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2021.05.12

親子の体型が似るのは遺伝か、それとも生活環境か?

<目次>

  1. 養子の体型は「生みの親」に似るのか、「育ての親」に似るのか?
  2. 別々に育てられた双子の体重は?
  3. 肥満における遺伝的な要素とは
  4. ”環境の変化” とは何か?

肥満は親から子供に遺伝するのでしょうか?
例えば、小学生の頃のクラスの同級生を思い出してみよう。

100%がそうではないにしても、両親が痩せていれば子供も痩せていることが多く、両親が太っていれば子供も太っていることが多い、というのはある程度想像できる。

ここで問題は、それが遺伝子によるものであるのか、それとも生活環境によるものなのかということである。そのような調査があったのでご紹介します。

1.養子の体型は「生みの親」に似るのか、「育ての親」に似るのか?

(「The Obesity Code」医学博士:ジェイソン・ファン著)より引用

遺伝と環境的要因が肥満にどのような影響を与えているのかを調べるには、古典的な方法としては、「養子を迎え入れた家族」を研究してみるといい。

たいてい生みの親の情報は未公開であることが多く、研究者が容易に入手することはできない。だが幸いデンマークで、養子縁組に関する情報が比較的完全な形で残されており、双方の情報も記録されていた。そこでアルバート・J・スタンカード博士は、デンマークで養子になった540人の成人をサンプルとして取り上げ、それぞれ「生みの親」と「育ての親」との比較を行った。

養父母

もし肥満に最も影響を与えているのが環境的な要因だとすれば、養子は養父母に似るはずで、逆に、もし遺伝的要素が最も影響を与えるのであれば、彼らは「生みの親」に似るはずである。

その結果、養父母と養子の体重に、相関関係は全く見られなかった。養父母が痩せていても太っていても、養子が大人になったときの体重に違いは出なかったのだ。とても太っている養子がとても痩せている養父母に育てられている事例もあった。

一方、養子を生みの親と比べたところ、全く異なる結果がでた。こちらは双方の体重に一貫した相関関係が見られたのだ。生みの親は育児にほとんど、あるいはまったく関与しておらず、食事の大切さや運動の習慣を教えていない。それにもかかわらず、太っている両親の子供を、痩せている親のもとでで育てたケースでも、子供はやはり肥満になった。


▽この発見は、研究者にとってかなり衝撃的だった。カロリーに主眼をおいたそれまでの一般的な理論では「環境的な要因と個人の行動が肥満を招くもの」として非難されていたからだ。

食習慣、ファーストフード、甘いお菓子、運動不足、車の普及などが肥満を助長する重大事項とされていたからだ。

だが、スタンカード博士は、「実際には、肥満と環境的要因は関係がない」という研究結果を打ち出した。

2.別々に育てられた双子の体重は?

環境的な要因を見分けるのに有効な手法として、「別々の環境で育てられた一卵性の双子研究」もある。スタンカード博士は1991年、別々に育てられた一卵性・二卵性の双子と、一緒に育てられた一卵性・二卵性の双子について調査した。

双子姉妹

またしてもその調査結果は、肥満研究者たちに衝撃を与えるものだった。
肥満を決定づける要素のおよそ70%が遺伝によるもの」という結果が出たのだ。

(~略~)だが同時に、これだけ肥満が蔓延しているのは遺伝だけが要因ではないとも言える。肥満の発生率はこの数十年、比較的一定に推移してきた。それが1970年代から急激に広がっている。人間の遺伝子がそんな短期間に変化するはずがない。この矛盾はどう説明すればいいのだろうか?(引用以上)

3.肥満における遺伝的な要素とは

私は、遺伝的な要素についてはもちろん否定はしていない。大きく影響するのは「食べ物を早く消化できる能力(消化酵素、ホルモンなど)」「(食に影響する)性格」などと考えているのだ。もちろん、身長や体型が親に似るように、それ以外に影響を与える因子があるのかも知れない。

しかし同じ物を食べていても、太りやすい人はさらに太りやすくなるのに対し、太らない人は年をとっても痩せたままでいるのは、「肥満遺伝子」などではない。それは私の理論で説明できる。
【詳しくはこちら】腸の飢餓状態でなぜ太るのか?

子供の肥満

▽ここで1つ注目すべきことは、幼少期(例えば3才~4才頃)の体型(痩せてたり、太っていたり)が大人になっても継続しやすいということだと思っている。
小学1、2年の頃の同級生を思い出しても、太っていた女の子、男の子が(彼らは決して大食いではなかったが)数十年経っても似たような体型であることが多い。

私の理論から言えば、基本体重(BW)が変化しないということなのかも知れないが、幼少期の肥満体型が何によるものなのか? 遺伝子なのか、それとも”離乳食含めて幼少期の食事の与え方”なのかは疑問の残るところであった。


しかし、「肥満と環境的要因は関係がない」というのには、この調査のあり方自体にも問題があると考える。
著者が言われるように近年(1970年頃~)の肥満の増加は間違いなく遺伝子だけでなく、私達の生活環境(私達が食べている物、不規則な生活)が影響しているといえるだろう。

4.”環境の変化” とは何か?

この調査では、”生みの親”のデータも見れたということで、非常に興味深い調査であると思う。しかし、その結果だけで「遺伝子の影響が環境要因よりも大きい」と断言できるだろうか?

若い頃スリムであった人でさえ、ある年代から何かをきっかけに(一人暮らし、結婚、仕事のストレスなど)10キロ、20キロと極端に体重を増加させることがある。ダイエットに挑戦するたびに、体重が増加してしまう人もいる。
つまり食べる物や生活環境が変われば体型も変わることがある、ということを私達は知っている。


▽この調査で、私が疑問に思う点は以下である。

(1)養父母として子供を引き取るくらいの家であれば、ある程度収入や余裕があり、ある程度バランスの良い食事を1日3回、子供に食べさすのではないだろうか?家庭によって献立や摂取カロリーは違うだろうが、多少生活環境が変化したくらいでは、それは私の言う基本体重(Base Weight)を大きく変化させる理由とはならない。
それに対して、もし森三中の黒沢さんのような家庭ならどうであろう?黒沢さんは朝食の存在を中学1年まで知らなかった(お母さんが作らなかった)らしいが、そういう極端な違いなら間違いなく環境の変化は影響を与えるだろう。

(2)養父母が痩せていたとしても、その子供が欲しがる好きな食べ物を与えたとも限らない。子供が好き嫌いで野菜を食べなかったのかも分からない。この結果だけでは判断できない部分ではないだろうか?

ここで、体重に変化をもたらす『環境の変化』とは何だろうか?
この調査での、”養子を迎え入れた夫婦、別々に育てられた双子” というだけでは、私の理論から言えば、基本体重(BW)を大きく変化させるものではないと考える。その場合、極幼少期の体型や遺伝的要素などが優先するのではないだろうか・・・?

それとは逆に、腸内飢餓によって基本体重が大きく変化するのは、いくつかの条件3要素+1が重なり合った時である。この場合、体重は大きく変化する可能性がある。
【関連記事】
腸内飢餓をつくる(3要素+1)

今や同じ家で生活する血のつながった家族であっても、同じ食べ物を、同じ頻度で同じ時間に食べている訳ではない。
母親があえて別々のものを食べさすことはないだろうが、朝食を食べない子供、夜の遅いお父さん、好き嫌いで野菜などを食べない子供、昼を簡単に済ます主婦など、家族の中でも食べ方の多様化が出てきているのではないだろうか?

家族の中で一人だけ極端に肥満の子供なども数人見たことがあるが、それは私から言えば、同じ家族であっても体重に変化を与える『環境の変化』の結果と言えるだろう。(これについては、別の記事で詳しく書きます。)

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飢餓と相対性で考える、太るメカニズムさんの投稿 2019年10月27日日曜日