トピックス
2017.02.11
糖質制限(炭水化物抜き)賛成派 VS 反対派の言い分
-
<目次>
- 糖質制限、反対派の意見(まとめ)
- 賛成派の意見(まとめ)
- 糖質制限の欠点を補う『ロカボ』
- 極端を避ける(私の意見)
【関連記事】いま話題のロカボ。炭水化物を減らす意義
古くから糖質制限食(炭水化物抜き)をめぐっては、意見が対立してきました。それは、カロリーが太る原因なのか、それとも糖質(炭水化物)が太る原因なのか?ということだと思います。
そこで、糖質制限食の賛成派と反対派の意見をまとめました。その理論は、今となっては少し古いものも含まれますが、過去の経緯としてまとめましたのでご覧ください。
1.糖質制限、反対派の意見(まとめ)

(参考文献:「本当は怖い糖質制限」 岡本卓 著)
<2001年>
アメリカ心臓協会が、国際的に評価の高い医学誌の中で、「今日あまりにポピュラーとなった低糖質・高たんぱく質食について反対を表明し、強い警告を発する」と公表した。
その理由は、「肉や脂肪などに偏った糖質制限食ではビタミンなどのミネラルが不足し、結果として心臓、腎臓、骨、肝臓に由々しき問題を抱えることになる」と強調している。
■反対派の主な意見
(1)糖質制限に対するオフィシャルな定義(糖質をどこまで抑えれば良いか)、ガイドラインが示されていないうえ、長期的に糖質制限を行った場合の体への影響に対する科学的データはほとんどない。
(2)糖質以外なら、肉や脂肪をたくさん食べて良いという糖質制限食は、カロリーの原則に反する。
(3)糖質制限食は高脂質食でもあるため、コレステロール値を上げて、心筋梗塞や脳卒中などの心血管病を引き起こすだろう。(2012年、アテネ大学etc)
(4)ミネラル・微量元素不足を引き起こす。タンパク質を多く摂ると、腎臓からのカルシウム排泄が増え、骨粗しょう症になりやすい。
(5)厳格な血糖コントロールは低血糖のリスクを高め、死亡率を上昇させる。血糖コントロールはほどほどが良い。(2008年、アメリカ国立衛生研究所)
(6)低血糖がうつ病・認知症のリスクを高める。
日本では、2012年に第55回糖尿病会で糖質制限食を食事療法の一つのオプションとして認めるという画期的なものだったが(糖質1日最低130gは摂る)、2013年には従来のカロリー制限食優先に戻り、糖質制限食については安全性などの確保の面から勧められないとのスタンスに変わった。(「本当は怖い糖質制限」(2013年)より)(引用以上)
2.賛成派の意見(まとめ)
■賛成派の主な意見
(参考文献:「人はなぜ太るのか?」 ゲーリー・トーベス著)
(1)人類の歴史上、炭水化物(穀物)を食べているのは僅かで、それまでは主に肉や脂身、野菜で生活していた。
(2)カロリー制限食では均等にカロリーを減らすか、脂肪からのカロリーを優先的に減らすことになる。これは太ることのない脂肪やタンパク質を減らし、太りやすい炭水化物を相対的に多く食べることとなる。この食事法はあまり効果がなく、常に空腹がつきまとう。
(3)食事に炭水化物がなくても、肉や脂肪をとっているから脳の栄養源として「ケトン体」を燃料とすることができる。
(4)摂取する脂肪(脂質)=『体脂肪』ではない。低脂肪・高炭水化物食が公式に承認されたことで、心臓病の発症は減るどころか、肥満や糖尿病はむしろ増えている。
(5)野菜やチーズ・魚・肉などは制限していないので、ミネラルなどが不足することはない。カロリー制限食の方が均等にカロリーを減らすとすれば、すべての必須栄養素も減ることとなる。
(6)カロリー制限食も、体重減少に関する明確なエビデンス(科学的根拠)がないのに、なぜ糖質制限食のみに厳格なエビデンスを求めるのか?
3.糖質制限の欠点を補う『ロカボ』

(「糖質制限の真実-日本人を救う革命的食事法 ロカボのすべて-」山田悟著より引用)
ロカボは、1日あたりの糖質量を70~130gに抑えて食べる食事法です。(1食あたりの糖質量を20~40gにし、それを3食、間食で10g )
【食事の幅が広がった・続けられる】
現在の日本人は平均的に、1日では270~300gの糖質を食べていますので、ロカボではその半分弱に抑えるという感覚になります。
つまり、緩やかな糖質制限であるということです。これにより、食べられるものの幅はぐんと広まり、美味しく楽しく食べて健康になれる食事法と言えます。
また、糖質を食べるのをやめるのではなく、いかに上手に食べるかという考え方がベースにあります。低糖質な素材でつくったパンやパスタ、うどんなどのロカボメニューもあります。基本的に食べてはいけないものがないうえに、満腹になってもいいので続けやすいのです。

【ダイエットのみなら緩く】
例えば糖尿病の患者が治療としてやる場合は、やはり糖質の制限値にはある程度こだわった方が有効性は高くなります。
その一方、健康増進やダイエット、美容として取り入れたいという健常者に関しては、制限値に厳密にこだわらなくてもいいと思います。たまに高糖質なものを食べる日があっても、それまでの努力が全く無になることは起こりません。
【ケトン体が出るのを防ぐ】
普通の糖質制限と違うのは、最低でも1食あたり20g以上の糖質を摂ることで、ケトン体が出るような極端な低糖質状態を防いでいます。極端な糖質制限のリスクが示唆されている以上、まだ積極的にやるべきではないというのが私(山田医師)のスタンスです。
<ケトン体>
人間を含め、動物はブドウ糖と脂肪酸を主なエネルギー源にしています。しかし人間の脳は脂肪酸が入っていけないため、ブドウ糖を好みます。また赤血球はエネルギー源としてブドウ糖しか使うことができません。長期間ブドウ糖が摂れない状態が続くと、脳はブドウ糖を赤血球にゆずります。
その時、脳がエネルギー源として使うのが脂肪酸を分解してつくられる『ケトン体』という物質です。確かに脳はケトン体で生きていけますが、一方で血中にケトン体が溜まってくると、体が酸性に傾きケトアシドーシスという意識障害が起こることがあります。
【エビデンスレベル1での証明】
歴史の中で、糖質制限はエビデンスレベル4(症例報告)だけで世の中に広まってしまったので、糖質制限食事法は叩かれ、信頼を築くことができず、民間療法の扱いに留まっていました。
しかし、2007年~2008年にかけてのエビデンスレベル1(無作為比較試験)の論文により、「カロリーは気にせず、糖質のみを控える(1日あたり120g以下に設定)」という食事法が「カロリーや油を控える」食事法よりも肥満、血糖管理、血液中の脂質の改善に有効であるということが証明されたのです。
つまり、民間療法扱いから確固たる根拠のある食事法とかわったのです。(引用以上)
4.極端を避ける(私の考え)
肥満や糖尿病等の治療において、『カロリー制限』による食事療法には効果がないことが実証されつつあります。
だからと言って、『炭水化物が悪者だ』と言うような厳格な糖質制限にも賛成はできません。糖質(炭水化物)は私達の貴重なエネルギー源であることには変わりはないし、そこは医者などが言うようにバランスに一理あると思います。
私のスタンスとしては、糖質をある程度減らすことはダイエットに有効だと思いますが、極端な方法は良くないと考えます(ロカボに近い)。「炭水化物が私たちを太らすのか、それともカロリーか?」ではなく、もう少し考え方を変える必要があるのです。
私の理論上、太る原因は糖質そのものではなく、精製された炭水化物(多糖類)と偏食、野菜不足などにより引き起こされる、腸の『飢餓状態』です。つまり炭水化物(多糖類)が直接的ではなく、間接的に飢餓状態を作りやすくし、肥満に寄与しているということです。ですから対処法としては、腸の中に未消化の食べ物を多く残すと言う意味で、「炭水化物をある程度減らし、おかず(副食)を増やす」ことが必要と考えています。
2016.11.22
食事、運動、体重の関係性を間違えている
-
目次
-
<はじめに>
- 「食事と運動」の関係は、専門家にとっては良い言い訳け
- エネルギーを出せば、また戻ってくる
- 『食事が優先している』とは、どういうこと?
<まとめ>
<はじめに>
スポーツをしている人には痩せている人が多いという事実、また現役を引退した後に太ったスポーツ選手などを見ていると『運動=痩せる』という公式ができそうです。
大抵の専門家はこういう見方ですが、運動と体重の関係性は、これほど単純ではないはずです。
今回は、私の理論に基づいて、「食事、運動、体重」の関係性を具体的に説明したいと思います。

1.食事と運動の関係は、専門家にとっては良い言い訳け

まず運動しても痩せなかった人達に対して、医師など専門家は「結局、どこかで食べているのでしょう~」と言うだろうし、カロリー制限しても痩せない人(少なく食べても太ってしまう人)に対しては、「運動不足じゃないですか?・・・」と言いますよね。
つまり、食事と運動は「入るカロリー/出るカロリー」の関係として考えられていたために、専門家のいろんな口実として利用され、その関係性は深く考えようとすらされてこなかったのではないでしょうか?
2.エネルギーを出せば、また戻ってくる
まず、「過食すれば必ず太る/運動をすれば痩せれる」 と考える人は、図-1のように見ています。
摂取と消費が対立する関係で、その大小関係により太るんだ(又は痩せるんだ)と考えます。
<図-1>
しかし、実際は 図-2のようになるはずです。
私たちが食べる物と体内で使われるエネルギーは、吸収により媒介される為、エネルギー消費が増えれば、吸収率はアップし、ホルモンの変化を通じて食欲がさらに沸きます。
逆に、何もせずに休んでいる時に、空腹でもないのに食べる量や回数を増やせば、吸収率は低下します。

<図-2>
運動をすれば確かにより多くのエネルギーが消費されますが、体の消費されたものを取り戻そうとする逆の調整機能が働きます。
つまり、運動は基本的にエネルギーの循環を活発にし、体に活力を与え、体を強くする(最終的には、エネルギーを蓄え、太る)方向へ作用する力です(特に、筋肉への抵抗運動)。

ただし、太るかどうかは『食事』の摂り方で決まります。常に『食事』が優先しています。
「運動を日常的にしている人は、いくら食べても太らない」という錯覚が生じるのもこのためです。
3.『食事が優先している』とは、どういうこと?
簡単に説明すると、運動することが、体に最終的にエネルギーを蓄えようとするパワーであっても、何らかの消化されない食べ物が常に腸内に残る状態では、結果として腸内飢餓が起こらず、設定体重がアップしないということです。
より詳しく説明するために、パターン別に見ていきたいと思います。
(1)常に運動していて、痩せている
まず、ブリファ氏(「痩せたければ脂肪をとりなさい」著者)が言われるように、「もともと痩せている人がマラソンやサッカーを始め、最終的にはアスリートとなっていくのではないか・・・」[1]と考えた方がひねくれた見方かもしれませんが正しいのではないでしょうか。
その人達は自分が食べても太らないことを知っています。それゆえ、アスリートの多くは栄養バランスのとれた3度の食事と、その他にも栄養補助食品やお菓子なども食べます。

それは我々が運動をしようとする時、「栄養を摂らないといけない」「しっかり食べないといけない」という心理が働くからです。
つまり、元々痩せている人がサッカーやマラソンなどのスポーツを始め、3食バランスよく食べてきたからこそ、腸の飢餓メカニズムが起こらず、同じ体重を長年にわたり維持できるのです。
もちろん筋肉は鍛えられるから、スリムでかつ筋肉がつき、引き締まったボディーになる。
(2)運動しなくなって太る
逆に、仕事はデスクワーク又は軽作業で、最近は運動もしていないからこの数年で3~4kg 太ったという方がおられます。
しかし運動をしないことよりも、食事を抜いたり・軽く済ましたり、炭水化物に偏ったバランスの悪い食事になること、又は食事の時間が不規則になることの方が問題です。これは、腸の飢餓メカニズムが引き起こされやすくなるからです。

今日は一日何もしなくてもいい時や、軽作業をしている時、我々は心理的に「食事を軽くしよう~」としたり、栄養バランスに疎くなる傾向があるのではないでしょうか?
ひょっとしたら、朝食も食べないで出社するかもしれないし、昼食もラーメン・サンドウィッチ・ハンバーガーのような簡単なもので済ませるかもしれない。
この場合、運動時にくらべて、体の栄養を取り込もうとする力は弱まりますが、逆に空腹で長時間過ごせば、腸内飢餓状態はできやすく、長い目で見ると設定体重がアップする可能性があります。
また、スポーツ選手が引退後に、消費するカロリーが減り食べる機会が増えることによって、数キロ太ることもあると思いますが、それはダイエット後にリバウンドするのと同じで、設定体重に戻るメカニズムであると考えます。
もし、3~4年で10キロ以上の体重増加があったというのであれば、上記で説明したように、食習慣が変わったことによる影響の方が大きく、腸内飢餓が引き起こされたことによる体重増加によって説明できると思っています。
(3)運動して太る
格闘家やお相撲さんはもちろん運動していますが、競技の性格上、筋力や体重をアップすることが時として必要になります。しかし格闘家の一部にとっては、3度の食事の他にプロテインなどを摂取しても、筋力や体重が中々増えないという話はよく聞きます。
しかしそれに反して、太りたくないという人達がいとも簡単に太ってしまうのは、何度も言うように、太る(設定体重がアップする意味で)ためには腸の飢餓メカニズムが必要だからです。
バーベルなどを使う強度の高い筋力運動では、体の失われたエネルギーを回復しようとする調整機能は、有酸素運動に比べさらに強力に働きますが、カロリーや栄養をもっと摂ろうとして、毎日4~5時間おきに食事やプロテインなどを摂取すると、未消化物が腸の中に残りやすくなり、結果的に設定体重がアップするのを妨げる可能性があるのです。

<体重をアップするのに理にかなった力士の食事>
お相撲さんは、体が大きく太っているので有名ですが、彼らの食事は伝統的に、1日3回ではなく2回です。しかも脂っこい食事ではなく、消化の良いチャンコ(鍋で肉や野菜を煮込んだ料理)とご飯をたくさん食べます。そのため、彼らの食べた物は消化されやすくなり、腸内飢餓が引き起こされれば、設定値の上昇を示唆する体重増加が起こりえます。
【関連記事】
お相撲さんが太るのも、飢餓メカニズムと言える
腸内飢餓が誘発された時に体重がアップする仕組みは、以下のブログで詳しく説明していますが、腸の絨毛(じゅうもう)から微細な物質が剥がれることで吸収する面積が広がり、絶対的な吸収力がアップすると私は考えています。
そして、筋力に負荷をかける抵抗運動(特にリフティングなど)を定期的にすることによって、そのメカニズムが通常より加速されるのです。
つまり力士の食事の摂り方と運動は、筋力や体重をアップさせるには、理にかなった方法であると言えます。
【関連記事】
腸の飢餓状態でなぜ太るのか?

まとめ
(1)食事と運動の関係性は、単純にエネルギーが「入る/ 出る」の関係ではない。栄養やエネルギーは腸の吸収により媒介されるため、運動によって失われたエネルギーを取り戻そうとする逆の調整機構が作用する。基本的に、運動(特に強度の高い運動)は体を強くする方向へ、最終的には、太る方向へ働きかける。
(2)しかし優先順位は常に「食事」の摂り方にある。毎日、バランスよく3度の食事を摂ることで、未消化物が腸内に残りやすくなり、設定体重はアップしにくくなる。元々痩せている人達が陸上競技、サッカーなどを始め、バランスの良い食事を3度食べることで、彼らは太りにくく、同じ体型を長年維持できる。
(3)人は何も運動をしない時又は軽い作業時に、食事を抜いたり、または簡単な食事で済ます傾向がある。その場合、体の栄養を吸収し脂肪を貯めこもうとする調整機能は運動時に比べ弱いが、逆に空腹でいる時間が長くなり、腸内飢餓が起こりやすくなる。結果として体重の設定値はアップしやすくなる。
(4)お相撲さんの食事の摂り方と運動は、筋力や体重をアップさせるには、理にかなった方法である。消化の良い食事を沢山食べ、1日2食にすることで、腸内飢餓が引き起こされやすくなる。激しいトレーニングはそれを加速する。
参考文献:
[1] ジョン・ブリッファ. 2014. 「痩せたければ脂肪をたくさん摂りなさい」. 朝日新聞出版. Page 226.
2016.09.29
ダイエットは、運動よりも食事の改善
目次
- 消費するカロリーの僅かな利益
- 食事内容を改善することの方が重要
(1)広告におどらされて
(2)運動を謳うダイエットは、必ず食事指導をしている
<まとめ>
まずは「痩せるためには運動は必要ないとしたら?」を先にお読みください。
上記の記事で「運動が本当に、体重を軽くするのに役立つのか?」という事について見てきましたが、、それについてもう少し詳しく見てみましょう。
1.消費するカロリーの僅かな利益
(「人はなぜ太るのか?」より引用)
"1942年にミシガ ン大学のルイス・ニューバーグが計算したところ、体重 250ポンド(約110kg)の男性はひと続きの階段を上がるのに3kcalを消費する。
つまり「(薄くスライスした)食パン1枚に含まれるエネルギーを消費するために、一続きの階段を20回上がる必要がある」のである。
では、なぜ階段を上がることを止め、パンを抜いて1日を終えないのか?
もしその男性が1日に20の階段を余計に上るとして、その日のうちに1枚のパンと同等の何かを食べない確率はどのくらいだろうか?
(ゲーリ・トーベス. 2013.「人はなぜ太るのか」. Page 57.)

▽その他の専門家たちは、ランニングのような純粋にカロリー消費の増加を狙った有酸素運動よりも、ウェートリフティングやレジスタンス運動で体重を減らせると議論するようになった。
ここでの発想は、筋肉を増やして脂肪を減らすというもので、脂肪と筋肉を入れ替えることで体重は変化しなくても、より健康になるというものである。また筋肉は脂肪よりも代謝的に活発で、より多くのカロリーを消費するため、余分な筋肉は減少した脂肪を維持することに役立つだろう。

しかし専門家たちはこのような議論をするときに、いつも実際の数値を無視した。それは数値が見栄えしなかったからである。
もし私たちが約2キロの脂肪を2キロの筋肉に置き換えたとすると(これはかなりの成果であるが)、エネルギー消費の増加量は1日あたり24kcal である。
この量は、またしてもパン1切れと等価のカロリーについて話すことになり、消費エネルギー量が24kcal 増えても24kcal 分余計に空腹にはならないという保証はない。
そしてまたしても、パンとウェートリフティングの両方をやめておいたほうが楽かもしれないという見解に戻ってしまうのだ。"
(Pages 64-5.)
2.食事内容を改善することの方が重要
ウォーキングやジョギングなどの運動は、慢性疾患の予防や心身の健康の為に必要なのは間違いないと思うのですが、上記「1」で詳しく見たように、"カロリー消費" という観点からはそれほど有効とは思えません。運動で瘦せたという人は、むしろ、食事の改善(栄養バランスや食べる回数などの摂取方法)をセットで行っているのではないでしょうか?
これに関して、運動の専門家が書かれた本がありますので、今回はそれを元に少し深堀りしてみたいと思います。
「運動指導者が断言。ダイエットは運動1割、食事9割」【森 拓郎著】
森さんは自らがフィットネスクラブに5年間在籍し、運動指導者でありながらも、痩せるのには運動だけでは無理だと言われています。
(1)広告におどらされて
(「ダイエットは運動1割、食事9割」より引用)
"運動指導者として沢山のクライアントを見てきました。しかしそこで見たものは、長く在籍しているのに痩せないクラブ会員様、そして何よりそこで働いているのに痩せないスタッフでした。(略)
ダイエットの中心にくるのはあくまで食生活の改善であり、それを支えるためのメンタルも大切になってきます。運動に関しては、それらのウェイトに比べて非常に小さくて、食とメンタルさえ何とかなれば、運動指導を省いてもほぼ良い結果がでてしまうと考えます。
さまざまなダイエット関連の誇大広告に騙され、効果的な運動をすれば誰でも痩せられると、知らないうちに思わされていた自分がいたのも事実です・・・。(略)それはあくまで広告のお話ですから、客を惹きつける誇張であって当然。そのせいで、良識ある一般人の感覚までがおかしくなっている。
(2)運動を謳うダイエットは、必ず食事指導をしている
私の今までの運動指導、ダイエット指導の経験を通して痛感することは、実はほとんどの人は、運動だけのダイエットで結果をだせないということです。
多くのクライアントと接するうちに成果の出なかった人の傾向が見えてきました。彼らは、「好きな物を食べながら痩せたい」「食生活は変えたくない」・・・という食生活に問題のある人ばかりだったのです。

体の痩せるメカニズムを考えると、食事のコントロール以上に効果的なダイエット法はなく、そこに必要な分の運動を足すという考え方が適切です。
巷のダイエット本を手に取ってみても、ある特定の運動法の説明をしていても、食事について少なからず書いてあるものがほとんど。
ダイエット成功者は運動ではなく、食事の改善でやせているのです。(略)
体の綺麗なスタイルは運動がつくり、体重やサイズを減らしたいのであれば、食生活を中心に改善していくという大前提を理解することが必要です。"
(森 拓郎. 2013.「ダイエットは運動1割、食事9割」)
これは私も伝えたかったことですが、運動の専門家の話のほうが、より説得力があると思い引用させて頂きました。
「運動で痩せれる」と謳っている本は、必ず食事の改善についても言及しています。最近の傾向としては、炭水化物・ジャンクフードなどを減らしつつ、肉・卵などの蛋白質、野菜、乳製品などをしっかり食べて運動するという様になってきているように感じます。

しっかり食べて痩せたんだから、運動が体重を減らすことにかなり貢献しているように思われるかもしれませんが、それは誤解です。
食事の習慣を変えることで実は痩せることができ、運動はむしろ痩せた後の筋肉質で引き締まったボディーをつくると考えた方が良いかもしれません。
まとめ
(1) 運動で消費されるカロリーはそれほど多くない。運動はしていてもダイエットで結果を出せない人は、「好きなものは食べながら痩せたい」など、食生活に何らかの問題をかかえていることが多い。
(2) 痩せるためには、バランスの摂れた食事や摂取回数を増やしたりして、毎日の食事習慣を改善することの方がより効果的である。炭水化物の摂取量をある程度減らし、タンパク質・脂質・乳製品・野菜などを増やすことはすことは減量に役立つ。一方運動は、健康の増進、体力の維持、痩せた後の引き締まった体をつくることに役立つ。
(3) 運動が根本的に体重の減少に役立たないのは、「食事・運動・体重」の関係性が間違えて認識されている為である。
【関連記事】 食事・運動・体重の関係性を間違えている
2016.08.20
人はなぜ太るのか?【ゲーリー・トーベス】/【岡田 正彦】
目次
- 「人はなぜ太るのか?(そして、どうすればいいか)」ゲーリー・トーベス著
- 「人はなぜ太るのか?(肥満を科学する)」岡田正彦著
以下の2冊を読みましたので、その簡単な内容紹介と私の感想を書きたいと思います。
タイトルは似ていますが、中身は・・・というと対照的な内容でした。
1.「人はなぜ太るのか?」 【ゲーリー・トーベス著】(2013年)

【著者紹介】 Gary Taubes
『よいカロリー、悪いカロリー』の著者
カリフォルニア大学公衆衛生バークレー校で健康政策研究の研究員も務める。科学・薬学・健康に関する記事を雑誌サイエンス、アトランティック、ディスカバー、ニューヨークマガジンなどに執筆。
ハーバード、スタンフォード、コロンビア大学で学ぶ。
▽私はこの本に出合えたことに、心から感謝します。
著者が前作から10年以上費やしたと言われる通り、世界中の本やwebを探してもない内容がここにはあります。
私のブログと重なる点も多く、皆さんに紹介したいことが多数あったので、今後も引用させて頂くことになりそうです。
現在、広く普及した「私たちは消費するよりも多くのカロリーを摂取するから太る」(「入るカロリー/出るカロリー」説)という考え方がどのような歴史的背景の中で生まれ、反論する研究も数多くあったにもかかわらず、なぜ全世界に広く普及してしまったのか?

そして専門家が行ってきた、肥満治療(過食をやめさせること、運動をすること)で痩せない事実が多数あったにも関わらず、それが医学界では常識となってしまった経緯についても説明してあります。
著者自身は、肥満の原因はカロリーではなく『糖質(炭水化物)』であると考えておられ、糖質(炭水化物)制限を推進されています。
しかしその方法のみに固執せず、多方面から深く研究・考察されており、「読者に批判的に読んで欲しい」と言われるように、まだその研究が完璧でないことも示されています。
ともすれば、1世紀近くにわたり『肥満』の根本的な原因が解明されていないことに触れ、多くの肥満研究家のやってきた事が根本的に間違っているかもしれないという可能性まで示唆してあります。

(著書より引用)
科学の歴史は別の解釈を示している。
人々がこの仮説について1世紀以上考え、何十年も真偽を確認しようと試み、それでもなおそれが真実であると納得させるエビデンス(科学的根拠)が生み出せないとすれば、おそらくそれは真実ではない。(~略~)
これは科学の歴史において、一見、理屈に合っていると思われる多くの考えのうち、一度も成功しなかったものの1つである。そしてすべてを再考し、どうすれば体重を減らすことができるのかを見つけ出さなくてはならない。(引用以上)
2.「人はなぜ太るのか?(肥満を科学する)」 【岡田 正彦】(2006年)

【著者紹介】
新潟大学医学部卒業
同大学医学部教授、医学博士
米国学会誌などでの編集委員、学会誌『生体医工学』編集長など務める。
この本は、現在の医学の常識として分かっている範囲で、『肥満』についてわかりやすくまとめられていました。(肥満の測定方法、肥満にまつわる病気、痩せ方etc)
著者自身が、「多くのダイエット本とは一線を画し、学術論文と同じくらいに、間違いなく役に立つ情報をまとめた」と言われる通り、幅広い知識を得ることができ、読みやすい本でした。
内容は、今の常識がそうなっているように『カロリーの摂り過ぎ・食べ過ぎ』・『運動不足』が太るんだ、という考えに基づいて書かれています。もちろん、グリセミック指数や褐色脂肪細胞、肥満遺伝子、ホルモン(レプチン、インシュリン等)などのカロリー以外の原因についても幅広く説明してあります。
しかし、『人はなぜ太るのか?』という核心部分には触れていないと思いました。
脂質(脂肪)を食事で摂って、それが体脂肪になる過程は書いてあるが、ではなぜ私が太って、あの人は太らないのか(逆に、あの人が太って私は太れないのか)?という違いは説明されていないと思いました。
著者自身、「肥満には食事の影響(生活習慣)はもちろん、遺伝的な体質も大いに関係している。肥満は両者があいまって起こるものなのだ」と言われる通り、過食やカロリーで説明できないことは『遺伝的な体質だ』と言ってしまえば、誰も反論することはできない。しかし私が思うのは、カロリー神話を疑いもしない、そういう曖昧な考え方こそが間違った常識を根付かせているのだと思います。
2016.07.29
痩せるのに運動は必要ないとしたら
-
目次
-
<プロローグ>
- 健康のためには良くても、痩せるためにはどうなの?
- 運動の減量効果を疑ういくつかの理由
- エネルギー消費と摂取はリンクしている
- 「運動が減量に効果がない」というエビデンスは無視された
<まとめ>
プロローグ

「人はなぜ太るのか?」 【ゲーリー・トーベス著】より引用
"あなたが晩餐会に招待されたと想像してください。
あなたは夜の特別なメニューの為に、お腹をすかして行こうとします。その為に昼食を抜いたり、お腹をすかせる為にスポーツジムへ行ったり、マラソンしたり、歩いて会場まで行こうとするかもしれない。
私達が体重を減らそうとするときに行うこと、つまり『食べる量(カロリー)を減らす、もっと運動する』ことは、私たちの目的が、お腹をすかせること、食欲を増すこと、もっと食べたい時にとる方法と全く同じである。
今や、「もっと食べる量を減らし、もっと運動をしなさい」という半世紀にわたり繰り返されてきたアドバイスと同時に起きている肥満流行の存在は、それほどの矛盾ではないように思えてくる。"
(ゲーリ・トーベス. 2013.「人はなぜ太るのか」. Page 48.)
1.健康のためには良くても、痩せるためにはどうなの?
(再び「人はなぜ太るのか?」ゲーリー・トーベス著より引用)
“座りっぱなしの行動が、食べる量と同じぐらいに体重の問題の原因になっていることは、今や一般的に信じられている。そして、私たちが太るにつれて心臓病、糖尿病、がんになる可能性は高まるため、一般に座りがちであると信じられている私たちの生活も、今やこれらの病気の原因と考えられている。
定期的な運動は、今日のすべての慢性疾患の予防に欠かせない手段と考えられている。

(略)身体活動が健康のためにはよいという考えは、今や私たちの意識のなかに非常に深く浸透し、健康とライフスタイルに関する異論の多い科学において、決して疑われるべきではない1つの事実だとしばしば考えられるほどである。
しかし、私がここで調査したい問題は、「運動が私たちにとって楽しいものか、健康なライフスタイルに必要なものであるか」ではなく、「運動は私たちが痩せている場合には体重の維持を、痩せていなければ減量を助けるものなのか」である。
その答えはノーのように思われる。

(略)カロリーを消費するほど私たちの体重は軽くなるという一般的な考えは、 究極的には1つの観察と1つの仮定に基づいている。その観察とは、「痩せた人はそうでない人よりも肉体的により活発な傾向にある」ということである。
これには異論がない。一般にマラソンランナーは過体重や肥満ではない。
しかしこの観察は、ランナーが走っていなければもっと太っていたかどうかや、太った男女が趣味として長距離のランニングを終日行うことで、痩せたマラソンランナーに変化するかどうかについては何も語らない。"
(Pages 49-50, 55.)
2.運動の減量効果を疑ういくつかの理由
従来のカロリー制限ダイエットに運動を加えても、あまり減量効果に差異がなかったという研究結果があるのですが、その理由を探ってみましょう。次の5点を挙げたいと思います。
【関連記事】「ダイエットは長期的にはほぼ効果なし」
(1)貧困層での肥満(再び「人はなぜ太るのか」より引用)
"米国、欧州、その 他の先進諸国において、人々は貧しいほど肥満である可能性が高くなる。 貧しいほど、頭脳よりもからだを使って生活費を稼ぐために、肉体的にきつい仕事に就く可能性がより高いことも事実である。
彼らがフィットネスクラブに通ったり、余暇の時間を次のマラソン大会のためのトレーニングに費やしたりすることはないかもしれないが、より裕福な人たちに比べて、彼らは畑や工場で使用人や庭師として、あるいは鉱山や工事現場で働く可能性がはるかに高い。

貧しいほど太っている可能性が高いということは、「日常生活で消費するエネルギーの量が太るかどうかになんらかの関係がある」とする主張を疑う非常によい理由の1つである。
前述したように、もし工場労働者たちや油田の労働者たちが肥満になるのならば、日常生活のエネルギー消費がそれほど大きな違いを生むと想像することは難しい。”
(Page 50)
(2)運動によって、より空腹になる
運動や力仕事をしたとき、デスクワークなどの座った生活よりも「空腹」を感じ食欲が増すというのは、多くの人が実感していることと思います。痩せたいがために運動をしたのに、その後に疲れてチョコレートなどの甘いものを食べてしまい、自らの意思の弱さや「自制心の無さ」を後悔した人もいるかもしれない。
しかし、それらは人間・生き物にとって正しいメカニズムであると考えるのです。この問題については、次のセクション「3」でより詳しく探っていきます。
(3)吸収率がアップする
有酸素運動か無酸素運動かにより、体脂肪減少などの効果は違うと言われていますが、いずれにせよ、運動で一旦消費されたエネルギーは、基本的に戻ってくるはずです。
私達が運動すれば、筋肉はエネルギーを必要とします。運動の強度によって異なりますが、主に血中のグルコース、筋肉に蓄えられているグリコーゲンや脂肪細胞からの脂肪酸などから、エネルギーは生み出されます。
もちろん、エネルギー消費量は一旦は増えますが、その後体は、消費されたものを補うために、より多くの栄養素を食べ物から吸収しようとするため吸収率がアップすると私は考えています。

「吸収率がアップする」というのは分かりにくいかもしれませんが、ひどい空腹の時や運動の後にお酒を飲むと、顔が赤くなったり、普段より酔いが早く回る経験をした人がいるかも知れません。
またお酒の飲めない人であれば、運動後に甘いものを摂取すると、血糖値がいつもより急激に高くなるかもしれません。
(4)その他の時間に動かなくなる
人は運動を増やすと、自然にそれ以外の生活で運動しないようになる傾向があると言われています。
例えば、30分のジョギングを終えた後、その疲れから結局ソファーで数時間くつろいでしまったり、普段よりも活動的でなくなる可能性もあります[1]。

(5)消費される体脂肪は僅か
体脂肪というのは備蓄型のエネルギーですから、すぐには使わないようにできています。ですから、筋肉に負荷をかける強度の高い無酸素運動の場合、開始から15秒程度は筋肉内に貯蔵されたATPやクレアチンリン酸がエネルギー源として使われます。その後、消費しているのは血液中のグルコースや、筋肉に蓄えられている即効型エネルギー源であるグリコーゲンです。
体脂肪が燃えやすいと言われるジョギングなどの有酸素運動でおいて、脂肪燃焼ゾーン(心拍数が最大心拍数の60-69%に保たれる低強度の運動)という概念がありますが、その場合でさえ、消費カロリーのうち脂肪由来は約50%と言われています。30分のジョギングで消費されるカロリーは200kcalだとしても、それがすべて体脂肪の減少につながる訳ではないのです[2]。
3.エネルギー消費と摂取はリンクしている
上記「2」で、運動後に吸収率がアップしたり食欲が湧くこと、運動以外の生活で動かなくなること、について説明しましたが、より科学的な説明を「人はなぜ太るのか」より再び引用します。
(「人はなぜ太るのか」ゲーリー・トーベス著より引用)
“摂取するよりも多くのエネルギーを消費することが、体重の問題を解決し、より体重を軽くすることができるという考えは、まさに熱力学の法則に関する、別の間違った仮説に基づいている。
それは「摂取するエネルギーと消費するエネルギーは互いに影響を及ぼさない」という仮説です。
私達は直感的に、これが真実ではないことを知っているし、動物や人間での研究で1世紀も前にこれは確認されている。
たとえば、自分自身を半飢餓状態におく人たちや、戦争、飢饉または科学実験で半飢餓状態におかれた人たちは、いつも空腹を感じる(不機嫌でうつ状態になることも)だけでなく、無気力でありエネルギー消費量も少ない。体温が低下するため、彼らは常に寒さを感じる傾向にある。それに対し身体活動を増やすと空腹感が増す。運動は食欲を増進させる。
(略)要するに、私達が摂取するエネルギーと消費するエネルギーは相互に依存している。
一方を変えると、他方がそれを補正して変わる。数学者たちは、お互いが独立した変数ではなく、従属変数であると言うだろう。(略)
これと違うことを主張する人はみな、複雑な生命体をあたかも単純な器械装置のように扱っている。

2007年、ハーバード大学 医学部長である、ジェフリー・フライアー(とその妻)は、雑誌Scientific American に「脂肪に燃料を注ぐもの」という論文を発表した。彼らは、食欲とエネルギー消費の密接な関係を述べ、この2つは人間が意識的に変えることができるようなものではないこと、またこの2つの補正の結果が脂肪細胞の増減を示すような単純な変数ではないことを明らかにした。”
(「人はなぜ太るのか」. Pages 88-9.)
4.「運動が減量に効果がない」というエビデンスは無視された
(引き続き「人はなぜ太るのか」より引用)
"結局のところ、私たちが消費するカロリーの量が私たちの肥満度に影響を与えるという考えを支持するエビデンスはごくわずかである。
2007年8月、米国心臓病協会(AHA)と米国スポーツ医学会(ACSM)が身体活動と健康に関する合同ガイドラインを発表した際、このエビデンスをきわめてまずい方法で示した。(略) 彼らは、週5日、1日30分のほどよい精力的な身体活動が「健康を保ち、促進する」ために必要であると述べ た。
しかし、肥満になることや痩せたままでいることに対し、運動がどのような影響を与えるのかという質問となると、専門家たちは「1日あたりの エネルギー消費量が比較的多い人たちは、エネルギー消費が少ない人たち に比べて、時間とともに体重が増える可能性が低いと仮定することは理にかなっている。これまでのところ、この仮説を支持するデータは、特に説得力があるものではない」としかいえなかった。(略)

1970年代後半以後、運動によって体重を維持あるいは減少できるという信念に駆り立てたのは、それが真実であると信じたい研究者たちの欲求と、公にそうではないと認めることに対する彼らのためらいが原因であっ た。
実際のエビデンスを見て「がっかりする」ことは避けられないが、運動に効果がなかったということは「短絡的」 であり、なぜなら肥満の予防と食事制限により減らした体重を維持することに運動が貢献している可能性を無視することを意味するからである。
研究者たち自身は、実際にエビデンスが何を示していようとも、運動と身体活動の推進を続けられる文書や論説の書き方を見つけていた。
一般的な方法の1つは、身体活動とエネルギー消費が肥満の程度を決めるという考えを後押しすると思われる結果だけを論議し、一方でこの見解を反証するエビデンスは、たとえその数がはるかに多かったとしても無視するというものである(現在においてもそうである)。"
(Pages 52, 63-4.)
まとめ
(1)カロリーを消費するほど私達の体重は軽くなるという考えは、「痩せた人は太っている人よりも肉体的により活発な傾向にある」という観察に基づいている。しかし、それを支持するエビデンスは極わずかである。
(2) 「痩せている人は、肉体的に活発な傾向にある」という事実は誰もが認めるところだが、「運動により消費カロリーを増やせば痩せれる」というような単純な問題ではない。その関係性はもっと複雑である。
【詳しく見る】「食事・運動・体重の関係性を間違えている」
(3) 消費するカロリーと摂取するカロリーは相互に連動しており、運動をすれば空腹感や疲労感が増し、食欲は増大する。また摂取カロリーを同じに保ったとしても、運動後に吸収率がアップし、体は消費したエネルギー源、その他の栄養素を取り戻そうとする。
(4) 過体重の問題は、設定体重が高くなっていることであり、運動によるエネルギー消費は一時的な体重減少につながっても、長い目でみると効果的とは言えない。運動と組み合わせて、食事のバランスや摂取方法を改善することのほうが重要である。
【関連記事】「ダイエットは運動よりも食事の改善」
<参考文献>
[1]ジョン・ブリッファ.「瘦せたければ脂肪を沢山とりなさい」. 2014. Page 225.
[2]University of Hawai‘i at Mānoa Food Science and Human Nutrition Program.「Fuel Sources for Exercise」. 2018.

