— トピックス —
代謝
2025.12.12
減量後に体重のリバウンドを促進する生物学的反応
要 約
カロリー制限によって個人が体重を減らすと、代謝、神経内分泌、自律神経、行動の変化の協調的な作用を伴う適応反応が引き起こされ、体重の再増加が促される。これは、減量のためのカロリー制限がしばしば失敗する理由を説明できる可能性がある。
(1) 代謝適応
個人がカロリー制限によって体重を減らすと、体組成の変化などから予測されるよりも有意に安静時エネルギー消費量が低下する。これは、減量を維持しようとする痩せた人にも肥満の人にも作用し、体重が戻るのに理想的な状況を作り出す。
(2) 内分泌機能
消化管と脂肪組織から分泌される多くのホルモン(レプチン、グレリン、ペプチドYY、コレシストキニンなど)が食欲、食物摂取量、エネルギー消費量の調節に関与している。カロリー制限による減量は満腹感の低下と空腹感の増加を同時に引き起こし、過食を促す可能性がある。
(3) 食物報酬、依存症との類似性
美味しいものを食べると、脳内ではドーパミンなどの神経伝達物質が分泌され、脳内の報酬系という神経回路が活性化される。この快感をもう一度得たいという欲求が、次の食事への動機づけとなる。カロリー制限や絶食は、食物、特に高カロリーで美味しい食品の報酬価値を高める可能性がある。
(4) 抑制系、過食
ダイエットの短期的な成功は、行動制御に関わる抑制性神経反応の亢進が、「食べたい」という欲求を一時的に克服できることにより説明できる。しかし食事制限が長引くに連れ、脳の報酬関連領域の活性化が抑制系を上回り、美味しい食品を食べたいという衝動が抑えられなくなる可能性がある。
(5) 脂肪細胞密度
減量によって脂肪細胞の大きさは縮小するが、数は基本的に変化しません。ただし、体重が再増加する段階で、脂肪細胞が新たに増える(過形成)可能性はゼロではないと指摘する研究者もいる。もし過形成が起これば、これらの脂肪細胞が再び肥大し、結果的に脂肪組織全体の拡大が促進される可能性がある。
(6) 腸内飢餓
上記(1)~(5)とは異なり、エネルギーの大幅な不足が契機となり引き起こされる訳ではない。
<結 論>
一部の研究者は、「これらの減量後に体重の再増加を促す生物学的力は非常に強力であり、克服するのは容易ではない」と指摘する。私は、こうした反応を「克服する」のではなく、できるだけ強く起こさないようにすることが重要であると考えます。
具体的には、長時間にわたり空腹を我慢するのではなく、カロリーを調整しつつも、栄養価があり、加工度の低い食物を多く摂ることが大切です。それによって満腹感を持続させ、空腹感を減らすことがポイントです。
【全 文】
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<目次>
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1.リバウンドを促進する多様なメカニズム
(1)代謝適応
(2)内分泌機能
(3)食物報酬、依存症との類似性
(4)抑制系、過食
(5)脂肪細胞密度
(6)腸内飢餓2.結 論
<はじめに>
「肥満者は食べる量を減らし、運動するように」という処方箋は、十分に文書化された失敗にもかかわらず、今日でも体重管理のためのアプローチとして一般的に、広く使われている[1]。減量した体重のほとんどは長期的にリバウンドすることが示唆されているのだ[2]。
遺伝学、疫学、生理学の研究によると、体脂肪/体重は制御されていることが判明しており、減量を維持しようとすると、代謝、神経内分泌、自律神経、行動の変化の協調的な作用を伴う適応反応が引き起こされ、減量した体重の維持に「対抗」することが示されています[4]。
今回はその様な、減量後に体重を戻し、さらなる増加を促す可能性のある生物学的メカニズムについて、簡単に紹介します。私の腸内飢餓の理論についても、その違いを説明したいと思います。
1.リバウンドを促進する多様なメカニズム
(1)代謝適応
エネルギー制限は安静時エネルギー消費量(REE)の減少と関連している[5]。多くの研究では、行動的な減量により、体組成の変化や食べ物の熱効果に基づいて予測されるよりも、安静時および総エネルギー消費量が有意に大きく減少すると報告されている[4,6]。
この現象は適応性熱産生(AT)または代謝適応と呼ばれ、体重が戻るのに理想的な状況を作り出す[7]。
代謝適応は、身体が飢餓状態と認識した際に、生存に必要なエネルギーコストを低下させ、延命を図る反応として目的論的に解釈することができるが、興味深いのは、肥満の人にも同様に作用し、エネルギー貯蔵量(体脂肪)の大小によって弱められないように見えることである[7,8]。

(著作者 rawpixel.com /出典:Freepik)
しかし、その開始時期についての証拠は一貫性がない[9]。いくつかの研究では、エネルギー制限から1週間以内にATを検出した。これは、インスリンの急激な低下、グリコーゲン貯蔵の枯渇、細胞内外の液体の損失に関連している[10]。
対照的に多くの証拠は、ATの発症するまでに数週間かかることを示唆しており[11]、これは、主に貯蔵脂肪の減少によるレプチン分泌の低下に関連している[9,12]。
ATの持続性についても議論の余地が残るが[7]、エネルギーバランスが回復した後も代謝適応が何年にも渡って続く可能性が指摘されている[13]。
(2)内分泌機能
消化管と脂肪組織から分泌される多くのホルモンが食欲、食物摂取量、エネルギー消費量、および体重の調節に関与していることがわかっています [14, 15]。
レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、満腹中枢を刺激することで食欲を抑え、エネルギー消費を増加させることで体重を調節します。レプチンレベルが高いと脳はエネルギー貯蔵量が多いと解釈し、レプチンレベルが低いとエネルギー貯蔵量が少ないと解釈します[16]。
レプチンは、エネルギー制限後 24 時間以内に低下すると確認されているが [17]、多くの研究では、脂肪組織の損失に対して予想されるよりも大きなレプチンの減少が報告されています[18,19]。レプチンの主な役割は、体重調節そのものではなく、飢餓の防止である可能性が示唆されており[15, 20]、レプチンレベルが閾値(特定の反応の起こる境界値 [注1])未満になると、まだ豊富な脂肪が蓄積しているにもかかわらず、飢餓防御反応が誘発され[17]、代謝率と身体活動性が低下し、空腹感が増加する[ 21,22]。
(注1)この閾値は脂肪組織の増加に伴い上昇すると提案されている[17]。
さらに、減量した人において、食欲促進ホルモンであるグレリンの増加と、食後満腹シグナルであるペプチドYY(PYY)とコレシストキニン(CCK)の減少が観察されています[23]。
したがって、行動的な減量は満腹感の低下と空腹感の増加を同時に引き起こし、過食を促す可能性があります[15]。
(3)食物報酬、依存症との類似性
食物報酬とは、食事をすることで得られる快感や満足感と、「また食べたい」という欲求(動機付け)が生まれる脳の仕組みです。脳内の報酬系という神経回路が活性化され、ドーパミンなどの神経伝達物質が放出されることで、幸福感や食欲増進につながります。

(著作者 rawpixel.com /出典:Freepik)
食物摂取量の調節には、恒常性因子と非恒常性(快楽的)因子の密接な相互関係があります。
前者は栄養必要量に関連し、血液と脂肪貯蔵庫内の利用可能なエネルギーを監視し、エネルギーバランスを維持する。後者の多くは脳の報酬系に関連しています[24,25]。
食事量を決定する機構は多くの場合は恒常的であるが、報酬関連シグナルは、本来は安定した体重を維持するために働く恒常性シグナル(満腹感)を容易に無効化するため、過食につながる可能性があります[25,26]。
現代の神経画像技術を用いた実験により、栄養状態(例:空腹時 vs. 摂食時)と食物刺激(例:高カロリー vs. 低カロリー、食欲をそそる vs. 味気ない食品)は、どちらも脳報酬系の活動を変化させることが知られている[27,28,29]。
健康的な被験者を対象とした最近の研究では、短期又は長期のカロリー制限や絶食は、食物、特に高カロリーで美味しい食品の報酬価値を高める可能性があることが示された[27,30]。
これらの研究結果は、減量のためのエネルギー制限食がしばしば失敗する理由を説明できるかもしれません[28,30]。
<食品中毒、薬物との違い>
薬物と食品は共通する特性を持つ一方で、質的および量的にも異なる点があります。
コカインなどの乱用薬物は脳のドーパミン回路に直接影響を与えるが、食品は「間接的」であり、味や匂いといった感覚からの信号、消化管などに存在する栄養センサー[31]、食べ物の消化吸収によって生成されるホルモンの働きを通じて脳に伝達され、ドーパミン回路が活性化される[25]。

砂糖、甘味料、塩、脂肪などの食品成分に依存性プロセスを引き起こす可能性があるかどうかは議論されているが[25]、脂肪や糖分を含む高カロリーな食品(例えば、チョコレート、アイスクリーム、クッキー)や塩味のスナック菓子などは、ストレスの多い現代社会では快楽と満足感を生み出す強力な報酬となるため、「食品中毒」という概念で薬物中毒との類似性が指摘されている[32,33]。
(4)抑制系、過食
食物摂取は、主として、恒常性維持系、報酬関連系、抑制系という3つの相互作用する神経系によって調節される[15]。抑制系は、主に自制心や意思決定をつかさどる脳領域が関与しており、食行動を調整し、過剰な食物摂取を抑制するのに役立っている[34]。
<食物報酬の認知制御>
人間では、おいしい食べ物を求める行動欲求は認知、特に実行機能によって抑制されます。日常生活における中心的なジレンマの一つは、自分の内的目標(例えば、健康維持や体重管理のためにスイーツを控える)と、食欲をそそる食物を摂取するという目先の報酬とのバランスを取ることです。
この葛藤は、食べたくて仕方ない食べ物(例えば、ドーナツやピザ)がすぐに手に入る場合に特に困難です[25]。

(著作者及び出典: Freepik)
ダイエットの短期的な成功は、抑制性神経反応の亢進が、おいしく高カロリーな食品を消費するという神経生物学的衝動を一時的に克服できることを示唆している[35]。
しかし、最近の証拠は、報酬関連神経シグナル伝達が抑制性シグナル伝達と連動して活性化されることを示している[36]。
つまり、簡単に言えば、食事制限が長引くに連れ、食欲をそそる美味しい食品を食べたいという衝動が抑えられなくなる可能性がある。
若者を対象とした前向き研究、並びにげっ歯類による動物実験の結果は、24時間の断食や無脂肪食を特徴とする著しいカロリー制限は、将来の無茶食いや神経性過食症の発症リスクを高める可能性を示唆している[37,38]。
(5)脂肪細胞密度
減量ダイエットでは脂肪細胞の大きさは縮小するが、脂肪細胞の数は減らない[39]。体重が抑制されていた人の体重再増加が、過形成(脂肪細胞数の増加)によって促進されるかどうかはまだはっきりと分かっていないが[15]、肥満ラットによる研究では、絶食後の再給餌で脂肪細胞数の増加(過形成)が観察された[40]。
人においても、以下の可能性が指摘されている[15]。
通常、エネルギーが不足しているときには、脂肪貯蔵庫のトリグリセリドは分解され、細胞にエネルギーを供給します。
しかし、脂肪分解の速度は脂肪細胞の大きさと細胞表面積に関連しているようであり[41]、脂肪細胞が小さくなることで脂肪分解の速度が低くなります。
サイズが縮小した脂肪細胞が脂肪の分解を減らすように、そしてより多くの脂肪を貯蔵するように改変された場合、これらの脂肪細胞が再び肥大し、結果的に脂肪組織全体の拡大が促進される可能性が指摘されている[15,42]。

(著作者 brgfx /出典 Freepik)
(6)腸内飢餓
上記の(1)~(5)の反応は、グリコーゲンの枯渇や貯蔵脂肪の大幅な減少を契機とする一連の抗飢餓又は抗減量メカニズム(注2)と考えられている[15]。その一方で、私の言う「腸内飢餓」はエネルギーの大幅な不足によるものではない。
腸内飢餓は、減量目的の厳格な食事制限(食事を抜く、極少量しか食べない)で引き起こされる場合もあるが、より気軽なダイエットや、減量とは直接関係のない生活習慣(朝食抜き、軽い昼食、遅い夕食、一日二食など)でも引き起こされる可能性があります。
【関連記事】「腸内飢餓」の定義:肥満多因子モデルへの適用
また腸内飢餓が引き起こされると、体重の設定値の上昇を示唆する体重増加が起こると私は考えていますが、それは体脂肪だけでなく筋肉など徐脂肪組織も含むと想定しています。よって、腹部や全身の体脂肪の異常な増加を特徴とする体重増加メカニズムとは異なる可能性があります。
(注2)これらの反応は、十分なエネルギー貯蔵量があるにもかかわらず作動するため、一部の研究者は抗飢餓ではなく抗減量メカニズムという表現を好む[15]。
2.結 論
今回、言及した上記 (1)~(5)のメカニズムと直接的な体重増加促進作用についての因果関係はまだ証明されている訳ではないが[15]、ダイエット後にリバウンドを経験したことのある多くの人にとって、共感できる部分が多々あるのではないだろうか?
一部の研究者は、「これらの減量に抵抗し失った体重を取り戻そうとする生物学的力は非常に強力であり、行動介入によって減量を試みる人のほとんどにとって克服できそうにない」と指摘する一方で、長期的な減量を達成するには、これら生物学的メカニズムを弱める介入法の開発の必要性にも言及している[15]。
▽私の考えとしては、これら生物学的力を克服しようとするのではなく、抗飢餓(抗減量)メカニズムをなるべく呼び起さないことが必要だと考えます。
現在は「カロリーの摂り過ぎや運動不足」が肥満の原因と考えられているため、その逆をすること、つまり「摂取カロリーを減らして運動をする」ことが推奨されていますが、多くの人は、軽い食事にしたり極少量だけ食べ、長時間の空腹に耐えようとします。食物報酬及び抑制系の知見から明らかな様に、それは明らかに人体のメカニズムを無視しています。
私はむしろ、以下のような方法をお勧めします。
(a) 主に精製炭水化物を減らし、摂取カロリーを調整する。しかし、極端な減らし方は避けます。
(b) その他の食品(繊維の豊富な野菜や海藻、乳製品、加工度の低い肉・魚、ナッツなど)はむしろ増やす。特に、難消化性食品や消化に時間のかかる食品(注3)を多く摂る。
この食事法を継続することによって、腸脳軸を通じて「食べ物が十分にある」というシグナルが伝達される可能性がある。満腹感を持続させ、空腹感を減らすことが重要です。
さらに、消化管や体の他の部分にある栄養センサーも、食事中および食後の食物報酬の生成に寄与していると示唆されており[43]、ゆっくり嚙んで味わって食べることによって、味蕾からの即時の報酬だけではなく、食事が終わった後も長く続く報酬(満足感)が得られる[44]。
(注3)オイルやナッツなどの高カロリーな食品も、摂取の仕方によっては問題ないと考えている。
現在の肥満の蔓延は、現代の豊かな食環境と、食料が乏しい環境で進化した生物学的反応パターンとの不一致として説明されることがあり[44, 45]、その観点から、美味しい食べ物が容易に手に入る環境下では、日常の3~5時間程の空腹であっても、食べ方によっては、長期的に体脂肪の増加を促す可能性があると私は考えているのです。
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[3](削除)
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2022.09.25
摂取カロリーを減らすと、体は自動的に消費を減らす
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目次
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- 運動以外の「消費エネルギー」は一定ではない
- 摂取カロリーを減らした時に何が起きるのか?
- 摂取と消費は相互に依存している(私の感想)
<まとめ>
以下の記事で、「ダイエット(食べる量を減らす、運動をする)が上手くいかなかった」という研究結果をいくつか見てきましたが、多くのダイエット経験者が感じるのは『減った体重が思ったよりもはるかに少ない』ということではないでしょうか?
【関連記事】ダイエットは、長期的にはほぼ成果なし
今回は単に、『摂取カロリーを減らせば、体にどんな反応が起こるのか』について見ていきたいと思います。これまでに、従来のカロリー制限系のダイエットをしたことのある人にとっては、身に覚えのあることだと思います。ほとんどが引用になってしまうのですが、とても興味深い内容なので紹介します。
1.運動以外の「消費エネルギー」は一定ではない
「The Obesity Code」Dr. ジェイソン・ファン著(2019年)より引用
"私たちは摂取カロリーのことは気にするくせに、「運動以外で消費されるカロリー」のことはほとんど考えない。摂取カロリーを計算するのは簡単にできるが、体全体のエネルギー消費量の計算は複雑だ。
エネルギーがどう消費されるかはホルモンによって自動的にコントロールされるため、私たちが意識的にコントロールできるのは運動によるエネルギー消費だけとなる。
「脂肪の蓄積にこれくらい、新しい骨の形成にはこれくらいのエネルギーを振り分けよう」と自分で決めることはできない。
だから、運動以外で消費されるエネルギーは「常に一定である」というわかりやすい仮説が生まれたのだが、これは完全に間違いである。

基礎代謝量、食事による熱発生効果、非運動性熱産生、運動後過剰酸素消費量、それから運動によって消費されたものをすべて足し合わせたものが、「総エネルギー消費量」だが、この数値は、摂取カロリーやその他の要因で、人によっては50%も前後する。(略)
仮に、私たちが一日に2,000 kcalの化学エネルギー (食べ物)を摂り入れるとしよう。この2,000 kcalはどのような代謝活動に使われるだろうか? 可能性として挙げられるのは、次のようなものだ。
・熱の発生 ・たんぱく質の合成 ・新しい骨や筋肉の形成・認知(脳) ・心拍数の上昇 ・1回拍出量(心臓が1回の拍動で送り出す血液の量)の増加 ・身体運動 ・解毒作用(肝臓、腎臓) ・消化(すい臓、腸) ・呼吸(肺) ・排泄(腸および結腸) ・脂肪の生成

私たちは、摂取したエネルギーが燃やされて熱になっても、たんぱく質の合成に使われてもまったく気にしないのに、ことエネルギーが脂肪として蓄えられるとなると気になって仕方がなくなる。
だが、人間の体が過剰なエネルギーを消費する方法は、体脂肪として蓄えるほかにも無数にあるのだ。"(略)
(ジェイソン・ファン. 2019. The Obesity Code. サンマーク出版. Pages 67, 74-6.)
2.摂取カロリーを減らした時に何が起きるのか?
<ワシントンでのカロリー制限実験>
"1919年、ワシントンのカーネギー研究所で、摂取カロリーを減らしたときにエネル ギーの総消費量がどのように変化するかについての詳しい研究が行われた。
研究対象とな ったボランティアは、1日1,400 kcalから2,100 kcal程度に食事を制限する半飢餓状態におかれ、経過を観察される。これは通常の摂取カロリーより30 %削減された食事である(今日の減量のための食事療法では、ほぼ同じレベルのカロリー 制限が課されている)。
その結果、実験参加者の総エネルギー消費量は 30%も減少し、平均して、実験前のおよそ3,000 kcalから1,950 kcalに減っていた。100年近くも前から、摂取カロ リーは消費カロリーに深く関わっていることが明らかだったわけだ。
<ミネソタ飢餓実験>
その数十年後の1944年~45年、今度はアンセル・キーズ博士(1904~2004年)が飢餓実験を行っている。(略)
ミネソタの実験では、カロリー制限をしている時期と、飢餓状態からの回復期における人間の状態を理解する目的で行われた。(略)
実験内容はこうだ。被験者は平均身長 178センチ、平均体重 68・3キロの健康で、平均的な体格の若い男性36人。
始めの3か月、被験者は1日の摂取カロリーを 3,200 kcalとする、ごく標準的な食生活を送った。次の6か月は半飢餓状態にするため、1,570 kcalのみが与えられたが、目標である体重24%減(もとの体重比)を達成するよう摂取カロリーの調整が行われたため、1日の摂取カロリーを 1,000 kcal未満に制限された男性もいた。

与えられた食事は高炭水化物のものばかりで、ちょうど 戦後の荒廃したヨーロッパで手に入る食べ物と同じようなもの(ジャガイモ、パン、マカ ロニなど)が与えられた。肉や乳製品などはほとんど与えられなかった。加えて、彼らは 運動として週に22キロ歩かされた。
カロリー制限の時期が終わると、3か月間のリハビリ期間に入り、この間、徐々に摂取カロリーを3,000 kcalまで増やしていく。
いったい何が起こったのか。
実験を始めるまで、被験者たちは一日 約3,000 kcalを摂り、消費していた。それが突然、摂取カロリーを1日約1,500 kcalに減らされたことで、体の機能は30~40%のエネルギー削減を余儀なくされ、彼らの体内では混乱が生じたのだ。
- 体温が下がる。その結果、常に寒けを覚える。
- 心臓のポンプ機能が弱くなり、心拍数と1回拍出量が減る。
- 血圧が過度に下がる。
- 脳の認知機能が弱くなる。倦怠感を覚え、集中力が欠如する。
- 動けなくなり、身体活動が不活発になる。
- 髪や爪が生え変わらなくなり、爪が割れ、髪が抜ける。
毎日1,500 kcalしか摂取しないのに、体が毎日3,000 kcalのエネルギーを使い続けたとしたら、いずれ死に至る。当然である。だから、体はエネルギーのバランスをとるため、自動的に1日の消費カロリーを1,500 kcalに抑えようとするのだ。(略)ミネソタ飢餓実験の被験者たちは35・3キロほど体重が落ちる計算だったが、実際に落ちたのは16・8キロだけで、予測の半分以下にとどまった。
そのあと、被験者の体重はどうなっただろうか?
半飢餓状態にあるとき、体脂肪は体重よりもずっと速く落ちていった。体に力を与えるため、体内に蓄積されていた脂肪から先に使われていくからだ。回復期に入ると、被験者の体重はおよそ12週間で元に戻った。だが、体重はその後も増え続け、結果的に実験前の体重よりも重たくなってしまった。(略)

摂取カロリーを減らすと消費カロリーも必然的に減るので、「摂取カロリーを減らせば 体重が減る」という理論の根幹となる仮定条件が、そもそも間違っているのだ。この結論は、これまでに何度も証明されてきた。
それでも私たちは、「今回のダイエットこそはどうか成功しますように」と願い続けている。
うまくいくことはない。カロリー制限をしたり、1回の食事量を減らしたりしても、倦怠感と空腹感を覚えるだけなのだ、と。最悪なのは...減った体重がすべて元に戻ってしまうことである。"(引用以上)
(ジェイソン・ファン. The Obesity Code. Pages 78-87.)
3.摂取と消費は相互に依存している(私の感想)
「ミネソタ飢餓実験」について少し気になった点は、被験者が実験に入る前に食べていた 3,200 kcalが平均体重68キロの人が必要とする1日の摂取カロリーより高い気がした。これをベースに試験開始後のカロリー(1,570kcal)と比較するのは適正なのかということである。
もう一つは、この実験では被験者は肉や乳製品はほとんど与えられなかったということだが、微量栄養素(鉄、カルシウム、銅、亜鉛)やビタミン、タンパク質などは代謝に関わる栄養素もあるし、その不足は様々な病状を引き起こす。つまり被験者に起こった様々な症状は単に『カロリー摂取量』だけの問題ではないはずだ。この点は考慮して欲しい。
しかし、実験の本来の目的、その規模、過酷さを考えるとこのデータは貴重なものであると思うし、尊重しないといけないと思う。
▽私は痩せているのでダイエットはしたことはないが、同じ様な体の反応はもちろん経験がある。
30代の時、京都の和食店で働いていたが、忙しい桜や紅葉・年末の時期は休憩も食事もなしで12時間以上働く時もよくあった。体が疲れているので、無駄な動きはしないようになり、指先は冷たくなる。栄養分や酸素を細胞に運ぶために心臓の鼓動が激しくなる。元気に振舞ってはいても口数は減り、仕事の後の食べ物のことしか考えなくなる。
現在は調理の仕事は辞めているが、健康診断の時(朝食を抜いているので)、私の脈拍数は1分間に35程度の時がある。医者に「低すぎるからペースメーカーを入れた方がいい」と言われたこともあるが、断っている。
私は血液が少ないのは自分が分かっているから、血液を無理に循環させても別のところに歪(ひずみ)が来てしまうのではないかと思ったし、体が無駄なエネルギーを使わないためにワザと代謝を低く調整しているのだとも思っている。すべては、自分の意思とは関係がない。ホルモンのなせる技である。

ゲーリー・トーベス氏が、「人はなぜ太るのか」で説明されたように、私たちはロボットではない。人間を含め動物はすべて命を最優先にするため、脳・心臓・肺・肝臓などをストップさせることはできない。
そのため食事を制限された動物は無意識に不活発になったり、優先度の低い可能なところから少しづつ代謝を減らすと考えるのは妥当ではないだろうか?
摂取カロリーと消費カロリーは、相互に依存している。数学的に言うなら独立変数ではなく、従属変数である。[1]
(引用元: [1] ゲーリー・トーベス,「人はなぜ太るのか」, P.89)
まとめ
(1) 運動以外で消費される(基礎代謝などの)消費エネルギーはホルモンにより自動でコントロールされるが、その値は一定ではない。摂取カロリーを減らせば、消費されるエネルギーも減ることが確認されている。
(2) 1919年、ワシントンのカーネギー研究所で行われた研究では、摂取カロリーが30 %削減されると総エネルギー消費量もおよそ30%も減少した。
(3) 1944年に行われたミネソタ飢餓実験では、被験者たちは摂取カロリーを約3千kcalから約1,500 kcalに減らされたことで、体の機能は30~40 %のエネルギー削減を余儀なくされた。体重減少だけでなく様々な症状が確認された。
(4) 戦争、飢饉または科学実験で半飢餓状態におかれた人たちは、いつも空腹を感じるだけでなく、無気力になり、エネルギー消費量も少ない。体温が低下するため、彼らは常に寒さを感じる傾向にある。私たちが摂取するエネルギーと消費するエネルギーは相互に依存している。
2014.07.12
太っている人のほうが、基礎代謝は高かった!

スリムな体を手にいれるための常識として、(日本では)一般的に、「運動で筋肉をつけ、基礎代謝をアップさせれば太りにくい体になる」と言われています。
そうです。基礎代謝による消費カロリーは、一日の消費カロリー全体の60~70%にあたるため、そう言われているのです。(注:仕事の強度により、一日の消費カロリーには差異があります)。
私は痩せているので、これには疑問をもっていましたが数年前にNHKで参考になる番組がありました。
かなり前の放送ですが、
『ためしてガッテン』 ”決定版、こんな簡単に痩せちゃいました SP” (2011年1月5日放送)
ムキムキの「筋肉はつらつチーム」と、ちょっと太めの「痩せられないチーム」の基礎代謝を精密に測定できる研究機関で調べたところ、なんと太目の女性チームのほうが基礎代謝が高いことが判明・・・。
アジアンの隅田さんと馬場園さんの基礎代謝も測ったところ、これも馬場園さんのほうが高かったのです。
実は基礎代謝の中で一番多く占めるのが、脳と内臓(心臓や肝臓)であり、筋肉は20%にすぎないのです。

50gのご飯(約80kcal)を消費しようと思うと、その筋肉量は、実に約2.8kgのお肉に相当します。
痩せる体質になるには相当の筋肉が必要のようですが、これでは筋肉デブになってしまいます。
そもそも基礎代謝とは、"何もしないときの消費エネルギー"なので、筋肉をつけてもあまり関係ないようです。このSPでは、実は痩せている人は小まめに動く人である~ということで、「活動代謝」を増やすことが大切である・・・と締めくくっています。
■ここで、基礎代謝について調べると、一般的な計算方法では、年齢による[基礎代謝基準値] に [体重]をかけたものなので(wikipediaより)、痩せている人のほうが基礎代謝が低くなり、太っている人が高くなります。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18~29 | 24.0 | 23.6 |
| 30~49 | 22.3 | 21.7 |
35歳で50キロと75キロの男性を比較すると、実に500キロカロリー以上も違います。
22.3 × 50キロ=1,115 kcal
22.3 × 75キロ=1,672 kcal
▽もう1つの算出方法は、ハリス-ベネディクト(HBE)という計算方法です。
[男性]
[基礎代謝] (kcal/day)= 66.473+13.7516 [w]+5.0033 [h]-6.7550 [a]
w=体重 (kg), h=身長(cm), a=年齢
これら両方の算式でお分かりの通り、同じ年齢であれば、体重のより重たい人(より太っている人)の方が基礎代謝は高くなります。それだけ体が大きいのだから使うエネルギーも多いはずで、当然と言えば当然です。
もちろん、筋力をつけると、この基礎代謝基準値が若干アップするということなのでしょうが・・・
これから判断すると、”痩せている人の方が太りやすく、太っている人の方が痩せやすい” ということになります。
つまり「基礎代謝が高いから痩せている」という話は根拠に乏しいと言えるでしょう。
(「The Obesity Code」より引用)
肥満の人は自分の代謝量は低いと考えがちだが、実はその逆であることが証明されている。
体重が少ないほど総エネルギー消費量は少ない。やせている被験者の平均エネルギー 消費量は2404キロカロリーだが、肥満の人の平均エネルギー消費量は、運動をあまりしていないにもかかわらず、3244キロカロリーだ。
肥満の人の体は、体重を増やそうとしているのではない。余分なエネルギーを燃やして 減らそうとしている。
ではなぜ、肥満の人は肥満なのだろう?
(ジェイソン・ファン, 2019,「The obesity code」, Page 120)

