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2016.11.22

食事、運動、体重の関係性を間違えている

目次

 <はじめに>

  1. 「食事と運動」の関係は、専門家にとっては良い言い訳け
  2. エネルギーを出せば、また戻ってくる
  3. 『食事が優先している』とは、どういうこと?

 <まとめ>

<はじめに>
スポーツをしている人には痩せている人が多いという事実、また現役を引退した後に太ったスポーツ選手などを見ていると運動=痩せる』という公式ができそうです。

大抵の専門家はこういう見方ですが、運動と体重の関係性は、これほど単純ではないはずです。

  
今回は、私の理論に基づいて、「食事、運動、体重」の関係性を具体的に説明したいと思います。

自転車レース

1.食事と運動の関係は、専門家にとっては良い言い訳け

診察

まず運動しても痩せなかった人達に対して、医師など専門家は「結局、どこかで食べているのでしょう~」と言うだろうし、カロリー制限しても痩せない人(少なく食べても太ってしまう人)に対しては、「運動不足じゃないですか?・・・」と言いますよね。

つまり、食事と運動は「入るカロリー/出るカロリー」の関係として考えられていたために、専門家のいろんな口実として利用され、その関係性は深く考えようとすらされてこなかったのではないでしょうか?

2.エネルギーを出せば、また戻ってくる

まず、「過食すれば必ず太る/運動をすれば痩せれる」 と考える人は、図-1のように見ています。

摂取と消費が対立する関係で、その大小関係により太るんだ(又は痩せるんだ)と考えます。

入る,出るカロリー

<図-1>

しかし、実際は 図-2のようになるはずです。

私たちが食べる物と体内で使われるエネルギーは、吸収により媒介される為、エネルギー消費が増えれば、吸収率はアップし、ホルモンの変化を通じて食欲がさらに沸きます。

逆に、何もせずに休んでいる時に、空腹でもないのに食べる量や回数を増やせば、吸収率は低下します。

エネルギー循環

<図-2>

運動をすれば確かにより多くのエネルギーが消費されますが、体の消費されたものを取り戻そうとする逆の調整機能が働きます。

つまり、運動は基本的にエネルギーの循環を活発にし、体に活力を与え、体を強くする(最終的には、エネルギーを蓄え、太る)方向へ作用する力です(特に、筋肉への抵抗運動)。

食事風景

ただし、太るかどうかは『食事』の摂り方で決まります。常に『食事』が優先しています。


「運動を日常的にしている人は、いくら食べても太らない」という錯覚が生じるのもこのためです。

3.『食事が優先している』とは、どういうこと?

簡単に説明すると、運動することが、体に最終的にエネルギーを蓄えようとするパワーであっても、何らかの消化されない食べ物が常に腸内に残る状態では、結果として腸内飢餓が起こらず、設定体重がアップしないということです。

より詳しく説明するために、パターン別に見ていきたいと思います。

(1)常に運動していて、痩せている

まず、ブリファ氏(「痩せたければ脂肪をとりなさい」著者)が言われるように、「もともと痩せている人がマラソンやサッカーを始め、最終的にはアスリートとなっていくのではないか・・・」[1]考えた方がひねくれた見方かもしれませんが正しいのではないでしょうか。

その人達は自分が食べても太らないことを知っています。それゆえ、アスリートの多くは栄養バランスのとれた3度の食事と、その他にも栄養補助食品やお菓子なども食べます。

和朝食

それは我々が運動をしようとする時、「栄養を摂らないといけない」「しっかり食べないといけない」という心理が働くからです。

つまり、元々痩せている人がサッカーやマラソンなどのスポーツを始め、3食バランスよく食べてきたからこそ、腸の飢餓メカニズムが起こらず、同じ体重を長年にわたり維持できるのです。

もちろん筋肉は鍛えられるから、スリムでかつ筋肉がつき、引き締まったボディーになる。
   

(2)運動しなくなって太る

逆に、仕事はデスクワーク又は軽作業で、最近は運動もしていないからこの数年で3~4kg 太ったという方がおられます。

しかし運動をしないことよりも、食事を抜いたり・軽く済ましたり、炭水化物に偏ったバランスの悪い食事になること、又は食事の時間が不規則になることの方が問題です。これは、腸の飢餓メカニズムが引き起こされやすくなるからです。

デスクワーク

今日は一日何もしなくてもいい時や、軽作業をしている時、我々は心理的に「食事を軽くしよう~」としたり、栄養バランスに疎くなる傾向があるのではないでしょうか?

ひょっとしたら、朝食も食べないで出社するかもしれないし、昼食もラーメン・サンドウィッチ・ハンバーガーのような簡単なもので済ませるかもしれない。

この場合、運動時にくらべて、体の栄養を取り込もうとする力は弱まりますが、逆に空腹で長時間過ごせば、腸内飢餓状態はできやすく、長い目で見ると設定体重がアップする可能性があります。

また、スポーツ選手が引退後に、消費するカロリーが減り食べる機会が増えることによって、数キロ太ることもあると思いますが、それはダイエット後にリバウンドするのと同じで、設定体重に戻るメカニズムであると考えます。

もし、3~4年で10キロ以上の体重増加があったというのであれば、上記で説明したように、食習慣が変わったことによる影響の方が大きく、腸内飢餓が引き起こされたことによる体重増加によって説明できると思っています。
   

(3)運動して太る

格闘家やお相撲さんはもちろん運動していますが、競技の性格上、筋力や体重をアップすることが時として必要になります。しかし格闘家の一部にとっては、3度の食事の他にプロテインなどを摂取しても、筋力や体重が中々増えないという話はよく聞きます。

しかしそれに反して、太りたくないという人達がいとも簡単に太ってしまうのは、何度も言うように、太る(設定体重がアップする意味で)ためには腸の飢餓メカニズムが必要だからです。

バーベルなどを使う強度の高い筋力運動では、体の失われたエネルギーを回復しようとする調整機能は、有酸素運動に比べさらに強力に働きますが、カロリーや栄養をもっと摂ろうとして、毎日4~5時間おきに食事やプロテインなどを摂取すると、未消化物が腸の中に残りやすくなり、結果的に設定体重がアップするのを妨げる可能性があるのです。

運動で高まる吸収率
<体重をアップするのに理にかなった力士の食事>

お相撲さんは、体が大きく太っているので有名ですが、彼らの食事は伝統的に、1日3回ではなく2回です。しかも脂っこい食事ではなく、消化の良いチャンコ(鍋で肉や野菜を煮込んだ料理)とご飯をたくさん食べます。そのため、彼らの食べた物は消化されやすくなり、腸内飢餓が引き起こされれば、設定値の上昇を示唆する体重増加が起こりえます。

【関連記事】
お相撲さんが太るのも、飢餓メカニズムと言える

  

腸内飢餓が誘発された時に体重がアップする仕組みは、以下のブログで詳しく説明していますが、腸の絨毛(じゅうもう)から微細な物質が剥がれることで吸収する面積が広がり、絶対的な吸収力がアップすると私は考えています。

そして、筋力に負荷をかける抵抗運動(特にリフティングなど)を定期的にすることによって、そのメカニズムが通常より加速されるのです。

つまり力士の食事の摂り方と運動は、筋力や体重をアップさせるには、理にかなった方法であると言えます。

【関連記事】
腸の飢餓状態でなぜ太るのか?

   
小腸内部と絨毛図

まとめ

(1)食事と運動の関係性は、単純にエネルギーが「入る/ 出る」の関係ではない。栄養やエネルギーは腸の吸収により媒介されるため、運動によって失われたエネルギーを取り戻そうとする逆の調整機構が作用する。基本的に、運動(特に強度の高い運動)は体を強くする方向へ、最終的には、太る方向へ働きかける。

  
(2)しかし優先順位は常に「食事」の摂り方にある。毎日、バランスよく3度の食事を摂ることで、未消化物が腸内に残りやすくなり、設定体重はアップしにくくなる。元々痩せている人達が陸上競技、サッカーなどを始め、バランスの良い食事を3度食べることで、彼らは太りにくく、同じ体型を長年維持できる。

  
(3)人は何も運動をしない時又は軽い作業時に、食事を抜いたり、または簡単な食事で済ます傾向がある。その場合、体の栄養を吸収し脂肪を貯めこもうとする調整機能は運動時に比べ弱いが、逆に空腹でいる時間が長くなり、腸内飢餓が起こりやすくなる。結果として体重の設定値はアップしやすくなる。

   
(4)お相撲さんの食事の摂り方と運動は、筋力や体重をアップさせるには、理にかなった方法である。消化の良い食事を沢山食べ、1日2食にすることで、腸内飢餓が引き起こされやすくなる。激しいトレーニングはそれを加速する。

   

参考文献:

[1] ジョン・ブリッファ. 2014. 「痩せたければ脂肪をたくさん摂りなさい」. 朝日新聞出版. Page 226.

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