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食べ方(時間栄養、速さ、回数)

2023.10.30

食事回数は体重増加(又は減少)にどう影響するのか?

目次

  1. 食事の頻度と体重との関係性についての背景
  2. 食べる回数は腸内飢餓とも関係する
  3. 結論

1.食事の頻度と体重との関係性についての背景

(1)50 年以上前、食事頻度の低下は体重増加と関連していることが報告されました 。それ以来、多くの観察研究がこの考えを支持しています。代謝チャンバー(小部屋)内で実施されたランダム化クロスオーバー研究では、食事頻度を1日3食から2食(朝食と夕食)に減らすと、痩せた女性の満腹感が急激に減少した[1]

(2)疫学報告では、食事頻度の増加、体重、代謝の健康の間に良好な関係があることが示されており、一部の研究者・栄養士の間では、少量の規則的な食事を複数回摂取することが、体重増加を制限する可能性のある食事アプローチとして認識されている 。食事の頻度を増やすことは、満腹感を高めて空腹感を軽減し、エネルギー消費を増加させ、代謝の健康を改善することによって減量を促進する食事戦略としても提唱されています。

規則正しい食事

しかし、介入試験は一般的に疫学的エビデンスを支持していません。今日の肥満が起こりやすい環境では、食事の機会を増やす処方は、誤って過剰摂取や体重増加を引き起こす可能性があるためです。
これは、エネルギー密度の高い食品を過剰に摂取する頻度が高くなると、代謝の健康状態が悪化するという最近の証拠を考慮すると、特に重要です[2]

(3) 1996 年から 1999 年の間に4回実施されたINTERMAP研究(マクロ/微量栄養素と血圧に関する国際研究)のデータを用いた調査では、少量の食事の回数が多いほど食事の質が向上し、BMI が低下する可能性があることを示唆しています。
食事の機会(EO:eating occasion)が平均 6 EO の参加者は、4 未満の EO の参加者と比較して、食事の質(DQI)が高く、BMI が低かった。これは、頻度が全体的な健康増進行動のパターンを反映していることを示している[3]

(4) 逆に、北米の比較的健康な30才以上の成人会員50,660人からのデータ(アドベンティスト健康調査) を基にした研究では、1 日あたり 3 食を超える食事(間食)は、BMI の相対的な増加と関連していました。EOの増加がエネルギー摂取量の増加と関連していることを示唆している[4]

これらを勘案すると、食事の頻度は、エネルギーバランスとより広範な健康増進行動パターンの文脈にとって二次的な要素であると思われます[5]

(5) 人間の食事パターンを解明することは栄養疫学にとっての課題となる。食事頻度アンケートは一般に、食事のタイミングではなく、指定された期間にわたる平均摂取量を把握するように設計されているが、「食事」や「スナック」の標準化された操作上の定義は依然として不足しており、食べ物摂取のタイミング、頻度、(不)規則性が関心の結果である場合は、不一致な結果が得られる可能性がある。

一部の研究者は、スナックに最低エネルギー基準(>50 kcal )を適用していますが、食事は、「朝食」「昼食」「夕食」という、あらかじめ定義された、文化的、社会的に主導されたラベルによって特徴づけられ、文化によって異なる[6]

2. 食べる回数は腸内飢餓とも関係する

「1日に摂取するカロリーの合計が同じなら、1日に何回食事をするかは関係がない」という専門家もおられますが、私は間違いなく、食べる回数は体重の増加(又は減少)に影響すると断言します。

私は、「太る」という言葉には2つの意味があるといいましたが、その考えを基にすると、比較的簡単に説明できると思っています。下記の図の(a)(b)の部分について順に説明します。

基本体重up

(1)まず(b)の部分について言うと、「食べる回数」は大いに関係があります。

基本体重(Base Weight)そのものがアップするのは腸内飢餓のメカニズムですので、回数を増やし分散して食べるほうが太りにくくなります。お腹がすいてきたな~」という時に、また胃に食べ物が入ってくるわけですから、胃腸の中には未消化物が残りやすくなる訳です。

元々スリムな人や中型体形の人が、その様な生活習慣をつづけることで、体重増加を抑止できる可能性が高くなりますし、これは、「食事頻度の増加、体重、代謝の健康の間に良好な関係がある」という観察研究とも一致するでしょう。

逆に、一日2食のように食べる回数が減り、食事の間隔が長くなれば、食べ物の組合せによっては太りやすくなります。
私の理論の中で
は、食事回数というのは「食事の間隔」と同義であって、腸内飢餓が引き起こされる必要条件の1つの要素と言えます。「朝食抜き」「夜遅い食事」の記事でも言及したように、一日2食で、食事が消化の良い炭水化物やタンパク質に偏り、野菜や乳製品などが不足すれば腸内飢餓を引き起こし、基本体重が長期的にアップする可能性もあるのです。

これは「食事頻度の低下は体重増加と関連している」という50年以上前の観察研究と一致します。

(2)次に(a)の部分について言うと、「食事の回数」はあまり関係ないと言えるかも知れません。
多くの人が「より多くのカロリーを摂ると太る」と思っているのは、この基本体重(B W)に戻ることを意味します。ですから、食べる回数よりも一日トータルでのカロリーや炭水化物の摂取量が問題になるはずです。普段からダイエットで体重を低くキープしている人や、運動で無駄な体脂肪を落としている人などは、食べる頻度が増すことによって、摂取カロリーが必要量以上に増えれば太ると考えることができます。

上記の第1節-(2) で引用したように、介入試験における「過体重や肥満者に食事の機会を増やす処方は、誤って過剰摂取や体重増加を引き起こさせ代謝の健康状態が悪化する可能性がある」という研究結果は、この(a)の部分について当てはまると考えます。

3. 結 論

(1)私の腸内飢餓の理論を基にすれば、上記の第2節の様に「食事の頻度」と体重の関係性をより具体的に説明できると考えています。
腸内飢餓が引き起こされる条件の中で一番大切な要素は「何を食べるか?」ですが、食事の頻度(食事の間隔)によって、全く同じ摂取量であっても体重に異なる影響を及ぼす可能性があるのです。食事の頻度は、「エネルギーバランスとより広範な健康増進行動パターンの文脈にとって二次的な要素である」という事実は否めませんが、重要な要素でることは間違いありません。


(2)私の考えでは、1日2食が太りやすい(基本体重がアップするという意味で)傾向はあるのですが、1日4~5食でも基本体重はアップする場合があります。

私の友人で、大学受験の浪人時代に1日4~5食で10キロ以上太った男性がいます。(高校時代は柔道部に属し、たくさん食べていたのにガリガリだった。)

簡単な食事

彼に体重の増加について話を聞くと、受験勉強中はパンやおにぎり、カップめんなどの軽い食事が一日の食事の半分以上を占めていたそうです。

第1節-(5) の引用でも示したように、「食事」「スナック」の定義が曖昧であり、炭水化物が多く野菜の乏しい軽食でさえ「一回の食事」とカウントするのであれば、食事回数(頻度)を議論することに意味はありません。アンケートなどを用いた観察研究においても、不一致な結果が出ることは当然予想されます。

(3)観察研究の対象によって、食事頻度と体重の関係性においてチグハグな結果が起こりえます。
元々痩せた人や中型体形の人が、バランスの良い3度の食事をし、間食でドーナツやクッキーを食べたとしても、基本体重がアップする理由とはなりません。

それに対し、体の大きな人や肥満の人がお腹が空き過ぎて、結果的に4~5回食べてしまう場合があります。体が大きくなるにつれて胃腸も大きくなり、消化力も強くなると仮定すると、彼らが他の人と同じ物を食べても、早く空腹を感じると考えられるからです。

(4)食事の頻度を増やすことで、体重減少に役立つ可能性が大いにあると考えます。

もちろん、ファーストフードやラーメン、スナックパンなどの炭水化物やお肉に偏った食事はいけませんが、糖質制限食に見られるように、炭水化物の量を減らし、野菜・タンパク質・乳製品・オイル・ナッツなどを増やした食事を毎日のベースにすることです。(炭水化物も完全に精白されていないものやアルデンテのパスタなどが望ましい。)

腸内に未消化物を多く残して、空腹感を減らすことが主なポイントであり、それによってエネルギー消費(食事誘発性熱産生)が増えるだけでなく、吸収率が低下すると考えています。

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低炭水化物食

2023.10.07

夜遅くの食事は本当に太るのか?

目次

  1. 夜遅くの食事と体重増加の関連性についての背景
  2. 遅い食事が本当に太りやすいのか?(私の考え)
  3. BMAL1で説明するのには無理がある
  4. 結 論

日本では、多くの人(特に女性)が 「太りたくない」という理由から、夜遅く(9時以降)に夕食やスイーツを摂るのを避ける傾向があります。しかし、それは本当に意味があるのでしょうか?事実、「夜遅くに夕食を摂るようになって以前より太った」という人もいますが、私はそこには間違った認識があると考えています。

1. 夜遅くの食事と体重増加の関連性についての背景

(1) 1946年のイギリス出生コホートを対象に、食事機会ごとのエネルギー摂取量の17年間の変化を調査した横断研究では、1日の後半により多くのエネルギーが摂取されていることが報告されており、集団として、私たちが食事をするタイミングに変化が生じている [1]

非肥満、非糖尿病の中年成人 1,245 人のコホート研究では、一日のエネルギー摂取量の48%以上を夕食で摂取する参加者は、登録時のエネルギー摂取量、身体活動、BMIのばらつきで調整した後でも、6年後の追跡調査で肥満である可能性が2倍高かった[2]

夜勤

(2) 夜勤者や交代勤務者のように、通常身体が休息に入る夜間にまで及ぶ食事パターンをとる人に体重増加傾向の増大がみられる[3]

2018年に発表されたメタ分析では、28件の研究がレビューの対象となり、交替制勤務者は他の肥満タイプよりも腹部肥満を発症する頻度が高かった。常勤の夜勤者は、交替勤務者よりも肥満リスクが 29% 高いことが実証された[4]

(3) これまでの人における観察研究では、遅い時間帯の食事は、報告されたカロリー摂取量や身体活動の違いでは説明できない高い肥満リスク、食事療法や外科的減量の成功率の低下と関連している。食事摂取のタイミング自体が、エネルギー摂取量や活動に伴うエネルギー消費量の変化とは関係なしに体重に影響を及ぼす可能性が示唆されている[5]

(4) 2017年に発表されたレビュー(過去の研究の検証)では、夜のエネルギー摂取量と体重増加 (BMI)との関係が調査された。関連する121の論文のうち、10件の観察研究と8件の臨床試験が系統的(システマティック)レビュー(注1)に含まれた(102 件のテキストがレビュー適格基準を満たさなかった)。

観察研究のうち 4 件は BMI との正の関連を示しましたが、5 件は関連を示さず、1 件は弱い逆相関を示しました。観察研究のメタ分析(注2)では、BMI の増加と夜間のエネルギー摂取量の増加の間にはわずかな傾向 しか示されませんでした。
また大多数の臨床試験では、夕食の量を減らした方が体重減少が大きかったと報告してるが、メタ分析ではグループ間で有意な差は示されませんでした。

(注意すべき点として、食事のタイミングの定義、エネルギー摂取量の定量化、食事の評価方法などにはかなりの不一致があり、含まれた研究の不均一性が研究結果の信頼性に影響を与えている可能性が指摘されている。)
[6]
(注1:過去の研究論文を系統的に検索・収集し、類似した研究を一定の基準で選択・評価したうえで、科学的な手法を用いてまとめること。
注2:過去に独立して実施された複数の研究結果を集めて統合し、それらを用いて解析を行う方法)

  

(5) 2022年に発表された無作為比較クロスオーバー試験では、過体重又は肥満の16人の被験者が2つの実験プロトコルを完了しました。一つは厳密に管理された早い時間帯の食事スケジュールで、もう一つは全く同じ食事内容で、すべて4時間後にスケジュールされたものでした。

その結果、遅い食事は空腹感を増加させ、エネルギー消費量を減少させ、脂肪組織の分子経路に影響を与えることが判明した。この研究では、直接的な食事タイミングを調査することが目的であったため、カロリー摂取量、身体活動、睡眠、光の曝露などの交絡変数を制御することで他の影響は分離されたが、実際の生活ではこれら多くの要因は食事のタイミングによって影響を受ける可能性がある[7]

2. 遅い食事が本当に太りやすいのか?(私の考え)

私達が就寝後、ホルモンなどの働きにより脂肪の合成がより促されるとすると、ある意味、誰でも夜の食事が朝・昼より多少太りやすいとしても不思議ではない。それがこの問題をさらに複雑にしているのですが、だからと言って、夜間の食事と肥満リスクの増大を関連づけるのは正しいとは限らない。

以下の記事でも言ったように、肥満リスクの増大は「食事のタイミング」だけが重要な要素ではなく、「何を食べるのか?」を常に組み合わせて考えなければならないと考えます。夜遅くの食事」と「朝食抜き」は表裏一体であり、そういう食習慣はバランスの悪い食事と組み合わさった時に腸内飢餓を引き起こしやすく、長期的に人は太りやすくなると考えています。次の4つのパターンについて考えてみたいと思います。

【関連記事】「いつ食べるのか」は大事だが、「何を食べるか」と組合わせるべき

   

(1)食事が全体的に4時間遅くなる場合

第1節(5)で示したように、2022年に行われた、短期的な介入試験によると、早い時間帯の食事スケジュールに比べ4時間遅くスケジュールされた食事が、食欲・エネルギー消費・脂肪組織の分子経路に影響を与えるとのことであるが、それが長期的に人を肥満にするかは依然として不明である。


私は和食店で調理師として働いていたが、その時の食事のタイミングがこれにあたる。朝食は9時頃に軽く食べ、昼食はスタッフ全員で3時頃に食べていた。夕食はお店の営業が終わった11過ぎであった。
飲食店で働く一般的な社員も大体、全体の食事が3~4時間ずつ遅れることが多いのだが朝食・昼食でバランスのとれた食事をし、食事の間隔が一定の場合、(少なくとも日本では)それが肥満リスクを著しく増加させるとは考えにくい

もちろん徐々に太っていく人や、急に太る人も中にはいるが、「何を食べるのか」が一番の問題であると考えます。消化の良い炭水化物やタンパク質に偏るバランスの悪い食事と「朝食または昼食抜き」などが重なっていけば、太りやすくなると考えます。

このような食事パターンを続けることによって、実際にスリムな人が太るかどうかを調査したければ、レストランのスタッフなどに協力してもらい、すべての店のスタッフに同じ食事メニュー(朝・昼・晩)を食べてもらうことで確かめることができるのではないだろうか?
      

(2) 昼食から夕食までの間隔が長くなる場合

遅い夕食によって太りやすくなる場合の典型的なパターンが、昼食は12時頃にとって、夕食が20~21時頃に遅れるパターンだと思っています。

私の友人は、車で会社の外回りの営業活動をしているため、夜の食事が20時か21時頃になるという。かつては彼は痩せ型だったが、結婚してからは自由に使える小遣いも少なく、昼食はうどんやラーメン・丼ぶりで済ますこともあったという。

麺類、どんぶり

2年ほどの間に彼は10キロ以上太ったのだが、これは夕食が遅くなることよりも、昼食などを炭水化物中心の簡単なものにし、空腹を長時間我慢していることがむしろ問題であると私は思っています。

朝食の記事でも紹介した、「朝・昼を簡単な食事にし、夕食で不足するエネルギー・栄養を補う」という逆三角形型の食事パターンと同じである。
この場合、遅い夜の食事の前に腸内飢餓ができやすく、基本体重が気が付かないうちにアップする可能性があるのです。


(3) 夜食を食べ、朝食を抜く場合

また、夕食後、寝る前に夜食などを食べる人もいるかも知れないが、こういう人達は朝食を抜く可能性が高いのではないだろうか?第1節の引用で示したように「夜間の食事は長期的に体重増加のリスクを高める」という観察研究があるが、裏を返せば、朝食を食べないことなどがむしろ問題であると私は考えます。

朝食を食べない場合、夜食・昼食が消化の良い炭水化物や肉などに偏るバランスの悪い食事で、かつ野菜などが不足すれば、徐々に腸内飢餓を引き起こしやすくなるのである

逆に、一日の早い時間帯の食事で、繊維質の野菜や乳製品、タンパク質、脂質などバランス良く食べておけば消化されない物質が腸内に長時間残るために腸内飢餓状態を防いでくれるのである。
        

(4) 夜食は太る原因とはならない可能性

毎日、一日3回規則正しくバランスの良い食事を食べているのであれば、多くの人にとっては、寝る前の食事が太る原因にはならないと考えます。普段から摂取カロリーを控えめにしている人が、夜遅くにスイーツやラーメンを食べれば体重が数キロアップすることはあるでしょうが、それは基本体重に戻ることを意味します。

実は日本には痩せ型の人も多いのですが、その人達が太りたいが為に、3食の他に就寝前にスイーツや軽い食事をしたとしても、体重は増えない可能性のほうが高く、胃腸が弱く消化能力の強くない人はむしろ体重は減少することもあると推測します(少なくとも、私においては100%事実)。

睡眠中

本来、睡眠中は体を休め、胃腸も休めるのが良いのですが、寝る前に食べると、胃腸は睡眠中も働き続けなければいけません(食事誘発性熱産生)。
それにより胃腸に負担がかかり、傷ついた細胞の再生やタンパク質・脂質の合成が低下する可能性があるのではないかと私は推測します。

3.BMAL1 で説明するのには無理がある

日本では、BMAL1の分泌量と体重増加がいかにも関連があるかのように説明する専門家がおられます。
BMAL1 は体内時計に関与するタンパク質で、脂質代謝にも関連すると言われていますが、その分泌量は午後6時ころから増えだし、午後10時から午前2時にかけてピークに達するので、「同じ摂取カロリーでも夜遅く(例えば10時)に食べると6時の夕食より数倍も太りやすい」ということの根拠とされているようです。

しかし、私はその説明には少し無理があると考えています。何故かというと、「消化時間」が抜け落ちているからです。

例えば、午後10時に食事を摂れば消化されて吸収されるまでに、食事の組合せや人にもよりますが、4~6時間かかるでしょう。特に脂肪は消化が悪いので、7~8時間経った朝でもまだ消化されず胃がもたれているということもあるかもしれません。

つまり消化吸収のための時間が考慮されてない訳ですから、食べた時刻とBMAL1の値を関連付けるのには無理があります。

BMAL1の値が午後10時から午前2時頃にかけてピークを迎えるのは、私達人間が大昔から夕方6時前後に夕食を摂っていたとすると、ちょうど消化吸収され栄養が全身の細胞に運ばれた頃にうまく合成できるようになっているのではないかと私は推測します。

4. 結 論

ホルモンなどの分泌は概日リズムと密接に関係があり、昼と夜では大きく異なる。さらに他のいろんな要因が関わってくることは、夜遅くの食事と肥満リスクの増大の問題をさらに複雑にしている。

しかしながら、私は肥満の根本的な原因は基本体重値が高いことだと思っており、「夜遅くの食事」によって基本体重がどの様にアップするかを説明したいと思います(図-1, b)。

基本体重up

(図-1)

(1) 「太る」という言葉には2つの意味がある。

普段から痩せるために摂取カロリーを控えている人なら猶更、必要以上のカロリーを摂れば一晩で数キロ体重が増加することもあるかもしれない。

しかし、それは基本体重に戻る場合(図-1, a)であるので、これを混同してはならない。この場合、食事の時刻が夜の7時か、又は10時であるかは問題ではないはずである。

(2) 一日3回規則正しく、バランス良く食べている瘦せ型・中型体型の人であれば、寝る前の追加の軽食・おやつなどは体重増加ならびに肥満リスクを増大させる理由とはならないと考えます。
また、レストランで働く調理師・従業員などに見られるように、一日3回の食事がそのまま4時間遅くずれるような食事パターンにおいても、バランスの良い食事を食べているならば、それほど肥満リスクを増大させるものではないと考えます。

要するに、食事が遅くなることで空腹感が増せば、腸内飢餓の誘発を加速する可能性はあるが、未消化の食べ物がまだ腸内に沢山ある状態では腸内飢餓は起こりにくいのです


(3) 第1節-(4) で引用した2017年のレビューのように、「夜のエネルギー摂取量と体重増加 (BMI)との関係」は調査する集団によって異なる結果を生み出す可能性は十分にある。朝食・昼食をバランス良く食べている人(朝型のクロノタイプ)では夜遅くの食事が体重増加につながらない可能性があるからである。



(4) 夜遅くに多く食べるという人は、逆に「朝食を抜く」又は「軽い朝食」の習慣と関連しているかも知れない。

胃腸が活発に動き出す一日の最初の朝食で、穀類、繊維質の野菜、乳製品、タンパク質、脂質などバランス良く食べておけば消化されない物質が腸内に長時間残るのですが、彼らは朝食を食べていないので昼食が最初の食事です。

昼食が消化の良い炭水化物とタンパク質に偏った食事で、野菜が不足する場合、夜の食事が20~21時と遅くなることで、空腹感は増大し腸内飢餓が引き起こされやすくなるのです。こういう食事パターンでは、長期的に基本体重がアップし、太る可能性が高いのです。

つまり私の理論上では、夜遅くに食べたからと言って肥満になる訳ではない。むしろ昼夜のバランスの悪い食事や 「空腹を長時間にわたり我慢していること」 が主な問題である。
        

(5) 夜の食事が遅くなるのであれば、夕方5時頃にでも軽い食事又はおやつ(牛乳、サンドウィッチ、ナッツなど)を食べて食事を分散することで、腸の飢餓状態を防ぐことができる。朝食を食べる時間がない場合も、せめて牛乳やカフェオレだけでも飲むことが大切だと考えます。


(6) 現実世界では、夜遅くに食事をしようとすると、バランスの良い食事を摂るのが一層難しくなる。

日本では、夜の11時頃なら、チェーン店のカレーや牛丼・ラーメン、又はコンビニ弁当などになってしまう場合がある。特に夜勤労働者などはバランスの良い食事を確保するのが難しい可能性もあり、カロリー量ではなく、野菜の摂取など食品バランス面に焦点をあてた観察研究も必要ではないであろうか?

2023.09.10

バランスの良い朝食で、太りにくくなる理由

目次

  1. 近年における、朝食がより重要視される背景
  2. 朝食が体重管理にどのように影響するのか?(私の考え)
    (1) バランスのよい朝食で太りにくい
    (2) 朝食、昼食を軽くすると太りやすい
    (3) 朝食抜き、1日2食で太りやすくなる
  3. 結論

前回の記事では「体内時計」「時間栄養学」の考え方を紹介しましたが、まだお読みでない場合はこちらを先にお読みください。

「いつ食べるのか?」は大事だが、「何を食べるか」と組合わせて考えるべき

今回は、朝食を食べることが体重管理にどのように影響するのかについて、具体的に、私の腸内飢餓の理論で説明したいと思います。

1.近年における、朝食がより重要視される背景

(1) 観察的な証拠から、朝食を食べない人に比べ、朝食を食べる人と軽い体重 (低いBMI値)との関連性が示唆されている。

しかし、観察的証拠は因果関係を示すものではない。規則正しい朝食摂取は健康増進行動と関連しており、朝食摂取が健康増進行動の代用である可能性が示唆されている。観察研究における関連性は「健康志向のユーザーバイアス」を反映しているかもしれない[1]

家族での朝食

(2) 短期的な研究では、朝食の食欲、エネルギー消費(代謝)、脂肪酸化などの体重に影響を与える可能性のある生理学的メカニズムが強調されている。しかし、それらの生理学的メカニズムが長期的に体重にどのような影響を与えるかは依然として不明である[2]


(3) 朝食摂取と軽い体重に関するいくつかの仮説では、朝食の摂取がその後のエネルギー摂取の調整に重要であるという推測がなされている。
いくつかの研究では、朝食を抜くと昼食時のエネルギー摂取量が多くなることが示されている。その一方、朝食を抜くと、その日のうちにエネルギー摂取量が増えても補いきれず、朝食摂取時と比べて、一日の総カロリー摂取量は減少することを示唆する研究もある[3]


(4) 公衆衛生当局は、一般的に肥満を減らすために朝食の摂取を推奨している。

2014年にアメリカで行われた介入研究では、「朝食を食べるか抜くか」の推奨が体重減少に及ぼす効果が検証された。約300名の減量を希望する過体重又は肥満の参加者は3つのグループ(対照群、朝食群、朝食なし)のいずれかに無作為割付けられ、自由な生活環境で治療の割り当てが減量に効果があるかが16週間に渡り検証された。しかし、目に見える影響は見られなかったという[4]。この介入では、一日の摂取カロリー量、朝食で何を組合わせるかや、食事のタイミングなどは自由とされ、特に指定されていない。


(5) 2006年までの「朝食頻度と体重に関する研究」をMedLine (医学分野の国際的文献データベース) 検索によって分析したレビューによると、以下の問題が指摘されている。

多くの観察研究では、朝食を食べる頻度が高い人ほど肥満や慢性疾患リスクが低い(逆相関ことが分かっているが、観察研究には限界もある。朝食摂取と体重又は慢性疾患リスクを調べた比較的小規模で短期間のランダム化試験はたった4件のみで、結果はまちまちであった。
朝食の頻度の測定は殆どが自己申告制であり、何を朝食とするかは各個人の考え方に左右される。そのため、朝食の普遍的な定義や統一された朝食の測定法がないため、朝食と肥満や慢性疾患リスクとの関連を評価するいくつかの横断研究や前向き研究において、相反する結果が得られている可能性がある[5]

2.朝食が体重管理にどのように影響するのか?(私の考え)

今日において、時間栄養学の考え方は非常に大事だと思いますが、代謝やホルモンだけでは説明できない部分が多々あると思っています。

肥満は「食べ過ぎや運動不足」が原因で起こるという従来の考えを元にすると、朝食を食べている人が朝食を抜く人に比べ、一日の摂取カロリーが多いにも関わらず痩せているというのは理屈に合わない訳である。そこで、多くの研究者は、朝食を摂った場合と抜いた場合のエネルギー消費量(代謝)の経時変化を調べることで、長期的なプラスのエネルギー効果を説明しようとしているのだが、私はこの説明には限界があると思っている。

これは、私の「腸内飢餓理論」で説明した方が理にかなっていると考えています。以下で、3つのパターンに分けて説明したいと思います。

(1)バランスの良い朝食で太りにくい

朝食は1日のスタートで、朝食を摂ると休んでいた胃腸が活発に動き出します。その朝食で、乳製品、繊維質の野菜、海藻、豆類、タンパク質などいろんな食品を食べておけば、十時間前後に渡り消化されないものが腸内に残るので、腸内の飢餓状態を防ぐことができます。これは我々の腸が7~8 mと長いためです。

また昼も夜もバランスの良い食事を食べていれば、24時間にわたり何らかの未消化な食べ物が残りやすくなり、基本体重がアップしにくいという意味で、太りにくいのです。元々スリムか中型体形で、この様な生活習慣のある人がカロリーなど気にせずに食べても、一生体型が変わりにくいのはその為です。

ただし、既に肥満の人が朝食を食べただけで必ずしも痩せれる訳ではない、ことに注意しないといけません(彼らの基本体重値は既に高いレベルであるため)。

朝食の意義

つまり

  • いつ食べるか
  • 何を食べるか
  • どの様に食べるか

が体重管理に影響を及ぼすのは、それがの動きと密接に関係があるからです。

(2)朝食、昼食を軽くすると太りやすい

夕食で補完(新

一方、朝食は食べたとしても太りやすくなる場合があります(基本体重がアップするという意味で)。いわゆる 逆三角形型 の食事で、朝・昼は軽くすまして(昼食を抜くこともあるかもしれない)夕食で不足する栄養やカロリーを補うというもの。

例えば、朝は簡単な朝食(トースト、コーヒー、ハム)で済まし、昼もおにぎり又はハンバーガー、インスタントラーメンなどで済ましたりした場合、(1)で説明したのとは逆に腸内の飢餓状態が生まれやすくなります。

朝食後に胃腸が活発に動き出すと通常はトイレで用を足しますが、するとお腹の中には朝食で食べた物しか残っていません(この場合、主に炭水化物と消化の良い蛋白質)。

昼食も簡単な炭水化物中心の食事で、繊維質などが不足すれば、夕食までに腸の中のすべての食べ物が消化され、腸内飢餓状態ができやすくなるのです。

つまり朝食は、いろんな食品を組合せ、バランス良く摂ると太りにくくなりますが、簡単に済ませると逆に太りやすくなる場合があるのです。

ですから、単なる「朝食を食べよう」という推奨だけでなく、野菜や乳製品など含めてバランス良く食べることが必要なのです。

(3)朝食抜き、1日2食で太りやすくなる

朝食を食べない人は、夜型の生活(夜遅くの食事や、寝る前の軽い食事)と関連している可能性があります。つまり、朝食を摂らない主な理由は、食欲がないか、食べる時間がないからではないでしょうか?

朝食を抜けば全員が太る訳ではないけど、私の理論を元にすると、いくつかの条件が重なれば太りやすくなります。

一番大きいのは、単純に「昼と夜に何を食べるか」ということと、「食事の間隔」の問題です。完全に1日2食の場合だと、食事間隔は長くなります。夜の10時に夕食を終えるすると、翌日のお昼まで14時間近くも食べないことになります。朝食を抜くとお腹が減るので、日本では、多めの炭水化物(ご飯や麺)と肉中心の食事になる人が多いと感じます。

炭水化物の多い食事

多くの人は、空腹を満たすことだけで満足し、野菜などの繊維質が不足することもあるかも知れません。

しかし朝食を食べていないので、お腹の中には昼食のその食事しか存在しません。その状態で夜の8時、9時まで食べないとすると、徐々に腸内飢餓状態を引き起こしやすく、基本体重は長い目でアップしていく可能性があります。

ある専門家は、朝食を抜いて腹ペコの状態で、炭水化物に偏る食事を食べれば血糖値が急激に上がりやすく、インスリンが多く分泌されると指摘されます。

これも一理あると思いますが、いずれにせよ、「長時間の空腹」と炭水化物などに偏り、野菜の不足するバランスの悪い食事の組合せは、摂取カロリーがそれ程多くなくても、人を太らせる可能性が高くなるのです。

朝起きて食べる時間がなくても、せめて牛乳くらいは飲むこと、昼食はご飯少なめでバランスのとれた食事をすること、夜の食事が遅くなるのであれば、夕方5時頃にでもチョコレートやナッツなど何か食べておくこと、などで腸内飢餓状態になるのを防ぐことができます。

     

3. 結 論

長年に渡り研究者を悩ますのは、「朝食自体が、肥満や慢性疾患リスクの低下と直接的に関連しているのかどうか?つまり、そこに因果関係があるのかどうか?」ということだと思うが、腸内飢餓理論に基づく私の考えは以下の通りです。


(1)まず、朝食を恒常的に摂取する人は、他にも健康的な生活習慣を持っている可能性は十分にあると思う。

ジョギング

例えば、一日を通して、野菜や乳製品、タンパク質などを含む食事をバランス良く摂り、規則正しく一日3回食べているかも知れない。また日頃から運動したり、睡眠をしっかりとったり、概日リズムに歩調を合わせた生活をしている可能性がある。

それに対し、朝食を食べない人の中には、夜型の生活リズムであったり、飲酒や喫煙、睡眠、食事バランスという点で悪い生活習慣をもっている可能性がある。つまり、朝食と関連する多くの交絡因子を含む可能性はあると考えます。

(2)しかし、上記「2」で説明したように、朝の早い時間帯にバランスの良い朝食を食べれば、腸内に未消化の物質が十時間前後に渡り残るため、腸内飢餓が引き起こされるのを防ぐ。その他にも、繊維質・脂質などの未消化の物質が腸内にあることで、血糖値の上昇を抑えたり、食欲の調整など健康上のメリットがあると考える。

一方、朝食を食べたとしても、消化の良い炭水化物やタンパク質・加工食品などに偏るバランスの悪い朝食では、逆に太りやすくもなるので、「朝食」自体に体重の増加を抑止する効果がある訳ではないと思っている。あくまで、「どの食品を組合わせるのか」が大切であると考えます。(この点で、腸内飢餓も交絡因子と言えるかも知れない。)

私個人としては、もし朝食を食べたくなかったらそれでも構わないと思うが、昼食・夕食をバランス良く、適度な炭水化物量で食べることが健康維持や肥満リスク抑止のうえで大切ではないであろうか?


(3) 日本では、「朝食を摂ると体温や代謝がアップし、朝食・昼食でとった栄養素や余分なカロリーは燃やされていくため、たくさん食べても太らない」と言われることがある。一部の専門家は、「代謝」が肥満を解決する特効薬のように説明するが、これは単に、朝食を食べる場合と食べない場合を「代謝」の数値と連動させただけではないだろうか?太っている人の方が、基礎代謝は高いことは既に証明されているのだ。


(4)また私の理論の
では、肥満・過体重の問題は、基本体重の値が高くなっていることを意味しており、既に過体重の人が朝食を食べたからと言って、基本体重が下がる訳ではないと考える。
まり、2014年にアメリカで行われた介入試験 (RCT)で見られる様に、肥満や過体重の人達に無作為に「朝食を食べるか抜くか」という介入が実施されたとしても、朝食の効果を証明するのは難しい可能性がある。しかし、この結果をもって朝食自体に意味がない訳ではないのである。


※今回は朝食中心に書きましたが、「なぜ遅い夕食が太りやすいのか?」という点については以下の記事をご覧下さい。

 【夜遅くの食事は本当に太るのか?】

2023.09.09

「いつ食べるのか?」は大事だが、「何を食べるか」と組合わせて考えるべき(時間栄養学)

目次

  1. 時間栄養学とは?
  2. 近年の肥満の増加における、食事のタイミングの重要性
  3. 私の考え

近年、ますます重要視されている「時間栄養学」ですが、その背景を簡単にまとめました。このブログの最後に、食事のタイミングと私の腸内飢餓理論との関係について説明したいと思います。

1. 時間栄養学とは?

(1) 地球上の生物は、地球の自転によって生じる24時間の明暗サイクルに活動を同調させている。この生物学的リズムは概日リズムと呼ばれ、"およそ1日 "を意味する。体内時計は生物の自然なタイミング装置であり、概日リズムの周期を調節している。近年の研究で、BMAL1、CLOCK、PER、CRYといった時計遺伝子が概日リズムの振動において中心的な役割を果たしていることが判明した[1]

(2) 体内時計には、2種類があります。視床下部の視交叉上核に存在し、光の合図を受け取る「中枢時計」と、全身の臓器や組織などに存在する「末梢時計」である。

光と闇のサイクルや食事摂取のタイミングなど、外部からの刺激は、中枢時計と末梢組織の代謝リズムをそれぞれ同調させるための日々のシグナルとなる。末梢時計は、中枢時計からの同調作用に加え、食事の摂取に大きく反応する[2]

(3)「時間栄養学」とは、生物学リズムと栄養の間の相互作用、およびこれらの要因と健康との関係を研究するものです。

時間栄養学には、エネルギーの分布、食事の頻度と規則性、食事時間の長さ、およびこれらの要因が代謝の健康と慢性疾患のリスクに対して及ぼす相対的な重要性が含まれます。一日の中の食事のタイミングが代謝の健康と一般的な幸福に大きな影響を与える可能性があることを示す研究証拠は増え続けている[3]

日本では、2008年に栄養・食糧学会で初めて「時間栄養学」という言葉が使われました。ダイエットに励む人ほど、朝から晩まで頑張って食べる量を減らそうとするが、食べ物やその栄養も摂る時間帯で効果や影響が大きく変わるのです[4]

2. 近年の肥満の増加における、食事のタイミングの重要性

(1) 私達がいつ何を食べるかは、現代社会の中において大きく変化している。
朝食抜きや一日の遅い時間帯の食事など、タイミングを誤った食事パターンが概日リズムを乱し、肥満や関連する心代謝疾患の発症に関与しているという仮説が立てられている[5]

不規則な生活

(2) 一日の早い時間帯又は昼食に多くの割合のエネルギーを摂取する食事パターンは体重増加のリスクを減少させるという3.5 年に及ぶ追跡調査がある[6]
その一方、人における観察研究では、遅い時間帯にエネルギーの多くを摂取する食事では、報告されたカロリー摂取量や身体活動の違いでは説明できない高い肥満リスクと、食事療法などによる減量の成功率の低下と関連している[7]


(3) 2022年に発表された短期的研究(ランダム化比較クロスオーバー試験)においては、遅い食事が、空腹感を増大させ、代謝を低下させ、脂肪生成に関与する分子経路に変化を与えるとする報告があるが[8]、長期的にそれらが人を肥満にするかは依然として実証されていない。

夜勤

(4) これまでの観察研究から、エネルギー摂取量や活動に関連したエネルギー消費量の変化とは関係なく、食事のタイミング自体が体重に影響を及ぼす可能性が示唆される[9]

シフトワーカーや夜遅くに頻繁に食事を摂る集団に肥満リスクの増加が観察される背景には、エネルギー摂取量の乱れだけでは説明できない多面的なメカニズムがある可能性がある[10]
      

3. 私の考え

依然として、「一日の摂取カロリーの合計」が重要視される中で、同じ摂取カロリーであっても、「いつ食べるのか」の重要性が理解され出したのは大きな前進だと思います。そして、タイミング誤った食事が私たちの生物学的リズムを乱すというのは私自身の経験としても納得できるし、時計遺伝子の発見によって今後もこの分野の重要性は増していくと思っています。

実は私の腸内飢餓理論は、「概日リズム」や「時間栄養」とも関係しているのです。食事を摂ると、胃腸が活発に動き始めるからです。バランスの良い朝食や規則正しい食生活を続けると太りにくくなる理由や、夜遅くの食事や不規則な生活が肥満リスクの増加につながるのは私の理論でも説明できるのです。


上記「2」で引用したように、いくつかの観察研究では「遅い時間など誤った時間帯の食事が、カロリーの摂取量の乱れだけでは説明できないような高い肥満リスクと関連している」との考察があるが、私はこのブログを通して説明している通り、
肥満自体がもともと摂取又は消費されるカロリー量とは直接関係ないと思っている。食事のバランスが悪い時などに、肥満リスクが現れる典型的なパターンが、 ”朝食抜きや夜型の食事” に代表されるのだ。

食事とバイオリズム

消化の良い炭水化物(白いパン・麺類・マッシュポテトなど)やタンパク質、加工食品に偏るバランスの悪い食事は、不規則な食事のタイミングが重なれば腸内飢餓をより引き起こしやすく、摂取カロリーが多くなくても人は太るのである。

規則正しい時間帯の食事に戻しても肥満が簡単に治療できないとすれば、それは基本体重が高くなっているということを意味しています。

【関連記事】
偏食と不規則な生活が腸内飢餓をつくる(3要素+1)

つまり、「いつ食べるか」は大切だが、「何を、どの様に食べるか」も大切で、それらは常にセットで考えねばならないと思っている。カロリー摂取量だけにフォーカスすると、伝統的な食事スタイルや食事のバランス、の大切さを忘れてしまう場合があるのである。

:日本の何割かの栄養士は、「何を、いつ、どの様に食べるか」に加えて伝統的な日本の食事形態が健康の維持に大切であるかをしばしば強調するが、その点については全く同感である。)


「時間栄養」のカテゴリーにおいては、(1)朝食、(2)遅い夕食、(3)食べる回数、(4)不規則な食事、の4つの記事に分けて、私の腸内飢餓理論との関係性をより詳しく説明していきたいと思います。

【関連記事】バランスの良い朝食で、太りにくくなる理由
     

2018.11.03

早食いは太るのか? ゆっくり食べると痩せるのか?

目次

<はじめに>
  1. イメージが先行している
  2. 体が大きいから速く食べれる(原因と結果が逆転)
  3. 速く食べるような人の『生活習慣』全般が問題だ
  4. ゆっくり噛んで食べると痩せるのか?
  5. もう一つの推論
<最後に>

余談ですが、「早食い/速食い」 のどちらが正しいのでしょうか?
食べるスピードだから、「速食い」かなと思ってたのですが、慣例的に【ハヤ〇〇】というのは【早】になることが多いらしいです。
しかし、「食べるのが早い」というと、「食べる時刻が早い」という意味になるので、この場合は「速い」を使わせて頂きますね!

はじめに
読者から、「食べるのが速い人が太りやすい、と言われているのはどう説明するのですか?」という問合せのメールを頂いたので、それにお答えしたいと思います。

実のところ、食べるスピードと肥満の関係を説明するのは難しいと感じます。私の理論上(腸内飢餓のメカニズム)では、速く食べると消化が悪くなるので、太ることへは直結はしません。そこで、私なりにいくつかのパターンに分けて考えてみたいと思います。

1.イメージが先行している

まず言いたいのは、”食べる量” の時もそうなんですが、一部の人のイメージだけで「全体」が語られているということです。食べるのが速くても痩せている人もいるし、食べるのがゆっくりでも太っている人もいるはずです。しかし何割かの食べるのが速くて、太っている人のイメージ(特に男性)で、「早食い=太る」というように認識されている気がするのです。


確かに、そういう人がいるのも事実だけど、それがなぜ起こるのかも含めて考えなければいけないと思う。

まず一般的には、「満腹感が脳に伝達される前に食べ過ぎてしまうから」というのが1つの理由とされています(結局、「食べ過ぎ、カロリーの摂り過ぎ」という考え)。しかし、いつも満腹を超えるまで食べている訳ではないと思うし、むしろ私のイメージでは、普段は 「さっと食べ終えて他の事(遊び、仕事)をしている」 というイメージである。

また「速く食べると血糖値が急激に上がり、インスリンが多く分泌される」ことが原因とも言われますが、今回はその話には触れないこととします。


■大きくは、次の2つのパターンで説明できると考えます。

(1)原因と結果が逆になっている場合。
(2)食べるのが速い人の「食べ物の好み」や生活習慣が影響を与える。

2.体が大きいから速く食べれる(原因と結果が逆転)

まず食事の量や回数もそうなんですが、体の大きな人/太っている人に沢山食べる人や、速く食べる人が多くいたとしても、それは表面的な見た目の観察でしかないのです。あなたの目の前にいる体の大きな人(太った人)が速く食べた・・・。それって、太陽が「東から昇って、西に沈んだ」と言っているのと同じではありませんか?

つまり体が大きいから、胃腸も大きく丈夫であり、結果として、多く食べれるし、速く食べれるのではないでしょうか?
その人達は、朝食も食べてないかもしれないし、ずっと空腹状態を我慢していたかもしれない。そうであれば、とりあえず速く食べたい、お腹一杯になりたいと思うのも当然です。

依然、芸人のウガンダさんが「カレーライスは飲み物だ」と言っていたけど、それこそ胃腸や消化力が強いからできる芸当だと思います。

つまり原因と結果が逆転しています(逆因果)。

3.速く食べるような人の 『生活習慣』 全般が問題だ

次に「速く食べる」ことが肥満に結びつくケースです。

しかし、速く食べる事が直接的に太る原因となるのではなく、速く食べるような人の「食べ物の好み」や「生活習慣」そのものが肥満に結びつくと考えます。


これは、私のもつイメージですが、食べることにあまりこだわらない人が多いのではないでしょうか? 例えば・・・

・面倒くさい、早く食べ終えたい。
・栄養バランスに少し無頓着で、とりあえず満腹になればいい。
・お腹が減ってたら食べるけど、時間通りに1日3回食べる訳ではない。
・貰えた物は断らない(美味しそうに食べる)けど、食べ物がなければないで我慢している。


つまりそういう人達は、食事を管理してくれる人がいなければ周りの環境に影響される可能性があります。朝食を抜いたり、夜の食事が遅くになったり、生活リズムが乱れがちになるのではと感じます。つまり『時間』の概念ですね。

また、早くお腹が一杯になりたいために、味わって食べることが少ないのではないでしょうか?

ご飯の他に主菜・副菜、味噌汁などがつく日本の伝統的な食事よりも、すばやく食べれる丼ぶり・ラーメン・カレー・うどんなどの炭水化物の多い食事や、ハンバーグ・から揚げ・ソーセージ・フライなどの食べやすいお肉を選ぶのではないでしょうか?
(いわゆる「早い、安い、旨い」

噛まないから太るのではなく、噛まなくてもいいような柔らかいもの、繊維質の少ないものを食べているのではと推察するのです。(速く食べる人ほど、食物繊維摂取量が少ないという研究結果もあるようです。)

つまり食べ物の『バランス・質』ですね。
そして、食べ物の『バランス・質』と『時間』の概念が組み合わされば、私の言う、腸内飢餓状態もできやすくなってしまいます。

煮魚

それとは逆に、豆、海藻、キノコ、ゴボウなどの野菜を使った伝統的な料理や、骨付き肉(手羽先、スペアリブ)、尾頭付きの焼き魚・煮付けなどを食べれば、必然的にゆっくり食べるのではないでしょうか?

季節の食材を少しづつ味わって食べれば、深い味を感じることができるので、自然とおかずファースト、ご飯は後になるのではないでしょうか?

4.ゆっくり噛んで食べると痩せるのか?

肥満や糖尿病を防ぐには、「ゆっくり噛んで食べることが必要」 とも言われています。しかし、「速さ」だけがクローズアップされた事による明らかな間違いが、「ゆっくり噛んで食べると太りにくい」という一部の人の思い込みです。

おにぎり,ダイエット茶

私がこれまで会った中に、昼食におにぎり(2個くらい)とダイエット系のお茶をよ~く噛んで、20分近くかけて食べている女性が数人いました。

彼女達は太っていたので、太りたくないが為にゆっくり噛んで食べていたのだろうけど、その効果はあっただろうかと想像しますね。

私の理論上で言うと、炭水化物だけをゆっくり噛んで食べても、痩せることはないと断言できます(逆に太りやすい)。

『よく噛んでゆっくり食べる』というのは、噛まないといけないような食材を食べるということであり、普段からそういう食べ方をし、3食きっちり食べている人に痩せ習慣の人が多いという事だと思う。

和の惣菜

また『食べ順』があるということは、主菜(メインのおかず)の他に副菜が2種以上あるとか、いろんなおかずを食べるという事です。昔から”三角食べ” が健康のためにもいいと言われていますよね。

しかし、牛丼、カレー、ラーメン、ハンバーガー&ポテトのような食事なら食べ順もないし、それを50回噛んで水分で流し込み、空腹を長時間我慢していれば太りやすくなると想像できる。

5.もう一つの推論

「速く食べる」ことが肥満に結びつく理由として、私の腸内飢餓の理論でもう一つ考えられることがあります。
あくまで私のちょっとした経験に基づいた推測の域を超えないのですが、紹介したいと思います。


例えば、朝食抜きで昼食を摂るなど、12時間以上食べていない時に起こりうるかもしれません。

御飯とおかずを食べる時に、よく噛むと食べ物が混ざり過ぎてしまい、腸に送られた時に十分にミックスされた状態です。

しかし、炭水化物たっぷりの食事をあまり噛まないで、水分で胃に流し込めば、数十分後には炭水化物と水分のみが腸に送られます。昨日に食べた物は直腸の方に便として送り出され、一時的に小腸から大腸にかけてすべて消化されたような瞬間的な飢餓状態ができるのではということです。

こういう食べ方をしていると、血糖値を上げやすいだけでなく、私の理論上も、少しづつ太りやすくなる可能性があります。

最後に

「食べる速さ」は様々な病気にも関係してくると言われているけど、単なるスピードの問題ではなく、必ず食べ物の『バランス・質』と切っては切り離せないと思います。

昔の伝統的な食が崩壊し、忙しい現代人が手っ取り早く食べれるような食事(早い、安い、旨い)ばかりが街中に溢れていることが一番の問題だと思う。

そういう食事は血糖値が上がりやすいだけでなく、ミネラルが少ない割に、化学物質(農薬、食品添加物、ホルモン剤、抗生物質)などが多く使われ、いろんな面から健康を害している。

私の実家は農家で、父が手作りの野菜・旬の魚や山菜を食べさせてくれたし、26才から割烹店で修行していたから分かるけど、日本料理はもっと季節の素材に富み、奥行きが深く、食べる楽しみを与えてくれるものだと思う。

今や本当の日本料理は金持ちだけの料理になってしまって、若い人達に好きな和食は何かと聞けば、「ラーメン、とんかつ、カレー、唐揚げ、回転寿司」という答えが返ってくる。つまり庶民レベルでは日本食は崩壊しつつあるのではないだろうか?

地方が廃れて農村から若者がいなくなり、伝統野菜の作り手もいなくなって郷土料理・伝統的な加工食品も消えつつある。若い人がそういった昔からの料理を消費しなければ、この国の農業はいずれ崩壊し、益々、日本の『食』はどこかに行ってしまうのではなかろうか?

「輸入農産物は安いからいい」と思っている人は、もっと高いツケを支払うことになるし、医療費の増加は私達にとっても他人事ではない問題である。そういった、日本の抱える社会全体の問題とも関連があるのではないか?

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