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2015.03.25
腸内飢餓を加速する3要素(+1)
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目次
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- 偏食と不規則な生活は腸内飢餓を起こりやすくする
- もう一つの重要な要素『+1』とは?
1.偏食と不規則な生活は腸内飢餓を起こりやすくする
今回は「腸内飢餓」の発生原因となりうる3つの要素(プラス 1)についてお話ししたいと思います。
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日本では、カロリー以外で太る原因として、次のような点がよく挙げられます。

日本では、カロリー以外で太る原因として、次のような点がよく挙げられます。
(a)バランスを欠いた食事
・ファーストフード、ジャンクフード
・糖質(炭水化物)の摂り過ぎ
・野菜不足
(b)生活のリズムの乱れ(不規則な生活)
・夕食が夜遅くになる
・朝食又は昼食を抜く
・間食の頻度や内容
これら以外にも、多くの要因が間接的に近年の肥満の増加に関与している可能性があります。
しかし、複数の要因がどのように組み合わさって、社会全体として体重増加が進んでいくのかについては、必ずしも明確になっていません。
私は、その一つの説明として「腸内飢餓」というメカニズムが関与している可能性があると考えています。
腸内飢餓は、単一の要因だけでは起こりにくく、以下で説明する3つの要素(+1)が同時に重なったときに起こりやすくなります。そのため、ばらばらに見える生活習慣や食事内容が、どのように体重増加につながるのかを理解する手がかりになる可能性があります。
その3つの要素とは、以下のものです。
(1)何を食べるのか?
(2)次の食事までの空腹の時間
(3)その人がもつ消化力の強さ(胃酸、消化酵素など)
(1)何を食べるのか?
【関連ワード】野菜不足、バランスの悪い食事、精製炭水化物、消化の良い蛋白質、(超)加工食品、ファーストフード、ジャンクフード
繊維質を含む食品が不足し、精製された炭水化物(デンプン)と消化の良いタンパク質(少量でも可)に偏った食事は、腸内飢餓を最も引き起こしやすくします。
ダイエットのために脂肪分を控える人は多いですが、食事中の脂肪を少なくすると消化が早まり、腸内飢餓はむしろ起こりやすくなります。
それに対し、野菜、果物、海藻、豆類、乳製品、ナッツ類、加工度の低い肉や魚などを含むバランスの良い食事は、腸内飢餓を起こりにくくします。

(著作者:brgfx/出典:Freepik)
これは、GI値(グリセミックインデックス)の低い食品や加工度の低い食品の摂取が、肥満の予防に有効であるとする考えとも一致します。
摂取カロリー量は直接的には関係なく、量が少なくても、食べた物の「質やバランス」によっては腸内飢餓と認識されることがあります。また、食べるスピード、噛む回数、食事中の水分摂取なども、この要素に影響を与える可能性があります。
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(2)次の食事までの空腹の時間
【関連ワード】朝食又は昼食の欠食、遅い夕食、一日二食、間食の頻度
朝食の欠食、夜遅い食事など生活様式の変化によって体重が増加したという人は少なくありません。このような不規則な生活に起因する体重増加の背景には、「食事の間隔」の問題があります。つまり空腹を長時間にわたり我慢していることです。
夜遅い食事が必ずしも体重増加につながるわけではありません。もし食事が夜遅くになるのであれば、夕方にナッツや牛乳、サンドウィッチなど間食して小腹に入れておくことで、腸内飢餓の発生を予防することができます。
(3)その人がもつ消化力の強さ(胃酸、消化酵素など)
【関連ワード】消化力の強さ/弱さ、消化酵素、ホルモン、食欲、胃下垂
同じ食事をしても、胃腸が丈夫で消化能力が高い人は、消化の遅い人に比べて、腸内飢餓が起こりやすくなります。特に、高エネルギー密度の食品が多い現代社会では、たんぱく質や脂質に対する消化能力が、腸内飢餓の発生に大きく影響する可能性があります。
その一方で、胃腸が弱い人や胃下垂の人は、すべての食品を完全に消化すること腸内飢餓の状態をつくること自体が難しい場合もあります。
もし肥満に遺伝的(先天的)な要因があるとすれば、「消化力」や「食欲」を左右する酵素やホルモンの分泌(能力)、受容体の感受性は、大きなウェイトを占めると考えられます(もちろん、これらは後天的な要因によっても変わり得ます)。
2.もう一つの重要な要素「+1」とは?
3要素以外にもう一つ重要な要素を「+1」としましたが、それは「連続性」によって説明できます。
どういうことかというと、今食べ終えた食事だけでなく、「前の食事」や、さらに「その前の食事」で何を食べたかが腸内飢餓の発生に影響します。
例えば、昼食を軽い食事(例:シンプルなハンバーガーとコーヒー)で済ませ、その後、夜の9時まで一切何も食べられなかったとします。
朝食も同様に軽い食事(例:トーストと目玉焼き、マッシュポテト)で済ませている場合、夕刻以降に腸内飢餓が起こる可能性は高くなります。
一方で、朝食で野菜、全粒穀物、海藻、豆、乳製品などをしっかり食べていれば、腸内飢餓のメカニズムは起こりにくくなります(注:もちろん個人差はあります)。

(著作者:brgfx/出典:Freepik)
その理由は、腸の全長が約7〜8m(小腸は約6m)と長く、食べ物が腸全体を通過するまでに、平均して十数時間以上かかるためです。腸内飢餓は腸全体(あるいは小腸のみの可能性もある)で判断されているため、一回の食事だけでなく、「前の食事」やさらに「その前の食事」の影響も受けます。
バランスの良い食事を1日3回とることが肥満の予防につながると考えられているのは、上で説明したことの裏返しでもあるのです。腸が常に適切な質の食物にさらされることが保証され、体が「飢餓状態」と解釈する可能性が低減されるのです。

