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2017.02.11

糖質制限(炭水化物抜き)賛成派 VS 反対派の言い分

<目次>

  1. 糖質制限、反対派の意見(まとめ)
  2. 賛成派の意見(まとめ)
  3. 糖質制限の欠点を補う『ロカボ』
  4. 極端を避ける(私の意見)

【関連記事】いま話題のロカボ。炭水化物を減らす意義

古くから糖質制限食(炭水化物抜き)をめぐっては、意見が対立してきました。それは、カロリーが太る原因なのか、それとも糖質(炭水化物)が太る原因なのか?ということだと思います。

そこで、糖質制限食の賛成派と反対派の意見をまとめました。その理論は、今となっては少し古いものも含まれますが、過去の経緯としてまとめましたのでご覧ください。

1.糖質制限、反対派の意見(まとめ)

高たんぱく食
(参考文献:「本当は怖い糖質制限」 岡本卓 著)

<2001年>
アメリカ心臓協会が、国際的に評価の高い医学誌の中で、「今日あまりにポピュラーとなった低糖質・高たんぱく質食について反対を表明し、強い警告を発する」と公表した。

その理由は、「肉や脂肪などに偏った糖質制限食ではビタミンなどのミネラルが不足し、結果として心臓、腎臓、骨、肝臓に由々しき問題を抱えることになる」と強調している。

■反対派の主な意見

)糖質制限に対するオフィシャルな定義(糖質をどこまで抑えれば良いか)、ガイドラインが示されていないうえ、長期的に糖質制限を行った場合の体への影響に対する科学的データはほとんどない。

)糖質以外なら、肉や脂肪をたくさん食べて良いという糖質制限食は、カロリーの原則に反する。

)糖質制限食は高脂質食でもあるため、コレステロール値を上げて、心筋梗塞や脳卒中などの心血管病を引き起こすだろう。(2012年、アテネ大学etc)

)ミネラル・微量元素不足を引き起こす。タンパク質を多く摂ると、腎臓からのカルシウム排泄が増え、骨粗しょう症になりやすい。

)厳格な血糖コントロールは低血糖のリスクを高め、死亡率を上昇させる。血糖コントロールはほどほどが良い。(2008年、アメリカ国立衛生研究所)

)低血糖がうつ病・認知症のリスクを高める。

日本では、2012年に第55回糖尿病会で糖質制限食を食事療法の一つのオプションとして認めるという画期的なものだったが(糖質1日最低130gは摂る)、2013年には従来のカロリー制限食優先に戻り、糖質制限食については安全性などの確保の面から勧められないとのスタンスに変わった。(「本当は怖い糖質制限」(2013年)より)(引用以上)

2.賛成派の意見(まとめ)

■賛成派の主な意見

(参考文献:「人はなぜ太るのか?」 ゲーリー・トーベス著)

)人類の歴史上、炭水化物(穀物)を食べているのは僅かで、それまでは主に肉や脂身、野菜で生活していた

(2)カロリー制限食では均等にカロリーを減らすか、脂肪からのカロリーを優先的に減らすことになる。これは太ることのない脂肪やタンパク質を減らし、太りやすい炭水化物を相対的に多く食べることとなる。この食事法はあまり効果がなく、常に空腹がつきまとう

)食事に炭水化物がなくても、肉や脂肪をとっているから脳の栄養源として「ケトン体」を燃料とすることができる。

摂取する脂肪(脂質)=『体脂肪』ではない。低脂肪・高炭水化物食が公式に承認されたことで、心臓病の発症は減るどころか、肥満や糖尿病はむしろ増えている。

)野菜やチーズ・魚・肉などは制限していないので、ミネラルなどが不足することはない。カロリー制限食の方が均等にカロリーを減らすとすれば、すべての必須栄養素も減ることとなる。

)カロリー制限食も、体重減少に関する明確なエビデンス(科学的根拠)がないのに、なぜ糖質制限食のみに厳格なエビデンスを求めるのか?

3.糖質制限の欠点を補う『ロカボ』

白米2
(「糖質制限の真実-日本人を救う革命的食事法 ロカボのすべて-」山田悟著より引用)

ロカボは、1日あたりの糖質量を70~130gに抑えて食べる食事法です。(1食あたりの糖質量を20~40gにし、それを3食、間食で10g )

【食事の幅が広がった・続けられる】
現在の日本人は平均的に、1日では270~300gの糖質を食べていますので、ロカボではその半分弱に抑えるという感覚になります。
つまり、緩やかな糖質制限であるということです。これにより、食べられるものの幅はぐんと広まり、美味しく楽しく食べて健康になれる食事法と言えます。
また、糖質を食べるのをやめるのではなく、いかに上手に食べるかという考え方がベースにあります。低糖質な素材でつくったパンやパスタ、うどんなどのロカボメニューもあります。基本的に食べてはいけないものがないうえに、満腹になってもいいので続けやすいのです。

ダイエット

【ダイエットのみなら緩く】
例えば糖尿病の患者が治療としてやる場合は、やはり糖質の制限値にはある程度こだわった方が有効性は高くなります。
その一方、健康増進やダイエット、美容として取り入れたいという健常者に関しては、制限値に厳密にこだわらなくてもいいと思います。たまに高糖質なものを食べる日があっても、それまでの努力が全く無になることは起こりません。

【ケトン体が出るのを防ぐ】
普通の糖質制限と違うのは、最低でも1食あたり20g以上の糖質を摂ることで、ケトン体が出るような極端な低糖質状態を防いでいます。極端な糖質制限のリスクが示唆されている以上、まだ積極的にやるべきではないというのが私(山田医師)のスタンスです。

<ケトン体>

人間を含め、動物はブドウ糖と脂肪酸を主なエネルギー源にしています。しかし人間の脳は脂肪酸が入っていけないため、ブドウ糖を好みます。また赤血球はエネルギー源としてブドウ糖しか使うことができません。長期間ブドウ糖が摂れない状態が続くと、脳はブドウ糖を赤血球にゆずります。

その時、脳がエネルギー源として使うのが脂肪酸を分解してつくられる『ケトン体』という物質です。確かに脳はケトン体で生きていけますが、一方で血中にケトン体が溜まってくると、体が酸性に傾きケトアシドーシスという意識障害が起こることがあります。

【エビデンスレベル1での証明】
歴史の中で、糖質制限はエビデンスレベル4(症例報告)だけで世の中に広まってしまったので、糖質制限食事法は叩かれ、信頼を築くことができず、民間療法の扱いに留まっていました。

しかし、2007年~2008年にかけてのエビデンスレベル1(無作為比較試験)の論文により、「カロリーは気にせず、糖質のみを控える(1日あたり120g以下に設定)」という食事法が「カロリーや油を控える」食事法よりも肥満、血糖管理、血液中の脂質の改善に有効であるということが証明されたのです。
つまり、民間療法扱いから確固たる根拠のある食事法とかわったのです。(引用以上)

4.極端を避ける(私の考え)

肥満や糖尿病等の治療において、『カロリー制限』による食事療法には効果がないことが実証されつつあります。

だからと言って、『炭水化物が悪者だ』と言うような厳格な糖質制限にも賛成はできません。糖質(炭水化物)は私達の貴重なエネルギー源であることには変わりはないし、そこは医者などが言うようにバランスに一理あると思います。


私のスタンスとしては、糖質をある程度減らすことはダイエットに有効だと思いますが、極端な方法は良くないと考えます(ロカボに近い)。「炭水化物が私たちを太らすのか、それともカロリーか?」ではなく、もう少し考え方を変える必要があるのです。

私の理論上、太る原因は糖質そのものではなく、精製された炭水化物(多糖類)と偏食、野菜不足などにより引き起こされる、腸の『飢餓状態』です。つまり炭水化物(多糖類)が直接的ではなく、間接的に飢餓状態を作りやすくし、肥満に寄与しているということです。ですから対処法としては、腸の中に未消化の食べ物を多く残すと言う意味で、「炭水化物をある程度減らし、おかず(副食)を増やす」ことが必要と考えています。

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