— トピックス —
食べ方(時間栄養、速さ、回数)

2023.09.10

バランスの良い朝食で、太りにくくなる理由

目次

  1. 近年における、朝食がより重要視される背景
  2. 朝食が体重管理にどのように影響するのか?(私の考え)
    (1) 朝食をバランスよく食べると太りにくい
    (2) 朝食、昼食を軽くすると太りやすくなる
    (3) 朝食を抜いて、1日2食で太りやすくなる
  3. 結論

前回の記事では「体内時計」「時間栄養学」の考え方を紹介しましたが、まだお読みでない場合はこちらを先にお読みください。

「いつ食べるのか?」は大事だが、「何を食べるか」と組合わせて考えるべき

今回は、朝食を食べることが体重管理にどのように影響するのかについて、具体的に、私の腸内飢餓の理論で説明したいと思います。

1.近年における、朝食がより重要視される背景

(1) 観察的な証拠から、朝食を食べない人に比べ、朝食を食べる人と軽い体重 (低いBMI値)との関連性が示唆されている。

しかし、観察的証拠は因果関係を示すものではない。規則正しい朝食摂取は健康増進行動と関連しており、朝食摂取が健康増進行動の代用である可能性が示唆されている。観察研究における関連性は「健康志向のユーザーバイアス」を反映しているかもしれない[1]

家族での朝食

(2) 短期的な研究では、朝食の食欲、エネルギー消費(代謝)、脂肪酸化などの体重に影響を与える可能性のある生理学的メカニズムが強調されている。しかし、それらの生理学的メカニズムが長期的に体重にどのような影響を与えるかは依然として不明である[2]


(3) 朝食摂取と軽い体重に関するいくつかの仮説では、朝食の摂取がその後のエネルギー摂取の調整に重要であるという推測がなされている。いくつかの研究では、朝食を抜くと昼食時のエネルギー摂取量が多くなることが示されている。その一方、朝食を抜くと、その日のうちにエネルギー摂取量が増えても補いきれず、朝食摂取時と比べて、一日の総カロリー摂取量は減少することを示唆する研究もある[3]


(4) 公衆衛生当局は、一般的に肥満を減らすために朝食の摂取を推奨している。
2014年にアメリカで行われた介入研究では、「朝食を食べるか抜くか」の推奨が体重減少に及ぼす効果が検証された。約300名の減量を希望する過体重又は肥満の参加者は3つのグループ(対照群、朝食群、朝食なし)のいずれかに無作為割付けられ、自由な生活環境で治療の割り当てが減量に効果があるかが16週間に渡り検証された。しかし、目に見える影響は見られなかったという[4]。この介入では、一日の摂取カロリー量、朝食で何を組合わせるかや、食事のタイミングなどは自由とされ、特に指定されていない。


(5) 2006年までの「朝食頻度と体重に関する研究」をMedLine (医学分野の国際的文献データベース) 検索によって分析したレビューによると、以下の問題が指摘されている。

多くの観察研究では、朝食の頻度が肥満や慢性疾患と逆相関していることが分かっているが、観察研究には限界もある。朝食摂取と体重又は慢性疾患リスクを調べた比較的小規模で短期間のランダム化試験はたった4件のみで、結果はまちまちであった。朝食の頻度の測定は殆どが自己申告制であり、何を朝食とするかは各個人の考え方に左右される。そのため、朝食の普遍的な定義や統一された朝食の測定法がないため、朝食と肥満や慢性疾患リスクとの関連を評価するいくつかの横断研究や前向き研究において、相反する結果が得られている可能性がある[5]

2.朝食が体重管理にどのように影響するのか?(私の考え)

今日において、時間栄養学の考え方は非常に大事だと思いますが、代謝やホルモンだけでは説明できない部分が多々あると思っています。

肥満は「食べ過ぎや運動不足」が原因で起こるという従来の考えを元にすると、朝食を食べている人が朝食を抜く人に比べ、一日の摂取カロリーが多いにも関わらず痩せているというのは理屈に合わない訳である。そこで、多くの研究者は、朝食を摂った場合と抜いた場合のエネルギー消費量(代謝)の経時変化を調べることで、長期的なプラスのエネルギー効果を説明しようとしているのだが、私はこの説明には限界があると思っている。

これは、私の「腸内飢餓理論」で説明した方が理にかなっていると考えています。以下で、3つのパターンに分けて説明したいと思います。

(1)朝食をバランスよく食べると太りにくい

朝食は1日のスタートで、朝食を摂ると休んでいた胃腸が活発に動き出します。その朝食で、乳製品、繊維質の野菜、海藻、豆類、タンパク質などいろんな食品を食べておけば、十時間前後に渡り消化されないものが腸内に残るので、腸内の飢餓状態を防ぐことができます。これは我々の腸が7~8 mと長いためです。

また昼も夜もバランスの良い食事を食べていれば、24時間にわたり何らかの未消化な食べ物が残りやすくなり、基本体重がアップしにくいという意味で、太りにくいのです。元々スリムか中型体形で、この様な生活習慣のある人がカロリーなど気にせずに食べても、一生体型が変わりにくいのはその為です。

ただし、既に肥満の人が朝食を食べただけで必ずしも痩せれる訳ではない、ことに注意しないといけません(彼らの基本体重値は既に高いレベルであるため)。

朝食の意義

つまり

  • いつ食べるか
  • 何を食べるか
  • どの様に食べるか

が体重管理に影響を及ぼすのは、それがの動きと密接に関係があるからです。

(2)朝食、昼食を軽くすると太りやすくなる

夕食で補完(新

一方、朝食は食べたとしても太りやすくなる場合があります(基本体重がアップするという意味で)。いわゆる 逆三角形型 の食事で、朝・昼は軽くすまして(昼食を抜くこともあるかもしれない)夕食で不足する栄養やカロリーを補うというもの。

例えば、朝は簡単な朝食(トースト、コーヒー、ハム)で済まし、昼もおにぎり又はハンバーガー、インスタントラーメンなどで済ましたりした場合、(1)で説明したのとは逆に腸内の飢餓状態が生まれやすくなります。

朝食後に胃腸が活発に動き出すと通常はトイレで用を足しますが、するとお腹の中には朝食で食べた物しか残っていません(この場合、主に炭水化物と消化の良い蛋白質)。

昼食も簡単な炭水化物中心の食事で、繊維質などが不足すれば、夕食までに腸の中のすべての食べ物が消化され、腸内飢餓状態ができやすくなるのです。

つまり朝食は、いろんな食品を組合せ、バランス良く摂ると太りにくくなりますが、簡単に済ませると逆に太りやすくなる場合があるのです。

ですから、単なる「朝食を食べよう」という推奨だけでなく、野菜や乳製品など含めてバランス良く食べることが必要なのです。

(3)朝食を抜いて、1日2食で太りやすくなる

朝食を食べない人は、夜型の生活(夜遅くの食事や、寝る前の軽い食事)と関連している可能性があります。つまり、朝食を摂らない主な理由は、食欲がないか、食べる時間がないからではないでしょうか?

朝食を抜けば全員が太る訳ではないけど、私の理論を元にすると、いくつかの条件が重なれば太りやすくなります。一番大きいのは、単純に「昼と夜に何を食べるか」ということと、「食事の間隔」の問題です。完全に1日2食の場合だと、食事間隔は長くなります。夜の10時に夕食を終えるすると、翌日のお昼まで14時間近くも食べないことになります。朝食を抜くとお腹が減るので、日本では、多めの炭水化物(ご飯や麺)と肉中心の食事になる人が多いと感じます。

炭水化物の多い食事

多くの人は、空腹を満たすことだけで満足し、野菜などの繊維質が不足することもあるかも知れません。

しかし朝食を食べていないので、お腹の中には昼食のその食事しか存在しません。その状態で夜の8時、9時まで食べないとすると、徐々に腸内飢餓状態を引き起こしやすく、基本体重は長い目でアップしていく可能性があります。

ある専門家は、朝食を抜いて腹ペコの状態で、炭水化物に偏る食事を食べれば血糖値が急激に上がりやすく、インスリンが多く分泌されると指摘されます。

これも一理あると思いますが、いずれにせよ、「長時間の空腹」と炭水化物などに偏り、野菜の不足するバランスの悪い食事の組合せは、摂取カロリーがそれ程多くなくても、人を太らせる可能性が高くなるのです。

朝起きて食べる時間がないのであれば、せめて牛乳くらいは飲むとか、又は昼食はご飯少なめでバランスのとれた食事をすること、夜の食事が遅くなるのであれば、夕方5時頃にでもヨーグルトやナッツなど何か食べておくことで、腸内飢餓状態になるのを防ぐことができます。

     

3. 結 論

長年に渡り研究者を悩ますのは、「朝食自体が、肥満や慢性疾患リスクの低下と直接的に関連しているのかどうか?つまり、そこに因果関係があるのかどうか?」ということだと思うが、腸内飢餓理論に基づく私の考えは以下の通りです。

(1)まず、朝食を恒常的に摂取する人は、他にも健康的な生活習慣を持っている可能性は十分にあると思う。

ジョギング

例えば、一日を通して、野菜や乳製品、タンパク質などを含む食事をバランス良く摂り、規則正しく一日3回食べているかも知れない。また日頃から運動したり、睡眠をしっかりとったり、概日リズムに歩調を合わせた生活をしている可能性がある。

それに対し、朝食を食べない人の中には、夜型の生活リズムであったり、飲酒や喫煙、睡眠、食事バランスという点で悪い生活習慣をもっている可能性がある。つまり、朝食と関連する多くの交絡因子を含む可能性はあると考えます。

(2)しかし、上記「2」で説明したように、朝の早い時間帯にバランスの良い朝食を食べれば、腸内に未消化の物質が十時間前後に渡り残るため、腸内飢餓が引き起こされるのを防ぐ。その他にも、繊維質・脂質などの未消化の物質が腸内にあることで、血糖値の上昇を抑えたり、食欲の調整など健康上のメリットがあると考える。

一方、朝食を食べたとしても、消化の良い炭水化物やタンパク質・加工食品などに偏るバランスの悪い朝食では、逆に太りやすくもなるので、「朝食」自体に体重の増加を抑止する効果がある訳ではないと思っている。あくまで、「どの食品を組合わせるのか」が大切であると考えます。(この点で、腸内飢餓も交絡因子と言えるかも知れない。)

私個人としては、もし朝食を食べたくなかったらそれでも構わないと思うが、昼食・夕食をバランス良く、適度な炭水化物量で食べることが健康維持や肥満リスク抑止のうえで大切ではないであろうか?


(3) 日本では、「朝食を摂ると体温や代謝がアップし、朝食・昼食でとった栄養素や余分なカロリーは燃やされていくため、たくさん食べても太らない」と言われることがある。一部の専門家は、「代謝」が肥満を解決する特効薬のように説明するが、これは単に、朝食を食べる場合と食べない場合を「代謝」の数値と連動させただけではないだろうか?太っている人の方が、基礎代謝は高いことは既に証明されているのだ。


(4)また私の理論の
では、肥満・過体重の問題は、基本体重の値が高くなっていることを意味しており、既に過体重の人が朝食を食べたからと言って、基本体重が下がる訳ではないと考える。つまり、2014年にアメリカで行われた介入試験 (RCT)で見られる様に、肥満や過体重の人達に無作為に「朝食を食べるか抜くか」という介入が実施されたとしても、朝食の効果を証明するのは難しい可能性がある。しかし、この結果をもって朝食自体に意味がない訳ではないのである。


※今回は朝食中心に書きましたが、「なぜ遅い夕食が太りやすいのか?」という点については以下の記事をご覧下さい。

 【夜遅くの食事は本当に太るのか?】(只今、修正中)

2023.09.09

「いつ食べるのか?」は大事だが、「何を食べるか」と組合わせて考えるべき(時間栄養学)

目次

<プロローグ>
  1. 時間栄養学とは?
  2. 近年の肥満の増加における、食事のタイミングの重要性
  3. 私の考え

近年、ますます重要視されている「時間栄養学」ですが、その背景を簡単にまとめました。このブログの最後に、食事のタイミングと私の腸内飢餓理論との関係について説明したいと思います。

1. 時間栄養学とは?

(1) 地球上の生物は、地球の自転によって生じる24時間の明暗サイクルに活動を同調させている。この生物学的リズムは概日リズムと呼ばれ、"およそ1日 "を意味する。体内時計は生物の自然なタイミング装置であり、概日リズムの周期を調節している。近年の研究で、BMAL1、CLOCK、PER、CRYといった時計遺伝子が概日リズムの振動において中心的な役割を果たしていることが判明した[1]

(2) 体内時計には、2種類があります。視床下部の視交叉上核に存在し、光の合図を受け取る「中枢時計」と、全身の臓器や組織などに存在する「末梢時計」である。

光と闇のサイクルや食事摂取のタイミングなど、外部からの刺激は、中枢時計と末梢組織の代謝リズムをそれぞれ同調させるための日々のシグナルとなる。末梢時計は、中枢時計からの同調作用に加え、食事の摂取に大きく反応する[2]

(3)「時間栄養学」とは、生物学リズムと栄養の間の相互作用、およびこれらの要因と健康との関係を研究するものです。時間栄養学には、エネルギーの分布、食事の頻度と規則性、食事時間の長さ、およびこれらの要因が代謝の健康と慢性疾患のリスクに対して及ぼす相対的な重要性が含まれます。一日の中の食事のタイミングが代謝の健康と一般的な幸福に大きな影響を与える可能性があることを示す研究証拠は増え続けている[3]

日本では、2008年に栄養・食糧学会で初めて「時間栄養学」という言葉が使われました。ダイエットに励む人ほど、朝から晩まで頑張って食べる量を減らそうとするが、食べ物やその栄養も摂る時間帯で効果や影響が大きく変わるのです[4]

2. 近年の肥満の増加における、食事のタイミングの重要性

(1) 私達がいつ何を食べるかは、現代社会の中において大きく変化している。朝食抜きや一日の遅い時間帯の食事など、タイミングを誤った食事パターンが概日リズムを乱し、肥満や関連する心代謝疾患の発症に関与しているという仮説が立てられている[5]

不規則な生活

(2) 一日の早い時間帯又は昼食に多くの割合のエネルギーを摂取する食事パターンは体重増加のリスクを減少させるという3.5 年に及ぶ追跡調査がある[6]。その一方、人における観察研究では、遅い時間帯にエネルギーの多くを摂取する食事では、報告されたカロリー摂取量や身体活動の違いでは説明できない高い肥満リスクと、食事療法などによる減量の成功率の低下と関連している[7]


(3) 2022年に発表された短期的研究(ランダム化比較クロスオーバー試験)においては、遅い食事が、空腹感を増大させ、代謝を低下させ、脂肪生成に関与する分子経路に変化を与えるとする報告があるが[8]、長期的にそれらが人を肥満にするかは依然として実証されていない。

夜勤

(4) これまでの観察研究から、エネルギー摂取量や活動に関連したエネルギー消費量の変化とは関係なく、食事のタイミング自体が体重に影響を及ぼす可能性が示唆される[9]

シフトワーカーや夜遅くに頻繁に食事を摂る集団に肥満リスクの増加が観察される背景には、エネルギー摂取量の乱れだけでは説明できない多面的なメカニズムがある可能性がある[10]
      

3. 私の考え

依然として、「一日の摂取カロリーの合計」が重要視される中で、同じ摂取カロリーであっても、「いつ食べるのか」の重要性が理解され出したのは大きな前進だと思います。そして、タイミング誤った食事が私たちの生物学的リズムを乱すというのは私自身の経験としても納得できるし、時計遺伝子の発見によって今後もこの分野の重要性は増していくと思っています。

実は私の腸内飢餓理論は、「概日リズム」や「時間栄養」とも関係しているのです。食事を摂ると、胃腸が活発に動き始めるからです。バランスの良い朝食や規則正しい食生活を続けると太りにくくなる理由や、夜遅くの食事や不規則な生活が肥満リスクの増加につながるのは私の理論でも説明できるのです。

上記「2」で引用したように、いくつかの観察研究では「遅い時間など誤った時間帯の食事が、カロリーの摂取量の乱れだけでは説明できないような高い肥満リスクと関連している」との考察があるが、私はこのブログを通して説明している通り、肥満自体がもともと摂取又は消費されるカロリー量とは直接関係ないと思っている。食事のバランスが悪い時などに、肥満リスクが現れる典型的なパターンが、 ”朝食抜きや夜型の食事” に代表されるのだ。

食事とバイオリズム

消化の良い炭水化物(白いパン・麺類・マッシュポテトなど)やタンパク質、加工食品に偏るバランスの悪い食事は、不規則な食事のタイミングが重なれば腸内飢餓をより引き起こしやすく、摂取カロリーが多くなくても人は太るのである。

規則正しい時間帯の食事に戻しても肥満が簡単に治療できないとすれば、それは基本体重が高くなっているということを意味しています。

【関連記事】
偏食と不規則な生活が腸内飢餓をつくる(3要素+1)

つまり、「いつ食べるか」は大切だが、「何を、どの様に食べるか」も大切で、それらは常にセットで考えねばならないと思っている。カロリー摂取量だけにフォーカスすると、伝統的な食事スタイルや食事のバランス、の大切さを忘れてしまう場合があるのである。:日本の何割かの栄養士は、「何を、いつ、どの様に食べるか」に加えて伝統的な日本の食事形態が健康の維持に大切であるかをしばしば強調するが、その点については全く同感である。)


「時間栄養」のカテゴリーにおいては、(1)朝食、(2)遅い夕食、(3)食べる回数、(4)不規則な食事、の4つの記事に分けて、私の腸内飢餓理論との関係性をより詳しく説明していきたいと思います。

【関連記事】バランスの良い朝食で、太りにくくなる理由
     

2018.11.03

早食いは太るのか? ゆっくり食べると痩せるのか?

目次

<はじめに>
  1. イメージが先行している
  2. 体が大きいから速く食べれる(原因と結果が逆転)
  3. 速く食べるような人の『生活習慣』全般が問題だ
  4. ゆっくり噛んで食べると痩せるのか?
  5. もう一つの推論
<最後に>

余談ですが、「早食い/速食い」 のどちらが正しいのでしょうか?
食べるスピードだから、「速食い」かなと思ってたのですが、慣例的に【ハヤ〇〇】というのは【早】になることが多いらしいです。
しかし、「食べるのが早い」というと、「食べる時刻が早い」という意味になるので、この場合は「速い」を使わせて頂きますね!

はじめに
読者から、「食べるのが速い人が太りやすい、と言われているのはどう説明するのですか?」という問合せのメールを頂いたので、それにお答えしたいと思います。

実のところ、食べるスピードと肥満の関係を説明するのは難しいと感じます。私の理論上(腸内飢餓のメカニズム)では、速く食べると消化が悪くなるので、太ることへは直結はしません。そこで、私なりにいくつかのパターンに分けて考えてみたいと思います。

1.イメージが先行している

まず言いたいのは、”食べる量” の時もそうなんですが、一部の人のイメージだけで「全体」が語られているということです。食べるのが速くても痩せている人もいるし、食べるのがゆっくりでも太っている人もいるはずです。しかし何割かの食べるのが速くて、太っている人のイメージ(特に男性)で、「早食い=太る」というように認識されている気がするのです。


確かに、そういう人がいるのも事実だけど、それがなぜ起こるのかも含めて考えなければいけないと思う。

まず一般的には、「満腹感が脳に伝達される前に食べ過ぎてしまうから」というのが1つの理由とされています(結局、「食べ過ぎ、カロリーの摂り過ぎ」という考え)。しかし、いつも満腹を超えるまで食べている訳ではないと思うし、むしろ私のイメージでは、普段は 「さっと食べ終えて他の事(遊び、仕事)をしている」 というイメージである。

また「速く食べると血糖値が急激に上がり、インスリンが多く分泌される」ことが原因とも言われますが、今回はその話には触れないこととします。


■大きくは、次の2つのパターンで説明できると考えます。

(1)原因と結果が逆になっている場合。
(2)食べるのが速い人の「食べ物の好み」や生活習慣が影響を与える。

2.体が大きいから速く食べれる(原因と結果が逆転)

まず食事の量や回数もそうなんですが、体の大きな人/太っている人に沢山食べる人や、速く食べる人が多くいたとしても、それは表面的な見た目の観察でしかないのです。あなたの目の前にいる体の大きな人(太った人)が速く食べた・・・。それって、太陽が「東から昇って、西に沈んだ」と言っているのと同じではありませんか?

つまり体が大きいから、胃腸も大きく丈夫であり、結果として、多く食べれるし、速く食べれるのではないでしょうか?
その人達は、朝食も食べてないかもしれないし、ずっと空腹状態を我慢していたかもしれない。そうであれば、とりあえず速く食べたい、お腹一杯になりたいと思うのも当然です。

依然、芸人のウガンダさんが「カレーライスは飲み物だ」と言っていたけど、それこそ胃腸や消化力が強いからできる芸当だと思います。

つまり原因と結果が逆転しています(逆因果)。

3.速く食べるような人の 『生活習慣』 全般が問題だ

次に「速く食べる」ことが肥満に結びつくケースです。

しかし、速く食べる事が直接的に太る原因となるのではなく、速く食べるような人の「食べ物の好み」や「生活習慣」そのものが肥満に結びつくと考えます。


これは、私のもつイメージですが、食べることにあまりこだわらない人が多いのではないでしょうか? 例えば・・・

・面倒くさい、早く食べ終えたい。
・栄養バランスに少し無頓着で、とりあえず満腹になればいい。
・お腹が減ってたら食べるけど、時間通りに1日3回食べる訳ではない。
・貰えた物は断らない(美味しそうに食べる)けど、食べ物がなければないで我慢している。


つまりそういう人達は、食事を管理してくれる人がいなければ周りの環境に影響される可能性があります。朝食を抜いたり、夜の食事が遅くになったり、生活リズムが乱れがちになるのではと感じます。つまり『時間』の概念ですね。

また、早くお腹が一杯になりたいために、味わって食べることが少ないのではないでしょうか?

ご飯の他に主菜・副菜、味噌汁などがつく日本の伝統的な食事よりも、すばやく食べれる丼ぶり・ラーメン・カレー・うどんなどの炭水化物の多い食事や、ハンバーグ・から揚げ・ソーセージ・フライなどの食べやすいお肉を選ぶのではないでしょうか?
(いわゆる「早い、安い、旨い」

噛まないから太るのではなく、噛まなくてもいいような柔らかいもの、繊維質の少ないものを食べているのではと推察するのです。(速く食べる人ほど、食物繊維摂取量が少ないという研究結果もあるようです。)

つまり食べ物の『バランス・質』ですね。
そして、食べ物の『バランス・質』と『時間』の概念が組み合わされば、私の言う、腸内飢餓状態もできやすくなってしまいます。

煮魚

それとは逆に、豆、海藻、キノコ、ゴボウなどの野菜を使った伝統的な料理や、骨付き肉(手羽先、スペアリブ)、尾頭付きの焼き魚・煮付けなどを食べれば、必然的にゆっくり食べるのではないでしょうか?

季節の食材を少しづつ味わって食べれば、深い味を感じることができるので、自然とおかずファースト、ご飯は後になるのではないでしょうか?

4.ゆっくり噛んで食べると痩せるのか?

肥満や糖尿病を防ぐには、「ゆっくり噛んで食べることが必要」 とも言われています。しかし、「速さ」だけがクローズアップされた事による明らかな間違いが、「ゆっくり噛んで食べると太りにくい」という一部の人の思い込みです。

おにぎり,ダイエット茶

私がこれまで会った中に、昼食におにぎり(2個くらい)とダイエット系のお茶をよ~く噛んで、20分近くかけて食べている女性が数人いました。

彼女達は太っていたので、太りたくないが為にゆっくり噛んで食べていたのだろうけど、その効果はあっただろうかと想像しますね。

私の理論上で言うと、炭水化物だけをゆっくり噛んで食べても、痩せることはないと断言できます(逆に太りやすい)。

『よく噛んでゆっくり食べる』というのは、噛まないといけないような食材を食べるということであり、普段からそういう食べ方をし、3食きっちり食べている人に痩せ習慣の人が多いという事だと思う。

和の惣菜

また『食べ順』があるということは、主菜(メインのおかず)の他に副菜が2種以上あるとか、いろんなおかずを食べるという事です。昔から”三角食べ” が健康のためにもいいと言われていますよね。

しかし、牛丼、カレー、ラーメン、ハンバーガー&ポテトのような食事なら食べ順もないし、それを50回噛んで水分で流し込み、空腹を長時間我慢していれば太りやすくなると想像できる。

5.もう一つの推論

「速く食べる」ことが肥満に結びつく理由として、私の腸内飢餓の理論でもう一つ考えられることがあります。
あくまで私のちょっとした経験に基づいた推測の域を超えないのですが、紹介したいと思います。


例えば、朝食抜きで昼食を摂るなど、12時間以上食べていない時に起こりうるかもしれません。

御飯とおかずを食べる時に、よく噛むと食べ物が混ざり過ぎてしまい、腸に送られた時に十分にミックスされた状態です。

しかし、炭水化物たっぷりの食事をあまり噛まないで、水分で胃に流し込めば、数十分後には炭水化物と水分のみが腸に送られます。昨日に食べた物は直腸の方に便として送り出され、一時的に小腸から大腸にかけてすべて消化されたような瞬間的な飢餓状態ができるのではということです。

こういう食べ方をしていると、血糖値を上げやすいだけでなく、私の理論上も、少しづつ太りやすくなる可能性があります。

最後に

「食べる速さ」は様々な病気にも関係してくると言われているけど、単なるスピードの問題ではなく、必ず食べ物の『バランス・質』と切っては切り離せないと思います。

昔の伝統的な食が崩壊し、忙しい現代人が手っ取り早く食べれるような食事(早い、安い、旨い)ばかりが街中に溢れていることが一番の問題だと思う。

そういう食事は血糖値が上がりやすいだけでなく、ミネラルが少ない割に、化学物質(農薬、食品添加物、ホルモン剤、抗生物質)などが多く使われ、いろんな面から健康を害している。

私の実家は農家で、父が手作りの野菜・旬の魚や山菜を食べさせてくれたし、26才から割烹店で修行していたから分かるけど、日本料理はもっと季節の素材に富み、奥行きが深く、食べる楽しみを与えてくれるものだと思う。

今や本当の日本料理は金持ちだけの料理になってしまって、若い人達に好きな和食は何かと聞けば、「ラーメン、とんかつ、カレー、唐揚げ、回転寿司」という答えが返ってくる。つまり庶民レベルでは日本食は崩壊しつつあるのではないだろうか?

地方が廃れて農村から若者がいなくなり、伝統野菜の作り手もいなくなって郷土料理・伝統的な加工食品も消えつつある。若い人がそういった昔からの料理を消費しなければ、この国の農業はいずれ崩壊し、益々、日本の『食』はどこかに行ってしまうのではなかろうか?

「輸入農産物は安いからいい」と思っている人は、もっと高いツケを支払うことになるし、医療費の増加は私達にとっても他人事ではない問題である。そういった、日本の抱える社会全体の問題とも関連があるのではないか?

2018.09.02

食事回数は肥満にどう影響するのか?

目次

  1. 食べる回数は体重の増加に関係する?
  2. 1日何食が一番太るの?
  3. 食べる回数を増やすことで痩せれる?
  4. 原因と結果が逆になる時がある
    <まとめ>

1.食べる回数は体重の増加に関係する?

「1日に摂取するカロリーの合計が同じなら、1日に何回食事をするかは関係がない」という専門家もおられますが、私は間違いなく、食べる回数は体重の増加(又は減少)に影響すると断言します。
確かに、カロリー摂取量の合計が肥満の直接的な原因であるとしたら回数はあまり関係ないのかもしれませんが、私の理論はそれとは違うことは何度も説明している通りです。

私は、"太る" という言葉には2つの意味があると言いましたが、まず図の(b)の部分について説明します。

【関連記事】→ ”太る”という言葉の2つの意味

多くの人が「より多くのカロリー・炭水化物を摂ると太る」と思っているのは、この基本体重(Base Weight)に戻ることを意味します。この場合、食事の頻度はあまり関係ないと言えるかも知れません。むしろカロリーや炭水化物の摂取量が問題になるはずです。
普段からダイエットで体重を低くキープしている人や、運動で無駄な体脂肪を落としている人などは、食べる回数に関係なく、摂取カロリーが必要量以上に増えれば太ると考えることができます。


a)の部分について言うと、”食べる回数”は大いに関係があります。基本体重(BW)そのものがアップするのは空腹(厳密には腸内飢餓)のメカニズムですので、回数を増やし分散して食べるほうが太りにくくなります。

「お腹がすいてきたな~」という時に、また胃に食べ物が入ってくるわけですから、胃腸の中には未消化物が残りやすくなる訳です。また逆に、食べる回数が減り食事の間隔が長くなれば、腸内飢餓を引き起こし基本体重がアップする可能性もあります。
    

2.1日何食が一番太るのか?

基本体重がアップする場合の(a)について説明します。

朝食を抜いたり、昼食を抜いたりして1日2食になると太りやすいという傾向はあります。ただし、1日2食にしたから必ず全員が太るということはありません。食事回数というのは「食事の間隔」の問題であって、腸内飢餓が引き起こされる「3要素+1」の条件の1つに過ぎないのです。

一番大切なのは、「何を食べるか?」ですが、それ以外にも、その人の「消化する能力」や食べ方(食べるスピード、噛む回数、食べる順序、食事中の水分量など)も大きく影響します。全く同じ物を食べても、食べ方や消化する能力によって、腸内飢餓の引き起こされ方に違いが出るからです。また食べる回数は同じでも、どのタイミングで食べるのか?によっても違いが生まれます。

食事の時刻

 
いくつかの例を挙げて、より詳しくお話したいと思います。

1日1食で太った友人

私が居酒屋で働いていたときの友人は、1日の食事はもっぱら、そこでの賄い食のみでした。他に何も食べず1日1食だったようです。

唐揚げ定食

(そこでの食事:丼ぶり飯におかず1~2品、味噌汁とかが多かった。)

しかしそんな生活をしてから、彼は高校時代より10キロ近く太りました。高校時代は1日3食で、たくさん食べても太れなかったそうです。

私も太りたいが為に1日1食にしたことがありますが、栄養が気になりいろんな物を逆に食べ過ぎたり、ストレスが溜まって続きませんでした。

結局は「何を食べるか?」が一番影響するのですが、炭水化物と良質の肉・魚中心の食事で、繊維なども少なければ、間違いなく太ると思いました。

1日4~5食で太った友人

また別の友人は、大学受験の浪人時代に1日4~5食で10キロ以上太ったそうです。高校時代は柔道部に属し、たくさん食べていたのにガリガリだったそうです。

しかし注意して頂きたいのは、5食が太るのではなくて、何を食べていたのか、どの様に食べていたのかが問題なのです。彼に聞くと、パンやおにぎり、カップめんなどの軽い食事がその半分以上を占めていたそうです。

菓子パンやハンバーガー、カップ麺、おにぎりなどの軽い食事でも「一食」とカウントするのであれば、回数を議論することに意味はありません。

簡単な食事

3.食べる回数を増やすことで痩せれる?

食事の回数だけでは断言はできないけれど、回数を増やすことは正しく痩せるための1つの正しい方法であると考えます。

大阪府立大学の今井佐恵子教授の研究(2014年)によると、クッキーをどの時間帯に食べるかで、糖尿病の患者の血糖値に変化がみられるそうです。

クッキーを食後に食べるよりも、間食で食べてもらう方が血糖値のピークを低く抑えることができた、という実験結果です。

血糖値の上がり方

(今井佐恵子教授の研究結果:産経新聞より)

キノコソテー

これはクッキーでの実験ですが、それを少し重たい、チーズやキノコの油炒め、お肉のソテーでもいい訳です。つまり食事の間隔を短くし、空腹をつくらないように食べることで体重減少の効果があると考えます。

間違って欲しくないのは、私は血糖値の上昇を抑えるから、痩せる効果があると言っている訳ではないのです。

空腹をつくらないように頻繁に食べることで、腸の中に「未消化物」をより多く残し、まず吸収力が抑えられます。その結果として血糖値が上がりにくくなると考えています。

4.原因と結果が逆になる時がある

時として、”食事回数と体重増加の関連” を調べるような観察研究は嘘をつきます。
例えば、肥満・過体重の人達に調査をし、彼らが「1日に何回食べているのか」を聞いたとします。多くの人が、4回~5回と答えたと仮定しましょう。しかし、その集計結果をもって、「食事回数が多いと太る可能性が高い」とは言えないということです。

その理由は、「何を食べたのか?」「どのくらいの量を食べたのか?」という一番大事な情報が抜け落ちています。先ほども言ったように、ハンバーガー1個でも、カップ麺1個でも『1食』とカウントするならば、それは意味がありません。

第2に、その人たちは、食べたことが原因で太ったのか、それともお腹が空きすぎて我慢できずに食べたのかが分かりません。

体が大きくなるにつれて胃腸も大きくなり、消化する能力も高くなる傾向があるとすると、他の人と同じ物を食べても早く空腹になると考えるのは妥当です。

つまり、多い回数食べるから太るのではなく、体が大きいから結果的に空腹が我慢しきれず、他の人より多くの回数食べてしまう場合があります。この場合、原因と結果がであると言えるでしょう。

まとめ

(1) 「1日の摂取カロリーの合計が同じなら、何回食事をするかは関係がない」という専門家もいるが、私の腸内飢餓の理論から言えば、間違いなく、食事の頻度は体重の増加(又は減少)に影響する

(2) 食事回数というのは「食事の間隔」の問題であって、腸内飢餓が引き起こされる「3要素+1」の条件の1つである。1日1食又は2食は長期的に太りやすくなる傾向はあるものの、一番大切なのは「何を食べるか?」であり、その他の要因も影響する。

(3) 食事の回数を増やすことで、ダイエットにも役立つ場合がある。腸内に未消化物を多く残して、空腹の時間を作らないようにすることが重要である。 

(4) 食事回数と肥満の関係を調べるだけの観察研究は無意味である。お腹が空き過ぎるから、結果として1日4~5回食べてしまうというという逆因果が発生する場合がある
   

2018.04.25

夜遅くの食事は本当に太るのか?(時間栄養学)

目次

  1. ある意味、夜の食事で太るのは当たり前
  2. 夜遅くの食事習慣が体重増加につながる場合
  3. BMAL1で説明するのには無理がある
  4. 痩せている人は、むしろ痩せる
<まとめ>

日本では、多くの人(特に女性)が ”太りたくない”という理由から、夜遅く(9時以降)に夕食やスイーツを摂るのを避ける傾向があります。しかし、それは本当に意味があるのでしょうか?事実、「夜遅くに夕食を摂るようになって以前より太った」という人もいますが、私はそこには間違った認識があると考えています。

【関連記事】なぜ「いつ食べるか?」が重要なのか(時間栄養学)

1.ある意味、夜の食事で太るのは当たり前

睡眠中

私達が夜寝ている間、体は休んでいる訳ではありません。私達の体にとってとても重要なことをやってくれてるのです。

そのメカニズムは完全には解明されていないと思いますが、睡眠は、脳内における記憶の整理・定着を促すとともに、体の傷んだ組織を修復・再生し、翌日の活動に備えるための大切な時間です。

特に睡眠後、成長ホルモンなどがより多く分泌されることにより新陳代謝が促され、傷ついた全身の細胞を修復し、疲労を回復させ免疫機能を高めます。同時にタンパク質や脂肪の合成が促されます。

よって、ある意味、誰でも夜の食事が朝・昼より太りやすいのは当たり前ではないだろうか?

普段からダイエットをしている人・カロリーを控えている人なら猶更、必要以上のカロリーを食べて寝れば一晩で数キロ体重が増加することもあるかもしれない。

しかし、それは基本体重に戻る場合(図-1, b)であって、この場合、食事の時刻が夜の7時か、又は10時であるかは問題ではないはずである。

(図ー1)

2.夜遅くの食事習慣が体重増加につながる場合

一方、「以前、7時頃に夕食を食べていた時は太らなかったけど、残業で夜の食事が9時過ぎになってから徐々に太ってきた」ということもあるかも知れません。しかし、それは上記「1」とは別の問題であり、私の腸内飢餓理論での基本体重がアップすることによって説明できると考えます(図-1, a)。

親子丼、カレー

まず、夕食が遅い時間になれば、多くの人が朝食を抜きがちになります。つまり、食事は昼・夜の2回のみになります。

昼食でラーメン、カレー、牛丼などの炭水化物たっぷりでバランスの悪い食事を摂れば(量は問題ではない)、朝食も食べていないので、お腹の中にはその食事しかありません。

そのまま、夜の9時、10時まで食べれないとすれば少しづつ腸内飢餓が引き起こされる可能性があると考えます。


この場合、
遅い時刻に食べたことは、太った「原因」ではなくて当然の「結果」と言えるでしょう。原因は、炭水化物や肉などに偏ったバランスの悪い食事と、食事の間隔が長くなり空腹を何時間も我慢していることです。

そして、これを防ぐためには、まず昼も夜もバランスの良い食事を摂ることです。

そして、朝食が食べれないにしても、せめて牛乳やカフェオレだけでも飲むこと。また夕食が遅くなるのであれば、5時頃にサンドウィッチ、クッキー、牛乳など間食をしても良いでしょう。

(バランスの良い弁当)

3.BMAL1 で説明するのには無理がある

日本では、多くの専門家が「1」「2」の2つの意味を混同したあげく、BMAL1の分泌量と体重増加がいかにも関連があるかのように説明します。

BMAL1は生体時計に関与するタンパク質で脂質代謝にも関連すると言われていますが、その分泌量は、午後6時ころから増えだし、午後10時から午前時にかけてピークに達するので、「同じカロリー摂取でも夜遅く(例えば10時)に食べると6時の夕食より数倍も太りやすい」ということの根拠とされているようです。

しかし、私はその説明には少し無理があると考えています。何故かというと、「消化時間」が抜け落ちているからです。例えば、午後10時に食事を摂れば消化されて吸収されるまでに、人にもよりますが、4~6時間かかるでしょう。

特に脂肪は消化が悪いので、7~8時間経った朝でもまだ消化されず胃がもたれているということもあるかもしれません。

つまり消化されなければ吸収されない訳ですから、食べた時刻とBMAL1の値を関連付けるのには無理があります。

BMAL1の値が午後10時から午前2時頃にかけてピークを迎えるのは、私達人間が大昔から夕方6時前後に夕食を摂っていたとすると、ちょうど消化吸収され、脂肪酸などが全身の細胞に運ばれる頃にうまく合成できるようになっているのではないかと私は推測します。

4.痩せている人は、むしろ痩せる

毎日、朝・昼・晩の食事をきちんと食べているのであれば、ほとんどの人にとっては、寝る前の食事が太る原因にはならないと考えます。先ほども言ったように、普段から摂取カロリーを控えめにしている人が、夜遅くにスイーツやラーメンを食べれば体重が数キロアップすることはあるでしょうが、それは基本体重に戻ることを意味し、ある一定の体重で止まるはずです。(これは簡単に研究で証明できるはずです。)

また、日本には胃下垂や胃弱の人も多いのですが、その人達が太りたいが為に、3食の他に就寝前にスイーツや軽い食事をしたとしても、体重は増えない可能性のほうが高いと考えます。むしろ体重は減少することもあると推測します(少なくとも、私においては100%事実)。


本来、睡眠中は体を休め、胃腸も休めるのが良いのですが、寝る前に食べると、胃腸は睡眠中も働き続けなければいけません。私の意見としては、
それにより胃腸に負担がかかり、傷ついた細胞の再生や、タンパク質・脂質の合成が低下する可能性があります。

まとめ

(1)ホルモンの関連で、タンパク質・脂質の合成は睡眠中に多く行われる可能性があるので、ある意味、誰でも夜の食事は太りやすいはずである。特に普段からダイエットのため、カロリーを少なめに食べている人は、必要以上のカロリーを食べると数キロ太るだろう。しかし、この場合は夜の7時に食べるのか10時かは問題ではない。

(2)私の腸内飢餓理論の観点から言えば、夜遅くの食事習慣が体重増加につながる場合がある。食事が遅くになれば、朝食を抜きがちになり、1日2食になる傾向がある。昼食又は遅い夕食で炭水化物に偏るバランスの悪い食事を食べ、次の食事まで空腹を我慢していれば腸内飢餓を引き起こしやすい。

(3)日本の多くの専門家は、脂質代謝に関連すると言われる時計遺伝子のタンパク質(BMAL1)の分泌量と「食事の時刻」を関連づけ、「夜遅くの食事が太りやすい」という根拠としている。しかし、私はその説明には無理があると思っている。なぜなら、消化吸収にかかる時間が全く考慮されていないためである。

(4)痩せている人が、3食の他に寝る前にスイーツや軽い食事を摂れば、体重が増えないどころかむしろ痩せる人もいると推測します。寝ている間も消化吸収にエネルギーが使われ、タンパク質や脂質の合成が低下する可能性があると考えます。
   

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