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2019.04.05
正しく痩せるためには2段階のプロセスが必要(体重の設定値)
- 『痩せる』にも2通りある
- 体重の設定値(Base Weight)を下げるには?
- 食べて痩せるポイントは?
- 食べた物のカロリー合計が、消費カロリーと合う訳ではない
- 『痩せる』にも2通りある
最近、多くの方から、「実際、痩せるにはどうしたらいいの?」「基本体重を下げるにはどうしたらいいの?」という問合わせを頂きます。このブログはダイエットブログではないのですが、太る理由を書いている以上、痩せる方法も必然的に書く必要があると感じてきました。私が書くのをためらった理由は、実績が少ないことです。
なので、私の考えに基づく "食べて痩せる” 理論 のみを書きたいと思います。
1. 『痩せる』にも2通りある
「太る」という言葉に2通りの意味があるように、「痩せる」という言葉にも2通りの意味があります。
【関連記事】→「”太る”という言葉の2つの意味」
(1)リバウンドする場合
1つ目は食べる量を減らしたり、低脂質の食品で摂取カロリーを減らし、また消費カロリーをアップさせるために運動を増やすことです。この方法では常に空腹を我慢しなければいけません。

人には現状維持的な機能があると考えますが、私はそれに基づく体重を「基本体重=Base Weight」と仮定しました。食べる量(摂取するカロリー)が減って空腹が続けば、体は可能な限りその変化を最小限に抑えようとします。
・最大限に栄養を摂ろうとするため『吸収率』はアップする
・無駄な消費を抑えるため消費カロリー(基礎代謝も)が減る
頑張って、多少は痩せたとしてもそれは一時的な解消にすぎず、元の状態は変化していないので、リバウンドするのがほとんではないでしょうか?
♦以下に、カロリー、糖質、脂質の摂り過ぎが肥満の根本的な原因ではないという文献を紹介します。
(参考文献:「The Obesity Code ー世界最新の太らないカラダー」著者:医学博士 Jason Fung,2019年)

アメリカ国立研究所はおよそ5万人の女性(平均BMI:29.1)を集めて、7年半におよぶ過去最大規模の食事療法(肥満、心臓病等)に関する研究を行った(2006年に研究結果が発表)。
1つのグループ(A)は、摂取カロリーを20%減らし、脂質を減らし、運動を14%アップした。もう一つのグループ(B)はそれまでと変わらない生活をした。

▽結果は、Aのグループは1年で体重が平均1.8キロ減少したが、2年目になると増え始め、実験が終わる頃には大差はなかった(ウエストなどは以前より太った人もいる)。
ある女性は「どうしてなのか分かりません。食事を減らし、運動を増やし、それなのに体重が減らないんです。」(~略~)
▽実は、誰もが認めたがらない真実がある。
「低脂質、低カロリーダイエットは効果がない」とすでに証明されているということだ。(また糖質制限ダイエットについても、長期的には体重が戻ってしまうことが研究で報告されている)(~略~)
低炭水化物ダイエットのもとになった原理は、「食品に含まれる炭水化物(糖質)は血糖値を最も上げる」ということだった。血糖値が高いとインスリンの分泌も増える。インスリンが増えることが肥満の最大原因だ。こうした事実は十分に合理的に見える。一体何がいけなかったのだろう?
<1960年代後半、過食実験>
(食べ過ぎれば太るのが当たり前と思われていたため、実はこの実験はあまり行われていない)
イーサン・シムズ教授は近くにあるバーモント大学で痩せている学生を集め、何でも好きなものを食べて体重を増やすように指示した。だが予想に反して、学生たちは肥満になれなかった。
シムズは学生達が運動を増やしたのではないかと考え、刑務所の受刑者を被験者に選んだ。1日4,000キロカロリーの食事をきちんと食べているかどうかを確かめ、運動も厳しく制限した。すると受刑者たちの体重は初めこそ増えたが、その後は増えなくなった。20%近く増えた者もいたが、この実験が終了したあと、被験者の体重はあっという間に、何の努力もせず、元に戻った。(~略~)
<代謝について>
肥満の人は代謝は低いと考えがちだが、実はその逆であることが証明されている。痩せている被験者の平均エネルギー消費量は 2,404キロカロリーだが、肥満の人の平均は運動をしていないにもかかわらず 3,244キロカロリーだ。では、なぜ肥満の人は肥満なのだろうか?(引用以上)
▽つまりカロリーや糖質を減らしても元に戻ってしまうのは、それが肥満の根本的な原因ではないということを示しています。また痩せている人が代謝が高いというのは、一部のテレビなどで拡散された間違った理論です。
(2)”基本体重” そのものを下げる
もう一つは、現状維持のベースとなる『基本体重』そのものを下げることです。痩せている人が、あなたよりも食べている姿を見たことがあるかもしれませんが、その様に ”食べても太らない体” になることです。

■これに関連する文献を再び引用します。
(参考文献:「The Obesity Code 」著者:Jason Fung)
(体重がリバウンドすることについて)ここで関係する生物学的原理は「恒常性の維持」である。体重や肥満に関しては『設定値』というものが考えられているが、肥満の問題点は、「設定値が高くなっている」ということにある。(~略~)
長年にわたる研究で分かったことが二つある。
一つは「どんなダイエット法も効果的であるということ」。もう一つは「どんなダイエット法も効果的でない」ということ。どういうことかと言うと、地中海式ダイエットもアトキンス・ダイエット(糖質制限)も低脂質、低カロリーダイエットも、短期的には体重はおちる。それはそうだろう。摂取量を控えているのだから・・・。
しかし、しばらくすると体重は減らなくなり、その後、無常にも増え始める。こうしてどんなダイエット法も失敗する。実は半永久的に体重を減らすには「2段階のプロセス」が必要だ。肥満には「短期的な問題」と「長期的な問題」がある。(引用以上)
▽私がこの『基本体重』という考えを初めて提唱したつもりになっていたけど、世界的な研究者が『設定値』という考えを示されたのはまた一歩前進だと思う。(注:著者はこの『設定値』はインスリン抵抗が原因だと考えておられるようで、この後の展開は、私の考えとはかなり異なるものだった。)
2.体重の設定値(Base Weight)を下げるには、どうすべきか?
これは、食べるのを我慢するのではなく、一定の法則に基づき "食べる" ことでできると考えます。なぜなら、太った根本的な原因が長時間の空腹(腸内飢餓のメカニズム)によるものであるのなら、その逆の状態を行うこと、つまり消化の良くない食べ物を腸の中に多く取り入れることで痩せれる(基本体重が下がる)はずだからです。(「消化されていない食べ物が腸の中に沢山残る状態」=体脂肪を蓄えなくていい)
これまでに行われてきたダイエットの中で、低炭水化物ダイエット(肉や脂質はいくら食べてもいい)、肉食ダイエット、地中海式ダイエット、オイルダイエット、低G.I.食品を多く食べることなどは、私の理論に適合する食べ方と言えます。

ある人は、「それらのダイエットを組合わせてるだけじゃないか」と言うかもしれません。しかしポイントは別のところにあると考えるので、むしろ組合わせるべきだと思うのです。
なお、私の言う「基本体重が下がる」というのは、代謝が上がることを意味するのではなく ”吸収率のレベルが下がる” ことによって、食べても太らない体になることを意味しています。
以下のブログで『飢餓状態でなぜ太るのか』について説明しましたが、それと逆のことが起これば、リバウンドなしに痩せることができると考えます。
【関連記事】→「絶対量ではなく相対性の意味」
3.食べて痩せるポイントは?

(写真はイメージ)
ポイントは、あまり『空腹』をつくらないようにお肉、魚、油脂、繊維質の野菜、海藻、ナッツ、乳製品などを分散して食べることだと考えます。(空腹になる時間を減らす。できれば空腹になる手前、80~90%程度の空腹感で食べる)
栄養バランスがいいから痩せるのではなく、腸内に『未消化の物質』を多く残すように食べることがポイントです。
→2つの方法が考えられます。
(1)実際に、食事の改善を中心に行う方法
- 炭水化物(ご飯、パン、芋類)などは1/2~2/3程度に減らす。
- 白米よりも玄米・一度冷めたご飯、パスタならアルデンテ、などのG.I.値の低いもの(消化の良くない物)。
- 逆に、油脂などの脂肪分はむしろ増やす。
- 繊維質の野菜、海藻などを増やす。
- 肉、魚、乳製品、ナッツや小魚なども積極的に取り入れる。(魚について言えば、白身魚よりも、サンマ・イワシ・サバなどの脂質を多く含むものの方が良い)
- 食間に空腹感が続くなら、間食を摂ってもいい。
※もちろん、ランニングなどの有酸素運動や軽い筋トレと組合わせてもいいが、何か食べて運動する。


ここで生じる問題は、作る手間がかかる、食べる時間がない、食費がかかる、などの理由で継続できないことです。
<脂質について>
『脂質』については、私たちにとってエネルギー源でもあるし、同時に太る原因でもあると考えられますが、食べ方によってはダイエット効果がある食べ物であると考えます。脂質がもともと ”太る” と考えられたのは、”栄養密度が濃い” からですが、実は栄養密度が濃いものの方が消化に時間がかかるため、小まめに摂取すると痩せる効果も発揮します。普段食べるのを我慢している人が、「脂肪分を摂ると太る」と言うのは間違いではないでしょうが、あくまで食べ方であり、カロリーの大小で判断できない部分です。
【炭水化物、脂質についての関連記事】
(2)消化酵素の働きを鈍くする。

"いくら食べてもすぐ消化してしまう人、空腹感が抑えられない人" に対しては(1)の方法は効果が薄い可能性があります。中には、普段はカロリーを控えていたため、摂取カロリーが増えた分むしろ太ってしまう人もいるかもしれません。
その場合は食事の改善と併せて、消化酵素の働きを鈍くする酵素(薬)などがあれば同じ効果が得られると考えます。(但し、これが医療行為になるのか不明で、あくまで現時点では理論上です。)
私は、これは肥満の治療に対し適切な方法だと思っています。未消化な物質が腸内に多く残るように、『消化する能力』を逆に落とすことで、(1)の ”多く食べて痩せる” のと同じ効果が得られると考えます。(これは ”痩せている人が痩せたままでいる” のと同じ理由で、極めて自然な方法だと思っています。)また、吸収を抑えるサプリメントなどは空腹感に変化がないので効果は一時的かもしれません。
4.食べた物のカロリー合計が、消費カロリーと合う訳ではない
これまで食べるのを我慢してカロリーを減らし、ダイエットしてきた人にとっては、多く食べて痩せるというのは胡散臭く聞こえるかもしれない。しかし、これはカロリーを減らすことが最終的なポイントではない。
糖質やカロリーを減らすことは、あくまで短期的に体重を落とすのには役立つ。
長期的には、空腹をあまり作らないように消化の良くない食べ物を胃腸に入れることによって、基本体重(設定値)を下げ、”蓄えない体”になることである。(2段階の方法)
▽もちろん、体に『入るエネルギー』と『出るエネルギー』は釣り合うはずだ。釣り合わないといけない。
しかし、それは ”吸収されたエネルギー” と消費されたものが釣り合うのであって、食べたものの表示カロリーの合計ではない。表示カロリーは『燃焼熱』から計算されていると言われており、体の中での反応は化学反応でもっと複雑なはずである。水を飲んでも太るというような人は、表示カロリー以上のエネルギーを得ているだろうし、何を食べても太らないという人は(私も含めて)低いカロリー、栄養しか摂取できていないはずだ。

■食べて痩せる系のダイエットは様々あるが、多くの方が「食べて痩せる」ことに対しいろんな解釈をしている。
- 食べることで代謝がアップした(熱発生効果)。
- トータルでのカロリー又は糖質を結果的に少なくできた。
- 食べた食材の△△成分が体脂肪を分解した。
しかし「人はなぜ太るのか?」と言うことが正しく認識されず、カロリーや糖質の量が肥満の主原因とされている現在、私はどれも(ゼロではないが)本当の理由ではないと思っている。