.結  論

すべてのダイエットが体重増加につながるわけではない。
健康的な食事パターンや運動習慣を取り入れることで、減量に成功し、その後も減った体重を維持できる人もいる。実際、地中海式ダイエットの遵守は、過体重や肥満のリスク、さらには長期的な体重増加と逆相関することが報告されている[32]

野菜を調理する男女

出典:Freepik (Photo by Katemangostar)

一方、断食、食事を抜く、極少量しか食べない、食事代替品の使用といった不健康な減量戦略を行った人では、ダイエットをしなかった人や健康的な減量戦略を実行した人よりも、その後の体重増加が有意に大きいことが繰り返し報告されており[17,33]、本来の目的とは逆の結果を招いている可能性がある。

近年の研究により、大幅な減量を伴う厳格な食事制限は、代謝・ホルモン・脳神経系の変化を伴う生物学的な飢餓反応を引き起こすことが明らかになってきた[27, 28, 34]。これらの変化は、減量後の体重回復や、場合によっては減量前を上回る体重増加を説明できる可能性がある。

       
私は、こうした生物学的反応に加え、食事制限などの不健康な体重管理行動が「腸内飢餓」を助長することで、体重の設定値を上昇させる方向に働いている可能性が高いと考えている。

<参考文献>

[1]「自発的な体重減少とコントロールの方法」. NIH Technology Assessment Conference Panel. Ann Intern Med. 1992 Jun 1;116(11):942-9. 

[2] Mann T et al. 「メディケアの効果的な肥満治療の模索:食事療法は解決策ではない」. Am Psychol. 2007 Apr;62(3):220-33. 

[3] Bacon L, Aphramor L. 「体重科学:パラダイムシフトの証拠を評価する」. Nutr J. 2011 Jan 24;10:9. 

[4]Cannon G, Einzig H. Dieting makes you fat. London: Century Publishing; 1983.

[5] Jacquet P et al. 「ダイエットによって太る人がいる理由:体組成の自己調節の観点から体重増加をモデル化する」. Int J Obes (Lond). 2020 Jun;44(6):1243-1253. 

[6] Hill AJ.  「ダイエットをすると太りますか?」 Br J Nutr. 2004 Aug;92 Suppl 1:S15-8. 

[7] Lowe MR. 「ダイエット:将来の体重増加の代理か原因か?」 Obes Rev. 2015 Feb;16 Suppl 1:19-24. 

[8] Cleland R et al. 「市販の減量製品とプログラム:消費者が得るものと失うもの」. Crit Rev Food Sci Nutr. 2001 Jan;41(1):45-70. 

[9] National Center for Health Statistics, National Health and Nutrition Examination Survey, 1999–2018.

[10] Montani JP et al. 「心臓代謝疾患の危険因子としてのダイエットと体重増加:本当に危険にさらされているのは?」 Obes Rev. 2015 Feb;16 Suppl 1:7-18. 

[11] Williamson DF et al. 「成人の減量の試み:目標、期間、減量率」. Am J Public Health. 1992 Sep;82(9):1251-7. 

[12]Serdula MK et al. 「減量を試みる頻度と体重管理戦略」. JAMA. 1999 Oct 13;282(14):1353-8.

[13] Weiss EC et al. 「2001~2002年の米国成人の体重管理習慣」. Am J Prev Med. 2006 Jul;31(1):18-24. 

[14] Yaemsiri S et al. 「米国成人の体重認識、過体重診断、体重管理:NHANES 2003-2008調査」. Int J Obes (Lond). 2011 Aug;35(8):1063-70. 

[15] Piernas C et al. 「減量の試みの最近の傾向:イングランドの健康調査から」. Int J Obes (Lond). 2016 Nov;40(11):1754-1759. 

[16]Pietiläinen KH et al. 「ダイエットは太る?双子研究」. Int J Obes (Lond). 2012 Mar;36(3):456-64. 

[17] Neumark-Sztainer D et al. 「思春期のダイエットと不健康な体重管理行動:10年間のBMIの変化」. J Adolesc Health. 2012 Jan;50(1):80-6. 

[18] Stice E, Presnell K. 「ダイエットと摂食障害」. In: Agras WS, editor. The Oxford Handbook of Eating Disorders. Oxford University Press; USA: 2010. pp. 148–179.

[19] Neumark-Sztainer D et al. 「なぜダイエットは青少年の体重増加を予測するのか? :5年間の縦断的研究」. J Am Diet Assoc. 2007 Mar;107(3):448-55. 

[20]Viner RM, Cole TJ. 「思春期から成人期にかけて体重が変化する人は誰でしょうか?1970年英国出生コホート」. Int J Obes (Lond). 2006 Sep;30(9):1368-74. 

[21]Korkeila M et al. 「減量の試みと大幅な体重増加のリスク:フィンランド成人を対象とした前向き研究」. Am J Clin Nutr. 1999 Dec;70(6):965-75. 

[22] Sares-Jäske L et al. 「自己申告によるダイエットとBMIおよびウエスト周囲の長期的変化」. Obes Sci Pract. 2019 Mar 26;5(4):291-303. 

[23] Kruger J et al. 「減量の試み:米国成人の具体的な実践」. Am J Prev Med. 2004 Jun;26(5):402-6. 

[24] Bild DE et al. 「若年成人の体重減少の相関関係と予測因子」. Int J Obes Relat Metab Disord. 1996 Jan;20(1):47-55. PMID: 8788322.

[25] Coakley EH et al. 「男性の体重変化の予測因子:医療専門家追跡調査の結果」. Int J Obes Relat Metab Disord. 1998 Feb;22(2):89-96.

[26] French SA et al. 「働く成人の2年間の体重変化の予測因子:健康な労働者プロジェクト」. Int J Obes Relat Metab Disord. 1994 Mar;18(3):145-54. PMID: 8186811.

[27]Maclean PS et al. 「ダイエットに対する生物学的反応:体重増加のきっかけ」. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2011 Sep;301(3):R581-600. 

[28]Ochner CN et al. 「肥満者の減量後に体重が戻ることを促進する生物学的メカニズム」. Physiol Behav. 2013 Aug 15;120:106-13. 

[29]Stice E et al. 「断食は過食症および過食症の発症リスクを高める:5年間の前向き研究」. J Abnorm Psychol. 2008 Nov;117(4):941-6. 

[30] Keys A et al. (1950) 『人間の飢餓の生物学』. Minnesota: University of Minnesota Press.

[31] Nindl BC et al. (1997) 「長期間のエネルギー不足後の、痩せ型で健康な男性における身体能力と代謝回復」. Int J Sports Med 18, 317–324.

[32]Lotfi K et al. 「地中海式ダイエットの遵守、5年間の体重変化、および過体重と肥満のリスク」 .Adv Nutr. 2022 Feb 1;13(1):152-166. 

[33]Savage JS, Birch LL. 「体重管理戦略のパターンは、女性の4年間の体重増加の違いを予測する」. Obesity (Silver Spring). 2010 Mar;18(3):513-20.  

[34]Mann T et al. 「肥満の流行」という文脈における公衆衛生の促進:誤ったスタートと有望な新たな方向性」. Perspect Psychol Sci. 2015 Nov;10(6):706-10.  

2025.02.25

肥満の増加は、超加工食品の消費量と密接に関係している

要   約

1.2009年、サンパウロ大学の研究グループは、食品加工度に基づく「NOVA分類」を提唱した。
NOVAでは、食品を以下の4つに分類している。

・未加工または最小限の加工食品
・ 加工食品原料
・ 加工食品(PF)
・ 超加工食品(UPF)

   
2.超加工食品(UPF)は、多数の工業的プロセスを経て作られる調合物であり、精製炭水化物、添加糖、塩分、脂肪を多く含み、エネルギー密度が高い。一方で、食物繊維や微量栄養素は少ない傾向がある。

   
3.アメリカやイギリスでは、一日の総エネルギー摂取量の 50%以上をUPFが占めている。多くの研究では、エネルギー摂取量に占めるUPFの割合が高いほど、肥満リスクが高いことが示されている。一方で、野菜などの未加工食品の摂取量は、肥満と逆相関していた

   
4.UPF摂取量が多い人ほど、果物、野菜、ナッツ類、魚などの摂取量が少なく、食事全体の質(栄養価)が低下する傾向がみられた

   
5.加工食品の食事では、ホールフードの食事に比べて食事誘発性熱産生(DIT)が低下し、実質的なエネルギー獲得量が増加する可能性がある。また、UPFの食事では、自由摂取下でのエネルギー摂取量が増加しやすいことも示された。

   
<私の考え>
6.世界的な肥満の増加は、単なる摂取カロリーの増加だけでは説明しきれない可能性がある。
私は、「食品加工」そのものが人体に与える影響に着目している。

超加工食品は、食物繊維の減少や食品構造の単純化によって、極めて効率的に消化・吸収されやすくなっている。その結果、食事全体の質が低下すると、腸内に未消化物が残りにくい状態が形成されやすくなり、私が「腸内飢餓」と呼ぶ生理的状態につながる可能性がある

【全 文】

目次

  1. NOVAシステムによる食品分類
  2. 超加工食品の問題点
  3. 超加工食品の消費と肥満との関連
  4. 超加工食品が食事全体へ与える影響
  5. 超加工食品と腸内飢餓との関連

低炭水化物、ケトジェニック、パレオ、低脂肪、ビーガンなど、さまざまなダイエット法をめぐる論争は、国民に大きな混乱と栄養科学への不信をもたらしている。しかし、ほとんどのダイエット法に共通する推奨事項があることは、あまり知られていない。それは、「超加工食品を避ける」ことです[1]

実際、多くの国では、肥満率の上昇が超加工食品の消費量の増加とほぼ並行して進んでいることが報告されています。今回は、その背景にある要因について考えてみたい。最後に、私の「腸内飢餓」理論との関連についても触れます。

1. NOVAシステムによる食品分類

NOVA (頭文字ではない)とは、食品を栄養素ではなく、加工の程度や目的によって分類するシステムである。ブラジルのサンパウロ大学の研究グループによって、2009年に考案された[2]

従来の食品分類では、食品や材料は、植物や動物の種類、あるいは含まれる栄養素に基づいて分類されてきた。

そのため、全粒穀物が「朝食用シリアル」やクッキーと同じカテゴリーに分類されたり、新鮮な鶏肉や豚肉がチキンナゲットやソーセージと一緒に分類されることもある。しかし、健康への影響を評価するうえで、従来の分類には限界があった[3]

      
NOVA分類法では,食品を加工の性質、程度、目的に応じて、以下の4つのグループに分類しています。

生肉と加工肉

1. 未加工または最小限の加工食品

新鮮な果物や野菜、穀物、牛乳、魚、肉などの自然由来の食品。またはそれらに、食べられない部分の除去、乾燥、粉砕、殺菌、冷蔵、冷凍、真空包装などの最小限の加工を施した食品。

2. 加工食品原料

圧搾・精製・製粉・乾燥などの行程を経てグループ1の食品または自然から得られる物質で、油・バター・砂糖・塩などの加工食品原料。通常、これのみで食べることはない。

3. 加工食品
(PF)

基本的に、グループ1の食品にグループ2の物質を加えて作られる。瓶詰の野菜、シロップ漬けの果物、缶詰の魚、チーズ、手作りのパンなどが含まれる。

4. 超加工食品
  
(UPF)

多くの材料を組合わせ、複数の工業的プロセスを経て作られる調合物
例としては、朝食用シリアル、ソフトドリンクやフルーツジュース、甘味又は塩味のスナック菓子、チョコレート菓子、インスタント食品、ソーセージやナゲットなどの再構成肉製品、そして多くのファーストフードが挙げられる[3, 4]

(1)未加工または最小限の加工食品 

新鮮な果物や野菜、穀物、牛乳、魚、肉などの自然由来の食品。またはそれらに、食べられない部分の除去、乾燥、粉砕、殺菌、冷蔵、冷凍、真空包装などの最小限の加工を施した食品。

(2)加工食品原料 

圧搾・精製・製粉・乾燥などの行程を経てグループ1の食品または自然から得られる物質で、油・バター・砂糖・塩などの加工食品原料。通常、これのみで食べることはない。

(3)加工食品 (PF: Processed food)

基本的に、グループ1の食品にグループ2の物質を加えて作られる。瓶詰の野菜、シロップ漬けの果物、缶詰の魚、チーズ、手作りのパンなどが含まれる。

(4)超加工食品(UPF:Ultra-processed food)

多くの材料を組合わせ、複数の工業的プロセスを経て作られる調合物
例としては、朝食用シリアル、ソフトドリンクやフルーツジュース、甘味又は塩味のスナック菓子、チョコレート菓子、インスタント食品、ソーセージやナゲットなどの再構成肉製品、そして多くのファーストフードが挙げられる[3, 4]

2.超加工食品の問題点

そもそも食品加工とは、「生の食材を、消費・調理・保存に適した状態にするための操作」であり、ほとんどの食品は食べる前に何らかの加工を受けている。つまり、「加工」そのものが悪いわけではない。

しかし超加工食品 (UPF) は、グループ1の自然食品をほとんど、あるいは全く含まない場合がある。さらに、食品由来の物質や添加物を組合わせ、複数の工業的プロセスを経て作られる調合物であるため、部分的に食品の性質を変更した食品とは異なる特徴を持つ[3]

これらの食品は、精製穀物、添加糖、塩分、脂肪を多く含み、エネルギー密度が高い。一方で、食物繊維、タンパク質、微量栄養素の供給源としては貧弱である。

さらに、最終製品の望ましくない品質を補うために、香料、着色料、乳化剤、甘味料などの添加物が加えられることも多い[5]

      
それにもかかわらず、1980年代以降、超加工食品 (UPF) 消費量は、先進国だけでなく途上国においても急速に増加しており、それは主に多国籍企業によって牽引されている。

UPFは、強い嗜好性を持ち、安価で保存性が高く、いつでも手軽に食べられるため、多くの人々の支持を得ていると言えるであろう[3]

(超) 加工食品

これまでのNOVAに基づく研究では、最小限に加工された食品や家庭での調理が減少し、食生活が超加工食品中心へ移行することは、不健康な栄養プロファイルや、いくつかの食事関連疾患の増加と関連していることが示されている[3]

3.超加工食品の消費と肥満との関連

「総エネルギー摂取量に占める超加工食品 (UPF) 由来のエネルギーの割合」を報告した成人を対象とした研究では、アメリカやイギリスで 50%を超えており、カナダでも約 45~52%に達している。一方、フランス、スペイン、ブラジル、マレーシアなどでは比較的低いものの、それでも 20~36% 程度を占めていた[6]

  
♦アメリカの成人を対象とした横断研究(2005~2014年)では、参加者は平均して総エネルギー摂取量の 56.1% をUPFの形で摂取していた。UPF摂取量が最も多い五分位(注1)のグループでは、UPFが総エネルギー摂取量の 84.5%を占めていたのに対し、最も少ない五分位のグループでは 25.4%であった[7]

注1)五分位とは、データを低い順に並べて5等分した各グループを指す。

UPF摂取量の増加は、多くの国で肥満率の上昇と関連していることが報告されている。

   
♦ブラジルの 2008~2009 年の家計調査に基づく横断研究では、UPFの家庭内消費量は、平均BMIおよび肥満の有病率の両方と正の相関を示した。UPF消費量が最も多いグループでは、最も少ないグループに比べて、肥満となる確率が 37% 高かった[9]

  
♦イギリスの国民食事栄養調査(2008~2016年)を用いた横断研究では、UPFから摂取されるエネルギーの割合は、総摂取カロリーの約 35%(第1四分位)から約 74%(第4四分位)の範囲であった。

UPFの摂取量が多いほど、BMI、腹囲、肥満率は高く、総摂取カロリーに占めるUPFの割合が 10% 高くなるごとに、肥満リスクは 18%増加していた。また、UPFの摂取量は、男性、喫煙者、より若い人、社会階級の低いグループで高い傾向がみられた[10]

  
♦スペインのナバラ大学卒業生を対象にした前向きコホート研究では、8,451人を約9年間追跡した。

UPF摂取量が最も多いグループの参加者は、最も少ないグループの参加者に比べて過体重または肥満を発症するリスクが 26% 高かった。このグループでは、UPF摂取量とは対照的に、平均して野菜の摂取量が最も低かった。
全体的にみて、UPFの摂取量が多いほど、地中海式ダイエットへの遵守度は低くなる傾向がみられた[11]

   
同様の関連は、ラテンアメリカ15カ国を対象とした研究や、アメリカ・カナダを含む他国の研究でも報告されている[4,7,8]

4. 超加工食品が食事全体へ与える影響


(1)食事全体の質の低下

♦アメリカの研究グループは、国民健康栄養調査(2015~2018年)のデータを用いて、UPF摂取量と「食事全体の質」との関連を調査した。対象は、5,919人の子供と 10,064人の成人であり、食事の質は、米国心臓協会(AHA)食事スコアおよび健康的な食事指数(HEI)-2015を用いて評価された[12]

その結果、UPFの摂取量が多いほど、食事全体の質は大きく低下していた。
不健康な食生活を送っていると推定された子供の割合は、UPF摂取量が最も少ないグループでは 31.3%だったが、最も多いグループでは 71.6%に達していた。成人でも同様の傾向がみられた。

バランスの悪い食事

また、UPF摂取量の増加に伴い、精製穀物・加糖飲料・添加糖などの摂取量は増加したが、逆に、果物・野菜・ナッツ類・魚などの健康的な食品の摂取量は減少した。

     
研究グループは、UPFの摂取量が多いほど、子供と成人の食事全体の質(栄養価)が大きく低下すると結論づけている。この結果は、これまでの数カ国で実施された先行研究と一致しているという[12]

♦イタリアの研究グループは、「食事のタイミング」と食品加工度との関連について調査した。イタリア栄養健康調査(2010~2013年)の 8,688人のデータを分析した結果、朝食・昼食・夕食の時間が遅い人ほど、未加工または加工度の低い食品の摂取量が少なく、加工食品やUPFの摂取量が多い傾向がみられた[13]

    
さらに、遅い時間の食事は、地中海式ダイエットの遵守とも逆相関していた[13]
。地中海式ダイエットは、主に果物・野菜・豆類・ナッツ・オリーブオイル・魚を中心とする食事パターンであり、体重増加の抑制との関連が報告されている[14]


(2)実質的な摂取エネルギーの増加

アメリカの研究グループは、加工食品(PF)とホールフード(WF)が身体のエネルギー消費に与える影響を比較するため、クロスオーバー試験を実施した。18名の被験者は、加工度のみが異なる等カロリーの2種類のサンドイッチを摂取した。

WF食は、マルチグレインパン(全粒穀物やヒマワリの種を含む)とチェダーチーズで構成され、一方 PF食は、白パンとプロセスチーズ製品で構成されていた。

その結果、PF食を摂取した後の食事誘発性熱産生(DIT)(注2) は、WF食と比べて 46.8%低下していた。研究グループは、このDITの差によって、PF食では実質的なエネルギー獲得量が約 9.7%増加すると結論づけている[15]

注2)食事誘発性熱産生(DIT)とは、食後に消化・吸収・代謝のため、数時間にわたってエネルギー消費が増加する現象を指す。

研究グループは、その理由として、加工食品は自然食品よりも構造的・化学的に単純で、消化しやすいことを挙げている。

例えば穀物の精製では、ふすまや胚芽が除去されることで、微量栄養素、食物繊維、フェノール類なども失われる。

その結果、消化管の活動や代謝に必要なエネルギー消費が減少し、DITの低下につながる可能性がある[15,17]

さらに、食物繊維の減少は食事量の「かさ」を減らし、満腹感を遅らせるため、結果として総摂取カロリーの増加につながる可能性も指摘されている[15,18]

玄米とぬか層


(3)自由エネルギー摂取量に与える影響

2019年、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究グループは、超加工食品(UPF)が自由摂取下でのエネルギー摂取量に与える影響を調べるため、体重が安定している成人20名を対象とした無作為化比較試験を実施した[19]

被験者はNIH臨床センターで、UPFの食事と未加工食品の食事を、それぞれ2週間ずつ摂取した。両食事は、カロリー、エネルギー密度、主要栄養素などが可能な限り一致するよう設計され、被験者には「好きなだけ食べてよい」と指示された。 

    
その結果、UPFの食事期間中には、未加工食品の期間中と比べて、一日あたりのエネルギー摂取量が平均 459 kcal増加し、体重はベースラインから平均 0.9 kg増加した。一方、未加工食品の期間中には、平均 0.9 kgの体重減少がみられた[19,20]

特筆すべきは、UPFを摂取した際の摂取速度が、未加工食品の場合と比べて有意に高かったことである。

さらに、未加工食品の摂取中には、食欲抑制ホルモンであるPYYが増加し、空腹ホルモンであるグレリンが低下していた。

研究グループは、超加工食品の口腔感覚特性(例えば、噛みやすさ、飲み込みやすさ)が、摂食速度の増加と満腹シグナルの遅延につながり、結果として、エネルギー摂取量の増加につながった可能性があると分析している[19,20]

5. 超加工食品と腸内飢餓との関連

これまで、世界的な肥満の増加は、摂取カロリーの相対的な増加によって説明されることが多かった。実際、超加工食品(UPF)には、その考えを支持する特徴が多くみられる。

・エネルギー密度が高いこと
・高い嗜好性と食べやすさ
・食事誘発性熱産生(DIT)の低下によって、実質的な獲得エネルギーが増加すること
・満腹感が遅れやすく、結果として自由摂取下でのエネルギー摂取量が増加しやすいこと

しかし同時に、NOVA研究によって、カロリー以外の側面も明らかになりつつある。

多くの国で実施された研究では、摂取カロリーに占めるUPFの割合が増えるほど、肥満リスクは大きく上昇することが示されている。しかし、この変化は単なる「摂取カロリーの増加」だけでは十分に説明できない

   
特に注目すべき点は、野菜などの未加工食品の摂取不足や、食事全体の質の低下、食事タイミングの乱れが、いずれもUPF摂取量の増加と関連していたことである。

つまり、問題はUPFの摂取そのものだけではなく、それによって未加工食品の摂取が減少し、食事全体のバランスが崩れることにある可能性がある

Fast foods

効率性が重視される現代の食環境では、精製炭水化物や超加工食品(UPF)など、調理済みで食べやすい食品を摂取する機会が増えている。これらの食品は、柔らかく、咀嚼が少なくて済み、素早く食べれるという特徴を持つ。一方で、未加工食品または最小限の加工食品の摂取機会は減少している

その結果、食物繊維や消化されにくい成分が減少し、腸内に未消化物が残りにくい状態が形成されている可能性がある

「腸内飢餓」理論では、摂取した食物が腸管内で完全に消化されたときに、身体が「食物が存在しない状態」と認識する可能性を想定している。私は、1970年代以降の食品加工技術の発展と超加工食品の増加が、このような状態の発生に関与している可能性があると考えている。

<参考文献>

[1] Katz DL, Meller S. 「どのような食事が健康に最も良いか言えるでしょうか?」.Annu Rev Public Health. 2014;35:83-103. 

[2] Monteiro CA et al. 「NOVA。星が明るく輝いています」. Food classification. Public Health. World Nutr. J. 2016, 7, 28–38.

[3] Monteiro CA et al. 「国連栄養の10年、NOVA食品分類、そして超加工食品の問題点」. Public Health Nutr. 2018 Jan;21(1):5-17. 

[4] Nardocci M et al. 「カナダにおける超加工食品の消費と肥満」. Can J Public Health. 2019 Feb;110(1):4-14. 

[5] Fiolet T et al. 「超加工食品の摂取とがんリスク」. BMJ. 2018 Feb 14;360:k322. 

[6] Elizabeth L et al. 「超加工食品と健康への影響:物語的レビュー」. 2020 Jun 30;12(7):1955. 

[7] Juul F et al. 「米国の成人における超加工食品の摂取と過剰体重」. Br J Nutr. 2018 Jul;120(1):90-100. 

[8] 「ラテンアメリカにおける超加工食品と飲料製品:傾向、肥満への影響、政策的意味合い」. Pan American Health Organization, Washington (DC) (2013)

[9] Canella DS et al. 「ブラジルの家庭における超加工食品と肥満」. PLoS One. 2014 Mar 25;9(3):e92752. 

[10] Rauber F et al. 「英国人口における超加工食品の消費と肥満指標」. PLoS One. 2020 May 1;15(5):e0232676. 

[11] Mendonça RD et al. 「超加工食品の摂取と過体重および肥満のリスク:ナバラ大学フォローアップ」. Am J Clin Nutr. 2016 Nov;104(5):1433-1440. 

[12] Liu J et al. 「米国の子供と成人の超加工食品の消費と食事の質」.Am J Prev Med. 2022 Feb;62(2):252-264. 

[13] Bonaccio M et al. 「イタリアの成人における遅い食事パターンと超加工食品の高消費との関連性」. Nutrients. 2023 Mar 20;15(6):1497. 

[14] Beunza JJ et al. 「地中海ダイエットの遵守、長期的な体重変化、および過体重または肥満の発生」. Am J Clin Nutr. 2010 Dec;92(6):1484-93. 

[15] Barr SB, Wright JC. 「自然食品と加工食品の食後エネルギー消費量」. Food Nutr Res. 2010 Jul 2;54. 

[16] Fereidoon Shahidi. 「栄養補助食品と機能性食品:自然食品と加工食品」. Trends in Food Science & Technology, Volume 20, Issue 9, 2009, Pages 376-387. 

[17] Secor SM. 「特異的動的作用:食後代謝反応のレビュー」. J Comp Physiol B. 2009 Jan;179(1):1-56. 

[18] Roberts SB. 「高血糖指数食品、空腹、肥満:関係はあるのでしょうか?」. Nutr Rev. 2000 Jun;58(6):163-9. 

[19] Hall KD et al. 「超加工食品の食事は過剰なカロリー摂取と体重増加を引き起こす」. Cell Metab. 2019 Jul 2;30(1):67-77.e3. 

[20] de Graaf C, Kok FJ. 「スローフード、ファストフード、そして食事摂取量の管理」. Nat Rev Endocrinol. 2010 May;6(5):290-3.

     

2024.10.04

重要性を増す体重の「設定値」理論:近年の肥満増加はどう説明できるのか?

要 約

(1) 体重の設定値モデル
1953年、ケネディは、体脂肪の蓄積が生理学的に調節されている可能性を提案した。その後1982年に、栄養学者のウィリアム・ベネットとジョエル・グリンがこの概念を発展させ「設定値理論」を開発した。

  
(2) 体重恒常性
個人が体重を減らすと、身体はエネルギー消費量を予測以上に低下させるだけでなく、ホルモン調節を通じて食欲を増加させ、食べ物の好みにも変化を生じさせる。その結果、体重がリバウンドしやすい状態が形成される。
一方、一時的な過食による体重増加でも、体重を設定値の範囲に戻そうとする代償機構が働くと考えられている。しかし、これらの機構は、体重減少に抵抗する機構ほど強力ではない可能性が指摘されている。

人の体重設定値は幼少期から青年期にかけて形成され、その後は比較的安定していると考えられているが、結婚・出産・移住などの環境変化によって変動する可能性も示唆されている。


現在、設定値理論は、体重が単純な意志やカロリー計算だけでは調節されないことを説明する重要な枠組みとなっている。

   
(3) 設定値モデルの限界
体重を一定範囲に保つはずの設定値モデルでは、1970年代以降に西洋諸国を中心として肥満が急増してきた背景を十分に説明できない。これに対し一部の研究者は、減量の維持に対する代謝的抵抗は強力である一方、持続的な脂肪の増加に対する代謝抵抗は生理学的に長続きしない可能性があると指摘する。

   
(4) 高エネルギー食仮説への疑問
動物実験では、高エネルギー食の長期摂取により不可逆的な体重増加が報告されている。しかし人間では、同じ高カロリー食を摂取していても肥満にならない人が存在し、社会階層・環境変化に関連する体重増加などの現象とも単純には一致しない。

   
(5) 腸内飢餓という新たな視点
近年の肥満増加は、単なるエネルギー過剰では十分に説明できない。
体重の設定値上昇を反映する不可逆的な体重増加は、むしろ身体が「食べ物が不足している」と認識することを契機として引き起こされる可能性がある。

1970年代以降、食品の(超)加工が進み、食環境が大きく変化する中で、摂取した食物が腸管内で完全に消化されたと身体が認識する生理的状態、つまり「腸内飢餓」が生じやすくなっている

【全 文】

目次

  1. 「設定値」理論への理解の進展
  2. 設定値モデルにおける問題点
  3. 体重の設定値に影響を及ぼす環境・行動要因

私は、人には体重を一定の範囲内に保とうとする恒常性システムが存在すると考えており、その観点から、体重の「設定値」理論は重要な意味を持つと思っています。

本稿では、近年あらためて注目されている設定値理論の背景と課題について述べます。設定値の上昇に関与しうる環境的・行動的要因を理解することが、肥満問題に対処する上で重要だと考えています。

1.「設定値」理論への理解の進展

<肥満と減量の試み>

♦肥満者が、「痩せている友人の方が、太っている人よりも常に多く食べている」と主張するのは、真実かもしれないということである。(略)

肥満患者の中で私たちの理解を大いに必要としているのは、1日 1,000 kcal 程度のカロリー摂取を守っているにもかかわらず、減量が1週間に1kg にも満たない人たちである。このような人々が存在することは疑いなく、メタボリック病棟で、「ごまかし」が事実上不可能な条件下で、気付かれずに研究することができる。

通常、このような人は、おそらく 40 kg 太っていて、すでに 20 kg ほど減量している中年女性である。彼らはしばしば抑うつ状態で、低体温であり、代謝率が低い。低カロリー食に対するこの代謝適応の性質はわかっていない(1973年当時)が、1920 年代以前から知られている現象である (J S Garrow, 1973) [1]。


♦肥満者にとって、さまざまな治療法で一定の減量は可能ですが、減量した体重を長期的に維持することははるかに困難であり、ほとんどのケースで体重が元に戻ってしまうと言われる[2]。29の長期減量研究のメタ分析では、減量した体重の半分以上が2年以内に元に戻り、5年後には減量した体重の 80 % 以上が元に戻りました[3,4]

さらに、持続的な減量に成功した人の研究では、体脂肪を減らした状態を維持するには、おそらく生涯にわたってエネルギーの摂取と消費に細心の注意を払う必要があることが示されています[5]

<肥満者のエネルギー消費量>

♦1930年までに、体表面積のより正確な計算により、肥満者の代謝率が正常であることが示され、代謝低下説は好まれなくなった[6]

♦1日のエネルギー消費 (TEE) には、食物の熱効果 (DIT)、身体活動消費 (PAEE)、安静時エネルギー消費 (REE)の3つの要素があるが、平均体重 100 kgと 70 kgの男性のエネルギー消費を比較したモデルケースでは、100 kg の男性の方が一日のエネルギー消費量 (TEE) は高くなる[7]

消費エネルギー比較図

(平均体重100kgと70kgの男性のエネルギー消費量)

一般に信じられていることとは逆に、肥満の人は一般的に、痩せた被験者と比較して絶対的な安静時エネルギー消費(REE)が高いです。それは、肥満では体脂肪とともに代謝が活発な除脂肪質量が増加するためです[7,8]

身体活動消費(PAEE)は、「自発的な運動」と「日常生活の活動」に分けられる。PAEEは体重に比例するため、肥満の人は一般的に身体活動が少ないにもかかわらず、身体活動にかかる毎日のエネルギーコストは肥満でない人と同程度であることが多い[7,9]。また、肥満の人は食物摂取量が多くなる傾向があり、食べ物の熱効果(DIT)も高くなります[7]

<エネルギー消費の動的変化>

♦肥満の予防は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを取らなければならないという単純な帳簿管理の問題であると誤って説明されることが多い[10]

このモデルでは、エネルギーの摂取量と消費量は行動によってのみ決まる独立したパラメータと考えられており、肥満者は単に、食べる量を減らして運動量を増やすだけで、累積食事カロリーの不足 7,200 kcalごとに1kg の割合で着実に体重を減らすことができると考えられている[7,11]これは減量の静的モデル (static model) と呼ばれるが、生理学的に不可能であることが分かっています[7,12]

減量の静的モデル

(減量の静的モデル)

(3,500 kcalルールは、単純すぎると認識されているにもかかわらず、科学文献に登場し続けており、2013年時点で 35,000 を超える減量教育ウェブサイトで引用されています。)[12,13]


♦現在では、エネルギー摂取量と消費量は相互に依存する変数であり、お互いに、また増減する体重によって恒常性シグナルの影響を受けることがわかっています[7,14]

食事や運動によってエネルギーバランスを変えようとする試みは、体重減少に抵抗する生理学的適応によって阻止されるのです[7]

<体重の設定値理論>

♦近年では、恒常性制御の影響が認識され、体はエネルギーバランスを操作する生理学的メカニズムを使用して、遺伝的および環境的に決定された「設定値」で体重を維持するという証拠が増えつつある[12]

          
1953年、ケネディーは体脂肪の蓄積が規制されることを提案しました[15]。1982 年、栄養学者のウィリアム ベネットとジョエル グリンは、ケネディの概念を拡張して設定値理論を開発しました[16]。このモデルは広く採用され、1990年代のレプチンの発見以降強化された[7,12]

個人が体重を減らすと、体は体組成の変化や食べ物の熱効果に基づいて予測されるよりも大幅にエネルギー消費量を減らし、ホルモンの調節を通じて食欲の増加を引き起こし、行動の変化を通じて食べ物の好みを変え、体重を設定値の範囲に戻します[7,16]

減量の設定値モデル

(減量の設定値モデル)

♦減量研究では、体内の脂肪蓄積量は中枢神経系を介したメカニズムによって保護されており、脂肪組織、消化管、内分泌組織からの信号を介してエネルギー摂取量(EI)と消費量(EE)を調整し、恒常性を維持し、体重の変化に抵抗することが示されています(設定値モデル)[12,17]


♦エネルギー危機の際にエネルギー貯蔵量を維持しようとする身体の保護代謝メカニズムは、適応性熱産生 (AT)または代謝適応 として知られています[7,12]

ATは、体組成の変化とは無関係に、摂食不足に関連する安静時エネルギー消費量(REE)の低下として定義されます[12]

♦痩せ型または肥満型の個人が体重を 10 % 以上減らし続けると、24 時間エネルギー消費量が約 20~25 % 減少します。この減少幅は、脂肪と除脂肪量の変化のみに基づいて予測される減少量より 10~15 % 大きい値です[17,18]

肥満の個人も、食事療法による減食に対してこのような代償的な代謝的調整を示すことから、肥満は一部の人にとって自然な生理学的状態であると考えられる可能性があります。肥満動物の実験研究でも同様に、肥満を、高い設定値での体内エネルギー調節の状態と見なす見方を示唆しています[19]


♦体重を減らした元肥満の被験者と、BMI が一致する肥満ではなかった被験者を比較して 適応性熱産生(AT) を調査した横断研究のメタ分析では、肥満経験のある被験者は肥満経験のない対照群と比較して安静時エネルギー消費量(REE)が 3~5 % 低いことが報告されている[20]

つまり、肥満の女性が 100 kg から 70 kg に体重を落とした場合、体重がずっと一定だった 70 kgの女性よりも、70 kgを維持するために必要なエネルギーが少なくて済むことを意味する[6]。肥満のラットと正常体重のラットによる動物実験においても同様の結果が示されている。

このことから、肥満の人が、「痩せた仲間と同じかそれ以下しか食べていないのに体重は減らない」という頻繁な主張には、通常認められている以上の信憑性が与えられるべきです[19]

♦一方、1960年代にバーモント州でイーサン・シムズ教授が囚人に対して行った過食実験で示されたように、一時的な過食による体重増加も、体重を設定値の範囲に戻すような代償機構を誘発します。

しかし一部の研究者は、これらは体重減少に抵抗する機構よりも弱い可能性があると指摘する。この非対称性は、食糧不足や飢餓の期間中に生き残るために脂肪を蓄えるという進化上の利点によるものである可能性があります[16,17]


♦また、実験的な半飢餓および短期的な摂食不足の後に過食症が実証されており、これはおそらく体脂肪と除脂肪組織の両方の喪失から生じる恒常性シグナルの結果です[7,21]

ダイエット後の過食

♦この理論はまた、人の体重設定値は人生の早い段階で確立され、特定の条件によって変更されない限り比較的安定したままであることを示唆しています。ただし、結婚、出産、閉経、加齢、病気などの要因により、生涯を通じて設定値が変化する可能性があります[16]

その一方、設定値理論は、設定点制御に関与する分子メカニズムが完全に解明されていないため、依然として仮説のままであり、一部の研究者はこの理論が単純すぎると考える可能性があります[16]

2.設定値モデルにおける問題点

一方で、体重の設定値モデルには限界があると指摘する研究者もいます。

体重を一定の範囲内に保つ恒常性システムが存在するのであれば、なぜ西洋諸国の多くの人が人生の大半で徐々に体重を増やし続けるのか、という疑問が生じます。 特に、このモデルでは、1970年代頃から世界の多くの社会で観察されてきた肥満の増加傾向を十分に説明できていません[22]

これに対し一部の研究者は、減量の維持に対する代謝的抵抗は強力である一方、持続的な脂肪の増加に対する代謝抵抗は生理学的に長続きしない可能性があると指摘する。実際、肥満の有病率が着実に増えていることからも、体が「痩せること」よりも「太ること」を生理的に許容しやすいことを示唆しています[17,23]

ラットを用いた動物実験では、高脂肪食を与えた初期(3~4週間)には、エネルギー消費量の増加や交感神経系(SNS)の活性化が認められるものの、高脂肪食を数か月間継続すると、これらの反応は次第に明らかでなくなることが報告されています[17,24]

さらに別のラット研究では、ポテトチップスやチーズクラッカーなどの嗜好性の高い高エネルギー食を長期に摂取させた結果、設定値の上昇を示唆する不可逆的な体重増加が生じたと報告されています[19,25]

ラット食事誘発性肥満

このような「高カロリー食品の継続的な摂取によって、体重の設定値が上昇する」という説明は、初めは妥当のようにも思われます。しかし、一つの外的要因によって体重が一方向に変化していくのであれば、これはもはや「設定値」と呼ぶべきものではない。

さらに、この仮説を人間に当てはめると、同じように高カロリーな食品を頻繁に摂取しているにもかかわらず、肥満にならない人が存在するという事実とも整合しません。実際、以下のような矛盾が指摘できます。

        
(1) 西洋諸国の低所得層や、発展途上国における比較的裕福な層で、肥満が頻繁に認められること[22,27,28]

(2) 1950年代以降、貧困層において低栄養と肥満が同時に存在する現象が世界各地で観察されていること[29]

(3) 大学進学、結婚、出産、あるいはアジアから欧米への移住など、環境の変化を契機として体重が増加する人が少なくないこと[22]

      

私は、体重の設定値が上昇する背景には、腸内飢餓による適応反応が関与していると考えています。
次のセクションでは、この点についてより具体的に説明します。

3.体重の設定値に影響を及ぼす環境・行動要因

現在、多くの国際機関は肥満を慢性疾患として位置づけている。

体重の設定値理論に関心を持つ一部の研究者は、慢性疾患としての肥満が治癒可能かどうかは、遺伝要因と環境要因がどの様に組み合わさって設定値が調整されるのかを理解することが不可欠であると指摘しています。一方で、多くの重要な環境的・社会的影響を十分に説明できていないのも事実です[22]

本稿では、こうした課題を補完する視点として、「腸内飢餓」の概念を提示します。
以下では、その要点を4つに分けて述べます。

(1)プラスのエネルギーバランス仮説の限界 

一般的に、体重増加にはプラスのエネルギーバランスが必要であると考えられているため、高カロリー食品の増加や身体活動量の低下が近年の肥満の蔓延を招いたと説明される。しかし逆説的に、肥満の増加が減量を目的としたダイエットの増加と並行して起こっているという事実は[30]、私たちのエネルギーバランスに対する考え方に再考の余地があることを示唆しています[12]

私が強調したいのは、過食による一時的な体重増加は「エネルギー過剰」で説明できる一方、長期的かつ不可逆的な体重増加は、むしろ、エネルギーの枯渇や「食べ物が不足している」という身体の認識を契機として引き起こされる可能性があるという点です。これは、実験的飢餓や減量ダイエットの後に体重が以前より増加する現象とも共通しています。

【関連記事】 ダイエットの普及が肥満の増加に拍車をかけている可能性

      

(2)食品加工がもたらした消化・吸収の変化 

1970年代以降、高カロリー食品が増えたことは確かですが、それ以上に身体に大きな影響を及ぼしている可能性があるのが、食品の(超)加工です。食品加工の進展により、固く消化されにくい部分は取り除かれ、柔らかく消化の良い部分が中心となりました。その結果、消化・吸収速度や腸内環境に大きな変化が生じていると考えられます。

腸内飢餓は、精製炭水化物や(超)加工食品の頻繁な摂取と関係しており、肥満が1970年代以降に増加してきた背景や、先進国に限らず発展途上の一部地域でも頻繁に生じうる理由を説明しうる

【関連記事】 肥満の増加は、超加工食品の消費量と密接に関係している

    

(3)腸内飢餓という多因子モデル

腸内飢餓は、4つの要因が同時に重なったときに生じやすくなる生理状態である。この概念は、肥満を遺伝要因と環境要因の相互作用によって生じる慢性疾患として理解するための枠組みを提供します。

【関連記事】腸内飢餓を加速する3要素(+1)

(4)肥満状態で、なぜ身体が減量に抵抗するのか?

腸内飢餓を通じて起こりうる、設定値上昇を示唆する体重増加では、栄養全体の吸収効率が高まると考えられます。つまり、エネルギー恒常性の観点から、摂取と消費が釣り合うポイントそのものが高い水準へ移行することを示唆します。これは、十分な体脂肪を有する肥満者であっても、カロリー制限に対して代謝的な代償反応を示すことを説明できる可能性がある。

【関連記事】 なぜ、腸の飢餓状態で太るのか?

  
▽前節で紹介したラットの動物実験では、90日間にわたる高エネルギー食の摂取によって、設定値の上昇を示唆する不可逆的な体重増加が生じたと報告されています(Rollsら,1980)。しかし、この実験で用いられた「太らせる餌」は、ポテトチップス、チーズクラッカー、クッキーなど、市販の嗜好性の高い食品が中心でした[25]
これらは同時に、高度に精製された炭水化物や(超)加工食品でもあります。

一方、対照群に与えられた固形飼料は、挽き割り穀物・大豆ミール・魚粉などで構成されており、食物繊維や植物の硬い細胞壁といった消化されにくい成分が多く含まれていた可能性があります。これは、50年以上前の人間の食事構成とも類似しています。

したがって、この結果をもって「継続的な高エネルギー食の摂取が、設定値の上昇を示唆する体重増加を引き起こした」と結論づけるには、慎重な解釈が必要であると私は考えています。
           

<参考文献>
[1]Garrow JS. 「食事と肥満」. Proc R Soc Med. 1973 Jul;66(7):642-4. PMID: 4741395; PMCID: PMC1645095.

[2]Wu T, Gao X, Chen M, van Dam RM. 「減量のための食事療法と運動療法の長期的効果と食事療法のみの介入の比較: メタ分析」. Obes Rev. 2009;10(3):313–323. 

[3] Hall KD, Kahan S. 「減量した体重の維持と肥満の長期管理」. Med Clin North Am. 2018 Jan;102(1):183-197. 

[4]Anderson JW, Konz EC, Frederich RC, Wood CL.長期的な体重減少の維持:米国研究のメタ分析」. Am J Clin Nutr. 2001. Nov;74(5):579-84. 

[5]Wing RR, Hill JO. 「減量の成功維持」. Annu Rev Nutr. 2001;21:323-41. 

[6]Jou C. 「肥満の生物学と遺伝学 — 1世紀にわたる研究」. N Engl J Med. 2014 May 15;370(20):1874-7. 

[7]Hall KD, Guo J. 「肥満エネルギー学」. 2017 May;152(7):1718-1727.e3. 

[8]Nelson KM, Weinsier RL, Long CL, et al. 「除脂肪体重と脂肪量からの安静時エネルギー消費量の予測」. Am J Clin Nutr. 1992;56:848–856.

[9]Westerterp KR. 「身体活動、食物摂取、体重調節」. Nutr Rev. 2010;68:148–154.

[10] Levine DI. 「米国政策におけるカロリーの奇妙な歴史」. Am J Prev Med. 2017;52:125–129.

[11] Hall KD, Chow CC. 「体重1ポンドあたり3500kcalの減量ルールはなぜ間違っているのか?」Int J Obes (Lond). 2013 Dec;37(12):1614. 

[12] Egan AM, Collins AL. 「栄養不足に対するエネルギー消費の動的変化:レビュー」. Proc Nutr Soc. 2022 May;81(2):199-212. 

[13]Thomas DM, Martin CK, Lettieri S et al. (2013) 「3500kcalのカロリー不足で1週間に1ポンドの減量は可能か?」. In Int J Obes 37, 1611–1613.

[14]Hall KD, Heymsfield SB, Kemnitz JW et al. (「エネルギーバランスとその構成要素:体重調節への影響」. Am J Clin Nutr. 2012 Apr;95(4):989-94. 

[15]KENNEDY GC. 「ラットにおける食餌摂取の視床下部制御における貯蔵脂肪の役割」. Proc R Soc Lond B Biol Sci. 1953 Jan 15;140(901):578-96. 

[16] Ganipisetti VM, Bollimunta P. 「肥満と設定値理論」. 2023 Apr 25. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2024 Jan–. PMID: 37276312.

[17] Rosenbaum M, Leibel RL. 「ヒトにおける適応的熱産生」. Int J Obes (Lond). 2010 Oct;34 Suppl 1(0 1):S47-55. 

[18] Leibel R, Rosenbaum M, Hirsch J. 「体重の変化によるエネルギー消費量の変化」. N Eng J Med. 1995;332:621–28.

[19] Richard E. Keesey, Matt D. Hirvonen, 「体重設定値:決定と調整」, The Journal of Nutrition, Volume 127, Issue 9, 1997, Pages 1875S-1883S, ISSN 0022-3166.

[20]Astrup A, Gøtzsche PC, van de Werken K, et al. 「元肥満被験者の安静時代謝量に関するメタ分析」. Am J Clin Nutr. 1999 Jun;69(6):1117-22.

[21] Dulloo AG, Jacquet J, Girardier L. 「ヒトにおける飢餓後の過食と体脂肪のオーバーシュート」. Am J Clin Nutr. 1997;65:717–723.

[22]Speakman JR, Levitsky DA, Allison DB, et al. 「セットポイント、安定点、およびいくつかの代替モデル」. Dis Model Mech. 2011 Nov;4(6):733-45. 

[23] Schwartz MW, Woods SC, Seeley RJ, et al. 「エネルギー恒常性システムは本質的に体重増加に偏っているか?」. 2003 Feb;52(2):232-8.

[24] Corbett SW, Stern JS, Keesey RE. 「食事誘発性肥満ラットにおけるエネルギー消費」. Am J Clin Nutr. 1986 Aug;44(2):173-80.

[25] Rolls B.J., Rowe E.A., Turner R.C. 「高エネルギー混合食摂取後のラットの持続的肥満」. J. Physiol. (London), 298 (1980), pp. 415-427

[26](削除)

[27] Dykes J et al.「女性の体格と肥満における社会経済的勾配」. International Journal of Obesity 2004 Feb,:262-68.

[28] Poskitt EM. 「移行期にある国々:低体重から肥満へノンストップ」. Ann Trop Paediatr. 2009 Mar;29(1):1-11.

[29] Gary Taubes. 「ヒトはなぜ太るのか?」.メディカルトリビューン. 2013. Pages 22-40.

[30]Montani JP, Schutz Y, Dulloo AG. 「ダイエットとウェイトサイクリングは心臓代謝疾患の危険因子である」.Obes Rev. 2015 Feb;16 Suppl 1:7-18.

  

2024.06.16

過食実験は、「過食」が肥満の原因でないことを示唆する

目次

  1. 過食実験で、人を太らすことはできるのか?
  2. それ以降の過食実験
  3. 代謝で、この体重の戻りは説明できるのか?
  4. 肥満と過食実験の違い(私の考え)

1.過食実験で、人を太らすことはできるのか?

ジョージ・A・ブレイ氏(2020年現在、ペニングトン生物医学研究センターの名誉教授)によると、1960年代まで、肥満は「意思力の欠如」とみなされ、多くの人もそう思った。中には「(肥満)患者がテーブルから離れさえすれば、この問題はなくなるだろう」という者もいたという。

そんな中で、肥満が真の学術的関心領域として受け入れられるようになったきっかけは、過食に関する研究であったと、ブレイ氏は振り返る。過食の研究は肥満の生物学に関する貴重な洞察を提供し始めていたのだ。当時、ボストンのニューイングランド医療センター病院で博士研究員であったブレイ氏にとって、バーモント州での過食研究が1968年に初めて発表された時の興奮は忘れがたいものとなった[1]


■1960年代後半にイーサン・シムズ教授が行った過食実験がそれにあたる。それまで「食べ過ぎれば肥満になるのは当たり前だ」と思われていたため、このような実験が行われることはあまりなかった。

The Obesity Codeの著者、ジェイソン・ファン氏によると、シムズ教授は近くのバーモント大学の痩せた学生を集め、沢山食べて体重を増やすように指示したが、予想に反して学生達は太らなかった。

教授は「学生が運動量を増やしたのではないか?」と考え、今度は刑務所の囚人達を被験者に選んだ。受刑者らは運動を制限され、毎日 4,000 kcalの食事を残さず食べているか厳しくチェックされた。

受刑者の体重は初めこそ増えたが、その後は増えなくなった。中には、元の体重の20%以上増えた者もいたが、体重の増加の仕方は人によって大きく異なっていたのだ[2]

集団での食事

この過剰摂取を200日間続けた結果、20人の囚人の体重は平均20~25ポンド(約10kg) 増えた。しかし実験が終了し摂取カロリーが通常に戻ると、ほとんどの被験者は増えた体重を維持するのが難しく、彼らの体重は比較的容易に元に戻った。例外は、体重を落とすのに苦労した2人の囚人だけだった[3]


ブレイ教授は当時、体重増加中に脂肪組織に生じる代謝の変化を調べるために、このシムズ教授の実験に共同研究者として参加していたのである。その後、1972年には自らがモルモットとなって、過食実験を行ったという。

初めは、毎食の量を2倍にしようとしたが食べきれず、途中からアイスクリームのようなエネルギー密度の高い食品に切り替えたのだ。

開始から10週間で体重は10キロ増えたが、終了すると体重は急速に減り、6週間後には元の75kgに戻り、それ以来何の問題もなく体重を維持しているという。

自己実験終了後の1972年の夏には4人のボランティアが同様に過食を始めたが、彼らも実験終了後には元のベースラインの体重に戻ったという。

過食実験

ブレイ氏は言う。
この標準体重への急速な戻りは、肥満のほとんどの人が苦労して減量し、減量した体重を維持しようとする時に経験する困難とは対照的であると

数年かけて肥満を発症する人の多くの人は、過食によって急激に体重が増えた私達とは異なる種類の苦痛に苦しんでいます。彼らににとって、肥満は「うっかり」起こり、一度そうなると元に戻すのは困難を伴う。

過食と減食の試験の歴史やその他の証拠は、肥満の治療が単に「食べる量を減らして運動を増やす」というアドバイスに頼るだけではダメであることを明確に示しているのだ[1]

2.それ以降の過食実験

アレックス・リーフ(ウエスタンステーツ大学) とホセ・アントニオ(ノーバー・サウスイースタン大学)は、2017年までに行われた過食実験で、体組成に与える影響を評価した研究をレビュー(再検証)した。

体重増加に加え、脂肪量 (FM) と除脂肪量 (FFM) の変化を報告した過食研究は25件あった。研究の期間は9日から100日であり、4件を除きすべて運動不足の集団で実施されたものである[4]。なお、それぞれの研究の目的は異なっており、実験終了後の体重の減少については、必ずしも言及されていない。


いくつか例をあげると、1990年に発表された一卵性双生児を対象とした研究がある。

■ブシャール (ラヴァル大学、カナダ)らは、運動習慣のない男性一卵性双生児12組(24名)を募集した。各参加者のエネルギー必要量は2週間のベースライン期間に計算され、その後 100 日間にわたり(週6日、合計で84日)、一日あたり1,000 kcal(蛋白質 15%、脂質 35%、炭水化物 50%) 過剰に摂取した。

双子男子

彼らはは大学寮の閉鎖されたセクションに収容され、 スタッフによって 24 時間監視されていました。

体重は平均 8.1 kg 増加したが、そのうち67%が脂肪量 (FM) であった。また、体重の増加の仕方はバラつきが大きく、範囲は 4.3 ~ 13.3 kg であった[5]

実験終了から4カ月後、双子の体重は平均 61.7 kg となり、開始前のベースライン体重 60.4 kg と比較してわずか 1.3 kg 高かったが、ほぼ戻っていた[1]

【双子写真出典】:写真素材 freepik

■コンフォード(ミシガン大学)らは、健康で肥満ではない男性7人、女性2人を対象に試験を行った(2012年)。
参加者は2週間病院に入院し、その期間に1日 4,000 kcalの食事(蛋白質 15%、脂質 35%、炭水化物 50%) を摂取した。被験者のエネルギー必要量は、開始前1週間のベースライン期間中に決定された。参加者は3回の食事の他に4回の間食をした。体重は、平均 2.1 kg増加し、そのうち 67 %は脂肪(FM)であった[6]


このレビューの要約では、
炭水化物と脂質の両方を適度に多く、蛋白質を少なく(エネルギー摂取量の11~15%) した食事を運動不足の成人に摂取させると、主に体脂肪 (FM) が増加し、それは体重増加の 60~70 %を占めることが示された。また、体脂肪を除く体重 (FFM)の増加は、骨格筋組織ではなく体内の水分量の増加による可能性があるとしている。

それに対し、蛋白質を大幅に増やした食事では、摂取エネルギーが増加しても、体組成に好ましい変化が見られたとしている[4]

3.代謝で、この体重の戻りは説明できるのか?

なぜ被験者の体重は実験終了から数週間でに急速に元に戻ったのか?

ブレイ教授によると、このバーモント州での過食研究における印象的な発見の1つは、被験者が過食後に増えた体重を維持するために、体重増加前よりも単位面積あたり多くのエネルギーが必要になったことであるという。ブレイ氏が1970年にカリフォルニア大学に移った時、新しい研究室が稼働し始め、増加した体重を維持するために余分なエネルギーが必要になる理由に関する仮説についての調査が始まった[1]


■ライベル (ロックフェラー大学)らは、肥満 (BMI 28以上)の被験者 18 名と肥満経験のない被験者 23 名を対象に、通常の体重のときと、摂食不足で体重を10%以上減らした時、または摂食過剰で体重を 10%増やした時のエネルギー消費量の変化を調査した(1995年)。

体重を初期体重より10%以上低いレベルに維持すると、総エネルギー消費量が、体重1kg1日あたり、肥満者で8±5 kcal減少し、非肥満者では6±3 kcal減少した。

また体重を10%高いレベルに維持すると、総エネルギー消費量は、肥満者で8±4 kcal増加し、非肥満者で9±7 kcal増加した。

過食による代謝変化

この研究での結論として、体重の減少又は増加の維持はエネルギー消費の代償的変化と関連しており、これが通常とは異なる体重の維持に抵抗し、元の体重に戻すように機能しているのだと言う。これが、摂取カロリーを減らすことによる肥満治療の長期的な有効性が低い原因である可能性を指摘した[7]

4.肥満と過食実験の違い(私の考え)

ブレイ教授が言われるように、私も一時的なカロリーの過剰摂取による体重の増加は、根本的な肥満とは全く異なるメカニズムによるものだと思っています。代謝の代償的メカニズムが体重の変化に抵抗するのであれば、なぜ太る人は太っていくのでしょうか?

     
このブログを通して何度も言うように、
太っている人と痩せている人、両者の違いは体重の設定値の違いによって説明できると思っています。(体重の設定値を上昇させるのは腸内飢餓です。)

■例えば、普段から体重が60kgで安定している人が、一時的な過食を強いられ63kgになったとします。

それはグラスに例えると、グラスに97%ぐらい入っていた水が 100 %となり、さらに表面張力が働いてグラスの上端から水が盛り上がっているようなものだと思っています。

逆に、食事量を減らし体重を57kgに保つというのは、グラスの水が一時的に減り、水面がくぼむような状態であると思っています。つまり、どちらも設定体重は変化していません。

過食による体重増加

■それに対し、60kgの人が数年かけて徐々に太り、安定的に90kgを維持しているとすると、それは設定体重そのものが上昇したこと、つまりグラス自体が大きくなったことを意味します(エネルギーがより高いレベルで釣り合っている状態)。

設定体重のアップ

現在、私達は肥満を助長する「肥満誘発環境」に生きていると言われることもあるが、それは必ずしも高カロリーな食品や座りがちな生活を意味するものではない。一部の研究者も既に言及されている通り、カロリー計算にあまり意味がないことは明白です。摂取カロリーの増減は一時的な体重増加又は減少をもたらすだけです。


私の考える「肥満誘発環境」はむしろ、消化の良すぎる食べ物(精製炭水化物、ファーストフード、加工食品)や食事のバランス(野菜不足)などと関連しています。それらが、朝食抜き・遅い夕食などのいくつかの条件と重なれば「腸内飢餓」が引き起こされる可能性があるのです。

  
もちろん、研究者
なら「太る為には、以前よりもより多くのエネルギーが体内に取り込まれないといけない」と言うでしょう。なぜ腸内飢餓によって、エネルギーがより多く体内に摂り込まれ、人は太るのか?については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】 腸の飢餓状態でなぜ太るのか?

  

<参考文献>
[1] Bray GA.「体重増加の苦痛:食べ過ぎの自己実験」. Am J Clin Nutr. 2020 Jan 1;111(1):17-20. 

[2]Fung J. The Obesity Code. Greystone books, 2016, P114-116.

[3] Chin Jou. 「肥満の生物学と遺伝学-1世紀にわたる研究」. N Engl J Med. 2014 May 15;370(20):1874-7.  

[4] Leaf A, Antonio J. 「過剰摂取が体組成に与える影響:主要栄養素組成の役割」. Int J Exerc Sci. 2017 Dec 1;10(8):1275-1296. 

[5] Bouchard C et al.「一卵性双生児の長期にわたる過食に対する反応」. N Engl J Med. 1990 May 24;322(21):1477-82. 

[6] Cornford AS et al. 「過食による全身インスリン抵抗性の急速な発達は、骨格筋のグルコースおよび脂質代謝の大きな変化を伴わない」. Appl Physiol Nutr Metab. 2013 May;38(5):512-9. 

[7] Leibel RL et al. 「体重の変化によるエネルギー消費量の変化」. N Engl J Med. 1995 Mar 9;332(10):621-8. 

メルマガ登録

メールアドレス  
※は必須項目です  

サイト内検索