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ダイエット・運動

2016.11.22

食事、運動、体重の関係性を間違えている

<目次>

<プロローグ>
1.食事と運動は、専門家にとっては良い言い訳け材料
2.食事・運動・体重の関係は単純ではない
3.
『食事が優先している』とは、どういうこと?

<ポイント>

  • ・食事と運動は、カロリーにおいて『摂取と消費』という対立する関係ではない。
  • ・運動(特に筋力に負荷をかける無酸素運動)は基本的に "太る方向" へ加速する力。
  • ・しかし、優先順位は常に『食事』にあり、その摂り方で太るかどうかは決まる。

プロローグ

スポーツをしている人は痩せている人が多い運動をやめた後に太ったスポーツ選手などを見ていると、”運動=痩せる”という公式ができそうです。(大抵の専門家はこういう見方ですが、これも表面的に見たままで判断している、『天動説』の様なものと考えます。)

ゲイリー・トーベス氏が「運動と体重の関係は、彼ら(研究者)が想像したよりも ”もっと複雑”である。」と言われるように、おそらく単純ではないでしょう。ただし、私の言う、

(1)人それぞれに現状維持的な機能があること
(2)『太る』という言葉には2つの意味があること
(3)その現状維持の基準点(基本体重)がアップするのは腸の飢餓メカニズムであること
この3つを踏まえれば、『食事、運動、体重』の関係を説明しやすくなります。

1.食事と運動は、専門家にとっては良い言い訳け材料

まず運動しても痩せなかった人達に対して、専門家は「結局、どこかで食べているのでしょう~」と言うだろうし、食事(カロリー)制限しても痩せない人(少なく食べても太ってしまう人)に対しては、「運動不足じゃないですか?・・・」と必ず言いますよね。

つまり、食事と運動は「入るカロリー/出るカロリー」の関係として考えられていたために、専門家のいろんな口実として利用され、その関係は深く考えようとすらされてこなかったことが問題です。

2.食事・運動・体重の関係は単純ではない

繰り返しになりますが、「消費するより多く食べれば必ず太る / 運動をすれば痩せれる」 と考える人は、こう見ています(下図)。

『摂取と消費が対立する関係で、その大小関係により太るんだ(又は痩せるんだ)』と考えます。

しかし、人の体はそれほど単純ではありません。実際は胃で食べ物が消化され、腸で吸収されてエネルギーはやり取りされます(下図)。

"摂取量(A)と消費量(C)は、吸収という力により媒介される為、消費量(C)が増えれば、食欲や吸収量(B)も相対的にアップする" というのは前回もお伝えしました。

【関連】➡痩せるのに運動は必要ないとしたら

また、"食べる量(摂取量=A)を無理に増やしたからと言って、必ずしも吸収量(B)が増える訳ではない" ということもお伝えしました。

【関連記事】➡「カロリーを単純合計することに意味はない」

運動は確かにエネルギーは消費されますが、消費されたものを取り戻そう・蓄えようとする逆の力が働きます。これは体の恒常性とも言うものです。ここには「エネルギーを出せば返ってくる」(時には利子付で)という法則のようなものがあります。

冷たい雪で雪合戦をすれば、後から手がカッカッと熱くなってくるのと同じです。寒いからといって閉じこもっていたら、体は内側からは全然温まりませんよね~。
逆に使わなければ衰退していきます(身体も脳も)。骨折して足を動かさなければ、極端に痩せますよね・・・それと同じです。

つまり、運動は基本的に体に活力を与え、エネルギーの循環を取り戻し、エネルギーを蓄えようとするので、”太る(脂肪を蓄える)”方向へ加速するものです(特に無酸素運動などの筋肉への負荷運動)。しかし、太るかどうかは『食事』の摂り方で決まります。

常に『食事』が優先しています。
「運動をしていると、食べても太らない」という錯覚が生じるのもこのためです。

3.『食事が優先している』とは、どういうこと?

まず、パターン別に見ていきたいと思います。

(1)運動して痩せている

まず、ジョン・ブリファ氏(「痩せたければ脂肪をとりなさい」著者)が言われるように、”もともと痩せている人がマラソンやサッカーを始め、アスリートとなっていくのではないか・・・”と考えた方がひねくれているけど正しいのではないでしょうか。そして運動している人は栄養に気を配り、3度の食事の他にも栄養補助食品などを食べます。それは我々が運動をしようとする時、「栄養を摂らないといけない」「しっかり食べないといけない」という心理が働くからです。
例えば、午前中から10キロ走らないといけない・・・、サッカーの練習試合がある・・・となったら、しっかり食べて行きますよね。

しっかり朝食
和朝食

つまり、元々痩せている人がサッカーやマラソンなどのスポーツをし、3食しっかり食べてきたからこそ現状が維持されやすく、太りにくくなるのです。もちろん、筋肉は鍛えられるからスリムで筋肉がつき引き締まったボディーになる。

この人達の勘違いは、「自分たちは消費しているから食べても太らない、あるいは代謝がいいから太らないんだ」と思っていることです。もちろん ”消費している” というのは間違いではないけど、それよりも、しっかりとバランス良く食べることに実は意味があるのです。

(2)運動をやめてから太る

逆に、"運動をやめてから太った" という人や、"仕事はデスクワークで、運動もしていないから最近太った・・・" という方がいます。しかし運動をしないことよりも、"食事を抜いたり・軽く済ましたり、炭水化物に偏った食事になったり、食事の時間が不規則になること" の方が問題です。

これは、飢餓メカニズムが生まれやすくなるからです。
今日は一日何もしなくてもいい、デスクに座ったままだという時、我々は、心理的に「食事を軽くしよう~」とする傾向が働くでしょう。

(シンプルな朝食)

朝は急いでいて、"トーストとコーヒー" かもしれない。ひょっとしたら、朝食は食べないで出社するかもしれない。昼ごはんも、夜の会食・飲み会に備えて、カロリーや財布の帳尻を合わすために、おにぎりやうどん一杯だけで済ますかもしれない。

そういう時に、”飢餓メカニズム” はできやすく、長い目で見ると太っていきやすいと言えます。
「若いころは食べても太らなかったのに、最近は運動していないから太っちゃって・・・」という方がいますが、それは逆に言うと、”若い頃はしっかり食べていたから太りにくかったけど、今は簡単な食事(炭水化物に偏った食事)で済まし、空腹を我慢している・・” とも言えるのです。

▽私の大学時代の同級生は、高校の柔道部時代に、太ろうとしてトンカツや肉料理(もちろんご飯も)をたくさん食べていたけど、太れずガリガリだったそうです。しかし、大学受験の浪人時代に10キロ以上太ったそうです(柔道部時代の方がたくさん食べていた)。本人は「動いてないから」と言ってましたが、受験勉強だって脳でカロリーは消費します。
話を聞くと、それよりもおにぎりやら菓子パン、カップ麺など簡単なもので1日の大半を済ませることが多かったそうです。

(3)運動して太る

格闘家やお相撲さんはもちろん運動していますが、競技の性格上、体重をアップすることが必要になります。しかし、格闘家が体重を増やし筋力をつけるために、3度の食事の他にプロテインなどをしっかり摂取しても中々筋力や体重が増えない、という話はよく聞きます。しかしそれに反して、太りたくないという人達がいとも簡単に太ってしまうのは、実は太るのは腸の飢餓メカニズムが必要だからです。

激しい筋トレをする人には、栄養(乳製品、蛋白質、油脂、野菜等)を確保しなくてはいけないという心理が働くのに対し、動かない人は "軽い食事" で済まそうとする心理が働きます。運動は "太る方向" へ加速するパワーを与えるけれど、太ろうとして4~5時間おきに食事(プロテインなど)を摂取すると、飢餓のメカニズムが働かなくなり、太りにくくなります。

体重upのために理にかなったお相撲さんの食事

お相撲さんの食事は基本的に1日2回で、しかも消化の良いチャンコ(鍋で煮込んだ料理)をメインに食べるため、運動による 『太ろうとする力』と『飢餓メカニズム』を同じ方向に向けていると言えます。つまり体重のアップには理にかなっていると言えます。

【関連記事】
「お相撲さんが太るのも、飢餓メカニズムと言える」

2016.09.29

ダイエットは、運動よりも食事の改善

<目次>

  1. 運動を謳うダイエットは、必ず食事指導をしている
  2. 消費するカロリーの僅かな利益
  3. 運動しても体脂肪は減らない?
  4. 『食事制限』と『運動』が続かないのは当たり前

1.運動を謳うダイエットは、必ず食事指導をしている

「運動指導者が断言。ダイエットは運動1割、食事9割」【森 拓郎】より引用

私の今までの運動指導、ダイエット指導の経験を通して痛感することは、実はほとんどの人は、運動だけのダイエットで結果をだせないということです。多くのクライアントと接するうちに成果の出なかった人の傾向が見えてきました。彼らは、「好きな物を食べながら痩せたい」「食生活は変えたくない」・・・という食生活に問題のある人ばかりだったのです。

体の痩せるメカニズムを考えると、食事のコントロール以上に効果的なダイエット法はなく、そこに必要な分の運動を足すという考え方が適切です。

巷のダイエット本を手に取ってみても、ある特定の運動法の説明をしていても、食事について少なからず書いてあるものがほとんど。ダイエット成功者は運動ではなく、食事でやせているのです。(補足:食事を制限するという意味ではありません)(~略~)

体の綺麗なスタイルは運動がつくり、体重やサイズを減らしたいのであれば、食生活を中心に改善していくという大前提を理解し・・・(引用以上)

■これは私も伝えたかったことですが、運動の専門家の話のほうが説得力があるので引用させて頂きました。
”運動で痩せる”と謳っている本は、必ず途中から食事にかわります。その内容と言えば、ジャンクフードを控えること、低G.I.食や日本の伝統和食、代謝をアップさせる料理など様々ですが、最近の傾向としては "しっかり食べて運動する" という様になってきているようです。

しっかり食べて痩せたんだから、"運動が体重を減らすことにかなり貢献している" ように思われるかもしれません。
しかしそれは誤解で、運動の消費カロリーはわずかであり、食事方法のみを変えることで実は痩せることは可能と考えます。
運動はむしろ痩せた後の "引き締まったボディー" をつくると考えた方が良いかもしれません。

2.消費するカロリーの僅かな利益

「人はなぜ太るのか?」【ゲーリー・トーベス著】より引用)

定期的な運動(身体活動)が健康のためによいという考えは、今や私達の中に非常に深く浸透している。しかし私が調査したい問題は、それは私達が痩せている場合には体重の維持を、太っている場合には減量を助けるものなのか?ということである。その答えはノーのように思われる。(~略~)

▽1942、年ミシガン大学のルイス・ニューバーグ(Louis Newburg)が計算したところ、体重110kgの男性がひと続きの階段を上がるのに3kcalを消費する。つまり、『パン1切れに含まれるエネルギー』を消費するために20の階段(1続きの階段×20)を上がる必要があるのである。
それなら、なぜ階段を上がることを止め、パンを抜いて1日を終えないのか?(~略~)

▽またある専門家達は、ランニングなどの有酸素運動よりも、ウェートリフティングのような筋肉を増やす運動で体重を減らせると議論するようになった。
筋肉は脂肪よりも代謝的に活発で、より多くのカロリーを消費するため、脂肪を減少させたままでいることに役立つだろう。
しかし、専門家たちはこのような議論をするときに、いつも実際の数値を無視した。それは数値が見栄えしなかったからである。もし私達が5ポンド(約2キロ)の体脂肪を5ポンドの筋肉に置き換えたとすると(かなりの成功者であるが)、エネルギー消費の増加量は1日当たり24kcalである。

この量はまたしてもパン1枚の1/4と等価となる。(注:日本の食パンだと約1/6枚)
そして、またしてもウェートリフティングをやめて、1/4切れのパンを我慢した方が楽かもしれないという見解に戻ってしまうのだ。
(引用以上)

3.運動しても体脂肪は減らない?

(再び「ダイエットは運動1割、食事9割」から引用)

体脂肪というのは備蓄型のエネルギーですから、すぐには使わないようにできています。ですから、強度の高い運動を行ったり、短期的に痩せようと頑張って運動しても、消費しているのは肝臓や筋肉に蓄えられている即効型エネルギーであるグリコーゲンです。つまり糖質です。そして、糖質が使われると、私達は早くそれを元の状態に戻したがるので糖質が欲しくなります。(~略~)

体脂肪が燃えやすいと言われる有酸素運動でさえ、使っているカロリーの約半分は糖質です。30分のランニングで消費されるカロリーは200kcalとお伝えしましたが、実はすべてが体脂肪ではなく多くても半分は糖質です。燃焼効率がどんなによくても、その程度ということです。

30分のウォーキングでは、脂肪燃焼効率は上がりますが、運動量としては下がります。ウォーキングでは約100kcal程度。
消費カロリーの少ない有酸素運動だけで、体脂肪1kg(7200 Kcal)減らすというのが、どれだけ至難の技なのかご理解いただけると思います。(引用以上)

ここで注意しなければいけないのは、200kcalの半分の100kcalが脂肪としても、それを単純に毎日合計してはいけないということです。

前の記事において『出たエネルギーは必ず戻ってくる』という話を思い出してください。消費カロリーと摂取カロリーは独立した変数ではないということもお伝えしました。
私達は1日を終えて、100kcal余分に食べないという保証はありませんし、仮に摂取カロリーが同じとしても吸収率が高まり、それくらいの減少分なら補おうとするのが人体です。そう考えると、体重計が何も進歩を示さない理由も分かってきましたね。

(再び「人はなぜ太るのか?」より引用)

米国農務省(USDA)、国際肥満研究協会、国際肥満特別機関などは、毎日1時間程度の運動をすべきだと奨励しています(2007年時点)。これら3つの機関が、『1時間の運動』を奨励する理由は、1時間以内の運動で効果があるというエビデンス(科学的根拠)が少ないことに基づいています。
毎日60分以上の運動をすると何が起きるか示す研究はほとんど存在しないため、専門家達はその程度の運動であれば効果が生まれるかもしれないと想像しうるだけです。さらに3つの機関が運動することを奨励する理由は、脂肪を減らすことを促すためではなく、さらに太ることを避けるためである。彼らは、運動のみで脂肪を減らすことは不可能であることを暗に認めている。(引用以上)

4.『食事制限』と『運動』が続かないのは当たり前

ダイエットにはつきものとされる『食事制限』と『運動』ですが、それがいかに意味がないことかを説明します。
「食べないで動き続ければ、痩せる」というのは ”真理” ですが(いつかは死んでしまいます)、日常の生活を営む以上、最低でも2~3回の食事は必要だし、その場合は真理ではなくなります。

(1)潜在意識は否定形が理解できないために、「食べないようにしよう~」と我慢しても脳に映る映像は『食べ物』の映像です(図の「ショートケーキ」)。いくら意志の力が強くても、イメージで動いている潜在意識の力(97~99%とも言われる)に勝てないために余計に食べたくなってしまう。

(2)好きな運動をやるのならいいが、嫌いな運動を嫌々やっても続かない。(森拓郎氏)

(3)運動によって食欲が増し、さらに食べたいという気持ちは増幅されストレスだけが溜まる。

(4)人は運動量を増やすと、自然にそれ以外の生活で運動しないようになる傾向がある。(ジョン・ブリファ氏)

(5)長時間の運動は、コルチゾール濃度を持続的に上げることにもつながる可能性があり、このホルモンは体脂肪の蓄積を促す。(ジョン・ブリファ氏)

(6)一旦は痩せるかもしれないが、これはボクサーの減量と同じ「絞る」という行為である。空腹で運動することは飢餓のメカニズムをつくりやすくし、リバウンドしさらに太る可能性が高くなる。(私の理論)

そして、このような間違ったダイエットが未だに信じられている背景には、『食事・運動・体重』の関係性を間違っていることが原因と考えます。

【関連記事】→「食事・運動・体重の関係性を間違えている」

2016.07.29

痩せるのに運動は必要ないとしたら

<目次>

<プロローグ>
1.運動が効果的でなかった事実は無視された
2.運動で出たエネルギーは必ず戻ってくる
3.
だから、食事のみで痩せることは可能

<プロローグ>

「人はなぜ太るのか?」 【ゲーリー・トーベス著】より引用

あなたが晩餐会に招待されたと想像してください。
あなたは夜の特別なメニューの為に、お腹をすかして行こうとします。その為に昼食を抜いたり、お腹をすかせる為にスポーツジムへ行ったり、マラソンしたり、歩いて会場まで行こうとするかもしれない。

私達が体重を減らそうとするときに行うこと、つまり『食べる量(カロリー)を減らす・もっと運動する』ことは、私たちの目的が、お腹をすかせること、食欲を増すこと、もっと食べたい時にとる方法と全く同じである。(~略~)

今や「もっと食べる量を減らし、もっと運動しなさい」という半世紀にわたり繰り返されてきたアドバイスと同時に起きている肥満の流行は、それほど矛盾ではないように思えてくる。
事実、米国においては肥満の流行が、確実にレジャー活動、スポーツジム、エアロビクスの流行と同時に起こり、事実上そのような手段のすべてが、肥満の流行が始まってから開発されたか、あるいは根本的に再設計されている。

1.運動が効果的でなかった事実は無視された

カロリーを消費すれば私達の体が軽くなるという考えは、1つの観察と1つの仮定に基づいている。その観察とは、"痩せた人は、そうでない人よりも肉体的に活発な傾向にある" ということである。
これには異論がない。
一般にマラソンランナーは過体重や肥満ではない。しかし、この観察は、ランナーが走っていなければもっと太っていたかどうか、太った男女がランニングを始めることで、マラソンランナーに変化するかどうかについては何も語らない。(~略~)

■カリフォルニア州ローレンスバークレー国立研究所の統計学者であるポール・ウィリアムス、スタンフォード大学の研究者ピーター・ウッドはランニング習慣のある13,000人の詳細な情報を集め、これらのランナーの1週間の走行距離と年ごとの体重の変化を比較した(2006年に著書として出版)。最もたくさん走った人たちが最も体重が少ない傾向はあったが、これらのランナー全員が年を重ねるごとに体重が増える傾向にあった。

■1977年
運動ブームの真っ只中に、米国国立衛生研究所(NIH)は肥満と体重の管理に関する2回目の会議を開催し、集まった専門家達は、「体重の管理における運動の重要性はこれまでに信じられたほどではない。運動によるエネルギー消費の増加は食物の摂取も増やす傾向があり、またカロリー消費の増加が食物摂取の増加に勝るかどうかを予測することが不可能だからである」と結論した。

■ニューズウィーク(Newsweek)は、1989年までにいかなる減量プログラムにおいても、運動は『不可欠』な要素であると宣言した。ところで、運動が十分な減量につながらないという事例については、「あなたが食べ過ぎないように注意する必要がある」とのことである。

■1970年代までに、"運動が肥満の解消に効果がない" というエビデンス(科学的根拠)は多数あったが、研究者たちを”運動によって体重を維持あるいは減少できる”という信念に駆り立てたのは、それが真実であると信じたい研究者たちの欲求と、公に『そうでない』と認めることに対する彼らのためらいがあった。

研究者たちは、実際にエビデンスが何を示していようとも、『運動とエネルギー消費が肥満の程度を決める』という考えを後押しする結果だけを論議し、一方でこの見解を反証するエビデンスは、その数が多かったとしても無視するというものである(現在においてもそうである)。

■2007年8月
米国心臓病協会(AHA)と米国スポーツ医学会(ACSM)が身体活動と健康に関する合同ガイドラインを発表した。彼らは、週5日、1日30分程度の精力的な身体活動が「健康を保ち、促進する」ために必要であると述べた。しかし、肥満になることや痩せたままでいることに対し、運動がどのような影響を与えるのかという質問になると、専門家たちは、「1日あたりのエネルギー消費の多い人達は、少ない人達に比べて、時間とともに体重が増える可能性が低いと仮定することは理にかなっている。これまでのところ、この仮説を支持するデータは特に説得力のあるものではない」としか言えなかった。(~略~)
運動と体重の関係は、彼らが想像したよりももっと複雑である。おそらく私達が太るかどうかを決定しているのは、私達が摂取し、消費するカロリー以外のものなのである。(ゲーリー・トーベス氏)(引用以上)

2.運動で出たエネルギーは必ず戻ってくる

一般に私達は、ご飯一善は260kcal、チーズケーキは300kcal、これに対し運動消費は150kcalという風に、摂取するエネルギーと消費するエネルギーを対等と考えがちです。

入るカロリー出るカロリー

しかし、これは大きな間違いであると考えます。私達の体はこんなに単純ではありません。

下記の図は、私が本など何も見る前に考えていたモデルです。運動でエネルギーは一旦は消費されますが、運動で出たエネルギーは基本的に戻ってきます。もちろん、何も食べずに運動を継続すれば痩せるけど、それが健康的な痩せ方ではないはずです。

エネルギー循環

(エネルギーは腸を媒介し循環する)

我々が筋肉を動かせばエネルギーは消費され、細胞に蓄えられた栄養素も使われます。すると体はそれを補うために、吸収率をアップさせ、血液をさらに循環させ、各細胞に栄養素や酸素などを供給します。
当然、食欲もアップしますよね。私は専門家ではありませんが、これは私達が教えられなくても経験的に感じることです。

吸収率がアップするというのは分かりにくいかもしれませんが、ひどい空腹の時や運動の後にお酒を飲むと、すぐ真っ赤になって普段より酔ったりしますよね。また運動後は甘いものが食べたくなるというのも、減少した筋肉のグリコーゲンを補うために体のメカニズムとして当然なことのはずです。

(再び、「人はなぜ太るのか」より引用)

摂取するよりも多くのエネルギーを消費することが、体重の問題を解決し、より体重を軽くすることができるという考えは、まさに熱力学の法則に関する、別の間違った仮説に基づいている。それは「摂取するエネルギーと、消費するエネルギーは互いに影響を及ぼさない」という仮説です。

私達は直感的に、これが真実ではないことを知っている。食べる量を減らし自身を半飢餓状態にしたとすると、代謝が低下したり無気力となり、エネルギー消費は減少する。また運動で消費をアップすると、空腹感が増し食欲も増進させる。

要するに、私達が摂取するエネルギーと消費するエネルギーは相互に依存している。一方を変えると、他方がそれを補正して変わる。数学者たちは、お互いが独立した変数ではなく、従属変数であると言うだろう。これと違うことを主張する人はみな、複雑な生命体をあたかも単純な器械装置のように扱っている。

■2007年、ハーバード大学
医学部長である、ジェフリー・フライアー(とその妻)は、雑誌Scientific American に「脂肪に燃料を注ぐもの」という論文を発表した。彼らは、食欲とエネルギー消費の密接な関係を述べ、この2つは人間が意識的に変えることができるようなものではないこと、またこの2つの補正の結果が脂肪細胞の増減を示すような単純な変数ではないことを明らかにした。(引用以上)

3.だから、食事のみで痩せることは可能

ウォーキングやランニングなどの軽度の運動は健康の為に必要ですが、運動は痩せるために特に必要な訳ではない、と考えます。つまり・・・私が言いたいのは、食事のみで痩せることができるということです。(※食事制限・カロリー制限という意味ではなく、むしろその逆、一定のルールを守ってしっかり食べると言うことです。)

(再び、著書より引用)

1932年、肥満と糖尿病の専門家ラッセル・ワイルダー(Russel Wilder)が行った講義では、「肥満患者たちがベットで安静にすることでより多く減量し、その一方、極端に激しい身体活動は減量の速度を低下させる」と語った。「運動をするほどより多くの脂肪が消費されるはずだという患者の理屈は一見正しいが、体重計が何の進歩も示していないことを見て患者はがっかりする」とワイルダーは述べた。(引用以上)

■ダイエットと運動の関係に関して、運動の専門家が書かれた本があります。

「運動指導者が断言。ダイエットは運動1割、食事9割」【森 拓郎著】

その後「食事10割で痩せる技術」という本も出版されています。森さんは自らがフィットネスクラブに5年間在籍し、運動指導者でありながらも、痩せるのには運動だけでは無理だと言われています。

(著書より引用)
運動指導者として沢山のクライアントを見てきました。
しかしそこで見たものは、長く在籍しているのに痩せないクラブ会員様、そして何よりそこで働いているのに痩せないスタッフでした。(~略~)

ダイエットの中心にくるのはあくまで『食生活の改善』であり、それを支えるためのメンタルも大切になってきます。運動に関しては、それらのウェイトに比べて非常に小さくて、食とメンタルさえ何とかなれば、運動指導を省いても大まかな結果がでてしまうと考えます・・・さまざまなダイエット商品の誇大広告に騙され、効果的な運動をすれば誰でも痩せられると、知らないうちに思わされていた自分がいたのも事実です・・・(略)それはあくまで広告のお話ですから、惹きつける誇張であって当然。そのせいで、良識ある一般人の感覚までがおかしくなっている。(引用以上)

2016.06.26

太った後に、過食し運動しなくなった(怠慢になった)

目次

<プロローグ>
1.食べ過ぎるから『太った』のではなかった
2.太った後に、運動しなくなった事例

<プロローグ>

「人はなぜ太るのか?」【ゲーリー・トーベス著】より引用

「過食が原因で肥満になる、あるいは過食の結果で肥満になるという専門家たち(大部分だが)は、高校の理系クラスで落第点を取るようなレベルの間違いを犯している。彼らは、私達がなぜ太るのかについて全く何も語らない自然の法則と、私たちが実際に太っている場合におきる現象(過食)を取り上げ、語るべきすべての内容を語っていると思い込んでいる。」(引用以上)

私もこの意見に賛成です。私のブログの原点もここであり、世界には同じ様に考える研究者が少なくとも数人はおられたことに、少し安堵しました。

まだ『天動説』が常識の16~17世紀に「いや、地球が太陽の周りを動いているんだよ・・・」といっても大半の人は信じなかったであろう。「もし地球が太陽の周りを回っているなら、我々は目が回ってしょうがない・・・」と科学者らは反論したに違いない。だけど、今や地動説が正しいのは誰もが知っています。

同様に、人が太っていくのも「食べ過ぎたカロリーが消費を上回るからではない」と言っても、今は信じない人が多いかも知れませんが、それこそ真実であると言いたい。

1.食べ過ぎるから『太った』のではなかった

”過食するから太るんだ、動かないから肥満になるんだ” ということが言われていますが、それに関係する面白い実験結果があります。

(再び「人はなぜ太るのか?」より引用)

1970年代初期、マサチューセッツ大学の研究者ジョージ・ウェイドはラット(メス)の卵巣を摘出し、その後の性ホルモン、体重および食欲の関係について研究を始めた。実験の結果は期待通りでラットはガツガツと食べ始め、瞬く間に肥満になった。この実験から、卵巣を摘出したことでラットは過食となり、過剰な脂肪が蓄積し肥満になる。人においても過食が肥満の原因だと結論づけられるだろう。

しかし、ウェイドは卵巣を摘出した後にラットに厳格な食餌制限を行うという第2の実験を行った。卵巣を摘出後のラットには手術前と同じ量の食餌だけが与えられ、過食しないように調整が行われた。その結果は予想を裏切るものであった。
ラットは好きなだけ与えられたときと同じように、速やかに肥満になった。これらのラットは完全に動かなくなり、食べ物を得る必要のある時のみ動くようになった。(~略~)

ウェイドの説明では、ラットは過食で太ったのではなく、卵巣の摘出によりラットは脂肪を貯め込むようになり、それを補うためにラットはもっと食べるか、消費エネルギーを減らすか、又はその両方を行う。つまり原因と結果がになっている。
(~略~)
脂肪組織は入念に調整されていて、それが消費しないカロリーを投げ込むような単なるゴミ箱ではない。肥満になる人達は脂肪を制御する方法によってたまたま太ったのであり、その結果として、カロリーを補うために食べる行動(過食)と身体的不活発(怠慢)が引き起こされているのである。
(~略~)

<1970年代>
ハーバード大医学部で何千人もの肥満患者に低カロリー食(一日600kcal)の治療法を行ったブルース・ビストリアン(Bruce Bistrian)の言葉。
「減食は肥満に対する処方や治療にはならない。最も目立つ症状を一時的に軽減する方法でしかない。そして、もし減食が治療ではないとすれば、このことは過食が肥満の原因ではないことを如実に示唆している。」(引用以上)

▽(繰り返しになりますが)私は、激ヤセして30キロ台まで落ちた時、何を食べても胃がつかえるようで食べれませんでした。特に脂っこい食事は最悪でした。太ろうとして頑張って食べてはいたけど、何一つ身につきません。

ある時、空腹(厳密には腸の飢餓状態)をつくれば ”太れる” ということに気付き、そうなるように消化の良い炭水化物主体に少量の肉などを食べていくことで徐々に太っていきました(食べる量は昔より少ない)。そして50キロほどになった頃には、身体に筋肉もつき、胃腸の不快感も多少なくなり、以前より楽に食べれるようになっていました。

私の途中経過を知らない人達は「最近、食べるようになったから太ってきたね・・・」と言いましたが、決して食べたから太ったのではなく、『太れる体になった後に食べて太り、その結果、筋肉もつき食欲が出るようになり、以前より食べれるようになっていた』のです。だから現実は逆です

■これは極端な例を考えると分かりやすいかも知れません。3メートルで250キロの大男がいたとします。その人が私たちの5倍の量の食事をペロッと食べたとしても、『凄く食べるから大きくなったんだ・・・』とは思はないでしょう。むしろ、『大きいからあんなに食べれるんだ・・・』と思いますよね。

(再び「人はなぜ太るのか」より引用)

第二次世界大戦の直前、欧州の医学研究者たちは私同様、 肥満が過食によって起きると考えるのは不合理であると主張した。これは人間を成長させる(身長・体重・筋肉・脂肪)いかなるものも、彼らを過食にさせるからである。
たとえば子どもは食欲が旺盛であるが、消費する以上のカロリーを摂取するから身長が高くなり体重が増えるわけではない。彼らは成長しているから大食い(過食)なのである。(引用以上)

2.太った後に、運動しなくなった事例

「痩せたければ脂肪を摂りなさい」 【ジョン・ブリファ著】より引用

運動と肥満の関係を見た場合、長距離マラソン選手やツール・ド・フランスの自転車選手を見れば痩せている人が多いのは事実です。そこで ”運動をすれば痩せれる”と考えます。
しかし子供の頃を思い出してください。元々痩せている人やそういう体型の人がマラソンランナーや自転車選手になるからではないでしょうか?つまり元々痩せている人がたくさん運動するのであって、ではないでしょうか?こじつけのように聞こえるかも知れませんが、この考えを支持する証拠があるのです。

▽ある調査で、子供の運動量と肥満を3年にわたり調査しました。そして、運動しない子供ほど体脂肪が多いことがわかりました。これは予想通りですが、この調査は長期に渡って行われたのでその前後を評価することができました。
現実には、先に脂肪を蓄積した(太った)子供が、その後あまり運動しなくなっていきました。この発見によって、「肥満の子供に運動を促しても、なぜほとんど成功しないのかを説明することができる」と指摘しています。(引用以上)

▽私もこの意見に賛成ですが、私なりの考えを補足したいと思います。
ジョン・ブリファ氏の言う通り、”元々痩せている人がマラソンやサッカー選手を志す”と考える方が理にかなっていると思います。そして彼らは、少なくとも自分が食べても太らないことを知っています。だから彼らは躊躇することなく何でも食べるでしょう。

つまり換言すれば、そんな彼らが、子供の頃からバランスのよい3度の食事を摂ることで、私の言う飢餓メカニズムが起こらず、適度な筋肉はつきながらも体重が維持されてきたとも言えます(「基本体重」が変化しないことを意味する)。”運動によって余分なカロリーを消費しているので太らない” のではありません。

一方で、ずっと家にいて、TVゲームをしたり本を読んで過ごす時、食べ物まで軽く済ます傾向があります。食事が炭水化物や肉に偏り、ランチにハンバーガー、ポテト、麺類だけなんてこともあります。運動していないから栄養にうとく(いい加減に)なるのです。もし食事が炭水化物に偏り、空腹を長時間我慢していれば、腸内飢餓が起こり、基本体重がアップする可能性があります。結局、長い目でみると体重がアップすることもあるでしょう。


つまり、運動不足や怠慢が直接的に人を太らす訳ではありません。どれくらいカロリーを消費したかは『太っている事』とは直接関係がないのです。むしろ身体活動量(運動するか、座ったままでいるか)が「何を食べるのか」や食べ方に影響するのです。

2015.07.30

なぜ、ダイエット(食事制限と運動)は失敗に終わりやすいのか?

<目次>

<プロローグ>
1.なぜ、リバウンドするのか?
2.痩せるために、本当にすべきことは?

プロローグ

ダイエットというと運動食事制限。でもこの方法ですんなり痩せたっていう人に余りお目にかからないですよね。
▼ブル中野さん(女子プロレスラー)も、ダイエットとリバウンドを繰り返されてたのですが、重度の膝の病気をされたことがきっかけで痩せることが必要となり、最終的に胃の切除手術を受けられたそうです(2015年6月23日「解決ナイナイアンサー」より)。ブル中野さんも「運動と食事制限では痩せない」と言われています。

ブル中野2-2
杉ちゃん2

▼お笑い芸人の杉ちゃんも、ビリーズブートキャンプで7キロダイエット成功した後、すぐに7キロリバウンドされたそうです。

1.なぜ、リバウンドするのか?

運動や食事制限で ”痩せる” ということは、どういうことか説明したいと思います。
一時的にカロリー摂取量を少なくしたり消費カロリーをアップするというのは、たとえ一時的に痩せたとしても、現状維持の基準点(基本体重:Base Weight)が変化していない状態です。

リバウンド

つまり、「痩せる」というよりも、「絞る」という表現が正しい(ボクサーの減量と同じです)。
リバウンドして「太る」というよりも、元の状態に「戻る」と表現した方がいい。

もしこの痩せた状態を保とうと思えば、常に食事と運動に気を配り、生活していかないといけないということですね。
「ダイエットには運動と食事(カロリー)制限が必要なんだ・・・」
「食べたら太るのは当たり前だろ・・・」という人達の理論です。

しかし、痩せている人が、特に努力しているわけではありません。カロリーを気にすることなく好きなものを食べて、運動しなくても痩せている人は痩せているはずです。

【関連記事】➡「一番優先されているのは、現状維持」

2.痩せるために、本当にすべきことは?

では、痩せるためには何をすればいいのか??ということですが、本当にすべきことは、現状維持の基準点である基本体重(Base Weight)それ自体を下げることです。そうすれば、食べても運動しなくても太らないので、基本的にリバウンドもしないと考えます。基本体重(BW)の下げ方については、以下をご覧ください。

【関連記事】➡「正しく痩せるためには2段階のプロセスが必要」

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飢餓と相対性で考える、太るメカニズムさんの投稿 2019年10月27日日曜日